まてりあスタッフ日記

八王子市を拠点に活動しているボランティアグループ、カウンセリングスペースまてりあの活動を紹介しています。

被災地訪問 気仙沼、石巻へ

2016-03-29 22:44:03 | 日記
3月19日、20日、石巻に行ってきました。
今回は岩手県との県境にある気仙沼まで足をのばす事にしました。
気仙沼は石巻から近いようで遠く、二の足を踏んでいたのですが「鶴の一声」で決行。
19日早朝、総勢4人で石巻弾丸ツアーに出発しました。



気仙沼は沼と言っても、印旛沼、五色沼のような「沼」ではありません。
宮城県の北東端に位置し、リアス式海岸の美しい太平洋沿岸の都市です。
地名の由来は諸説あるようですが、地形上内湾が沼のように見えたから、
アイヌ語で磯の集落を意味する「ケセのマ」が訛化、等々。

何れにしろ、沼の持つドロッとしたイメージを若干持ちつつ、気仙沼に到着。
入り組んだ港に、赤い船底が印象的な遠洋漁業の大きな船が並び、
向こう岸には白い壁と緑の屋根の教会が見えます。
何だか外国の港に来たような、開放的で陽気な雰囲気に驚きました。




不思議な明るさに包まれて漁港近くの急坂を上がると、迷路のような道の先にありました。
青い小さな家、気仙沼ニッティング。
気仙沼ニッティングは、震災翌年に震災支援プロジェクトとして始まり、
その後会社として設立。
気仙沼の人達を編み手に、独自の糸で編むカーディガンは話題になり、
瞬く間にウェイティングリストが一杯の人気商品になりました。
震災直後に4人から始まった編み手は30人になり、今春からは60人になるとの事。
人の熱い想いと、気仙沼の風土と、震災。
すべてが一体となり成しえた奇跡を目の当りにして、この地に漲る力に心がぷるぷると震えました。



 
温かなものを胸一杯に詰め込んで、唐桑半島の突端にある津波体験館に向かいました。
気仙沼は遠洋漁業の燃料である石油が入った巨大タンクが津波で流され、
引火し、海が燃え、約2週間燃え続けたそうです。
この地で震災を体験した語り部の話しは、震災の凄まじさと同時に、
人間が逞しく温かいものである事を教えてくれました。

地元出身の運転手さんが積荷の冷凍食品を運び、皆で小学校に残されていた油で揚げて配り、
救援物資が届くまで凌いだ事。
打ち上げられた遠洋漁業の船にあった冷凍のイカ、
エビを船員さんたちの機転で地域の人たちに配った事。
震災数日後に海からアメリカ軍、海上自衛隊の物資が届き、そのエビアンのおいしかった事。

目の前の大きなスクリーンに映し出される実際の映像は、津波の体験より遥かに恐ろしく、
その中でどんな時を過ごしたのか、どうやって他人を思い遣る事ができたのか。
そこにいなかった者には到底理解しえない、自然と人間の姿がありました。


震災から5年。
風化させてはいけないと言う事と、未来を見て生きていく事とはどう折り合いをつけたらよいのでしょう。様々な思いを抱えながら、日の暮れた石巻の街に入ると、商店街に明かりが増えて賑やかになり、
いつもお世話になる旅館の周りも、新築の家や店舗が増えていました。
時は留まることなく流れています。


翌日は朝から一番谷地南仮設住宅です。まずはコラージュ。
様々な写真の切り抜き、それを貼る牛乳パック、はがきや紙、のりとハサミを並べて、さぁ始めましょう。



この仮設住宅は初めて来た時から変わっていないけれど、当時お母さんに抱かれていた赤ちゃんは、
今、自分で立ち、写真を選び、ハサミで切り、紙からはみ出す程のエネルギーで貼っています。
小学校1年だったSちゃんは、先週卒業式で袴をはいたと、お母さんが写真を見せてくれました。



随分と背が伸びて、4月からは中学生。どの子も大きくなりました。




お昼は、ばっぱの指揮の下、皆で作ってくれたちらし寿司、お吸い物とお漬物等など。
デザートはシュークリームとドーナツです。
お腹が満たされ、次はクジ。
いつものように皆、狙いを付けた商品が当たるかどうか、ワクワクドキドキ、
泣いたり笑ったりの楽しいひと時です。


あっという間に時が過ぎ、帰りの新幹線の中で食べるようにと、
大きなおにぎりを10個とお漬物を頂き、次の約束をしていると、
窓の外をブルーインパルスが轟音をたてて飛んでいきました。
「あっ、ブルーインパルスだ。」
松島基地からほど近いこの辺りでは珍しい光景ではないはずなのに、
皆、しばし無言で空を見上げます。地元の誇りなのかな。

飛行機が飛び立つように、この仮設住宅から皆が飛び立ち、
最後の一人が去る日はいつ来るのでしょう。
その日まで来続けたい。
密かな想いを胸に、おにぎりの温もりと重さを膝に乗せ、石巻を後にしました。
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石巻仮設住宅でのクリスマス会に行ってきました。

2016-01-15 10:50:59 | 日記

ここ数年、恒例となっている石巻の仮設住宅でのクリスマス会のお手伝いに、
今回も12月19日、20日に行ってきました。



早朝の八王子を出発し、新幹線、仙石線を乗り継いで、一路石巻へ。
今回、初日は雄勝町から南三陸町へ足を延ばすことにしました。
石巻駅前でレンタカーに乗りこみ、まずは雄勝町へ。
雄勝の名産品、雄勝石で作られる硯や屋根瓦は全国的にも有名で、
現東京駅舎の屋根瓦も震災の影響を乗り越えて雄勝から運ばれたものだそうです。
また、雄勝は漁業の盛んな町で、お魚のおいしさは天下一品!
私たちもお昼ご飯に地元で陸揚げされたお魚のお刺身を堪能しました。




でも、津波で浸水した地域は災害危険区域に指定され住宅を建てることはできず、
住宅は高台へ移転することになるのですが、新しい住宅建築も遅々として進まず。
震災からそろそろ5年ですが、まだまだ復興が進んでいるとは言い難い現実がありました。

そして、牡鹿半島をぐるぐる迷いながら南三陸町へ。
海沿いではきっと民家が建っていたであろう地域も整地され、
津波対策として大きな堤防を建設している最中でした。
その姿はまるでピラミッド・・・。



生活の一部だった海も見えなくなり、安全のため、生活のスタイルを変えざるを得ない
現実の中で暮らしている人々を目の当たりにし、胸が詰まる思いでした。


翌日は毎回お邪魔している石巻の一番谷地南仮設団地へ。
「久しぶり。元気だった?」「お子さんの七五三の写真見せて」「漬物うんめぇから食べて」
などなど、あいさつはまるで親戚の集まりみたい。
そしてそのまま挨拶をしながら、クリスマス会のカレーライスづくりのお手伝い。
野菜やお肉を切りながらも、前回の訪問からの出来事をお互いにしゃべる、しゃべる・・・。

カレーライスづくりもひと段落すると、今度はファッションショーの始まり。
ファッションショーといっても・・・。
私たち主催のくじ引き大会では、仮設の方々には洋服も案外人気で、
ならば、洋服はサイズもあることだし、くじではなく早い者勝ちで選んでいただこうと。
毎回試着で盛り上がり、ファッションショーさながらのにぎやかさになるのです。
今回もお気に入りの一枚を手にした方もいらしたようで、笑顔、笑顔。



それからカレーパーティの始まり。今回は、仮設の方々の親戚の方や、
山形のボランティアグループの方も参加され、いつも以上に盛り上がりました。


 

そんな中で、二組の方の言葉が胸に響きました。

ひと組目は中学生のAちゃんの言葉。
「カレーの後はいつものくじ引き大会やるの?午後は部活で出られないんだ。」と残念そう。
あ、毎回楽しみにしてくれていたんだな・・。
「そっか。残念。でも、Aちゃんの分は妹のMちゃんに代わりに引いてもらうね。」と答えたら、
「うん!もうMに頼んだんだ。」とぴかぴかの笑顔。
私たちのこと、待っててくれてるんだって、ほわっと温かくなりました。

ふた組目は年配の女性グループの方。
「いやいや、忘れずに来てくれるだけでいいんだよ。」
「石巻に来て痩せて帰ったなんて思われちゃ困るから、たくさん食べてけろ。」
と言いながら素敵な笑顔。・・・はい。忘れません。
皆さんの笑顔に私たちこそ、元気を戴いています・・・。

でも、このふた組の方の言葉の裏には、日々の中に「忘れられた感」があるのかなとふと思いました。
だからこそ、私たちのことを待ってくれているのですね・・・。


そして最後に、今回はくじではなく、ビンゴ大会。
山形のボランティアの方にもお手伝いいただきました。
読み上げられる数字に一喜一憂の皆さん。
ビンゴになった方から、好きな景品を選んでいただきました。
中身の見えない袋に入った景品を、大きさで、重さで、形で、音で、ご自身によさそうなものを吟味していらっしゃる姿にまたまた大笑い。皆さん、意図したものを選べたのかしら・・・(笑)

そうこうするうちに、おいとまの時間に。
「ありがとう」「次回は春かな」「元気で」「体に気をつけて」のあいさつの後、
「忘れないでね。またきてね」「はい。必ず来ます」

南三陸で見た景色、仮設の方々の言葉。そろそろ5年になる東日本大震災。
確かに生活はできているけれど、それまで培われてきた生活、文化、時間を止めてしまった現実は
まだまだ存在することを忘れてはいけないと、あらためて感じました。
そんな思いを胸に、これからもまだまだ仮設訪問は続けていこうと再確認した今回の訪問でした。
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いちょう祭りのわくわく広場に、今年も出張しました!

2015-11-30 21:24:29 | 日記


11月21日(土)・22(日)の2日間、例年どおり、
いちょう祭り・わくわく広場に箱庭体験で参加しました。

日差しが強くとても暖かい初日と、ぐっと冷え込んだ翌日と、
寒暖差の激しい2日間でした。

今年は初めて、他の団体と合同での子育て相談コーナーを設けたり、
河川敷でのマフラーや小物販売も行いました。




箱庭コーナーでは、3台の砂箱は、初日のお昼前頃から、
就学前のお子さん達で次々埋まり、
午後からは小中学生も多く体験していきました。
延べ人数は、21日(土)は45名、22(日)は79名となりました。



仲良く2人で1つの砂箱で作る姿が微笑ましかったり、
イキイキ作る姿に元気を感じたり。
何よりも嬉しかったのは、
「去年来て楽しかった!と子どもが言うので、今年も来ました」
というお母様からの言葉でした。
段々サイエンスフェスタといちょう祭りでの箱庭は浸透してきたのかな、
と思うと、喜びを感じます。


相談コーナーは、そこにいらっしゃってお話をするというより、
お子様の箱庭を見ながら話しかけると、
ポツリポツリと気になっている事が出てくるという様子でした。


皆で編んだマフラーも、初日の売れ行きは芳しくなかったのですが、
幸い(?)2日目は寒くなり(販売担当のスタッフは大変でしたね)、
ほとんどが売れて、安心しました。


天候にも恵まれ、無事に箱庭体験が終わり、
充実した2日間となりました。
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石巻弾丸ツアー  2015  10月24日~25日

2015-11-04 15:24:34 | 日記


今回は10月24日の高速夜行バスで出発。
早朝、仙台に入り、時間をつぶして石巻に着いたのは9時40分頃。
(この日、風が強くて、ダイヤが乱れていた)
陸前赤井駅では、Sさんが首を長~くして待っていてくれた。
久々の再会、いつもありがとう。


一番谷地に着いた途端、今回のお仕事「おにぎり作り」が待っていた。
ひたすらお釜10回分位握る。
その間、2年前には小5、小2だったAちゃんBちゃん姉妹が中1、小4となり、
大人に教わりながら、豚汁に入れる白菜を切り、ネギの斜め切りまでしていてびっくり!
すごいなー。年月は経っているな、と驚く。

“ばっぱ”の指示に従い、作業はどんどん進んでいく。
さんまの炭火焼きもどんどん運ばれる。
「さあ!食べて、食べて」
焼きたてのさんまをたっぷりの大根おろしでいただく。
「うまい!」醤油をかけなくても骨まで食べる。美味しかった!
すると「さあ!もう1匹食べて。こっちではさ、2、3匹食べんのよ。」
「え~!」
「さあ!食べて」
「ん~ではもう1匹」この調子で三人(今回参加3名)のお腹は太りっぱなし。

おにぎり、さんま、いか焼き、豚汁、さんまの刺身、漬物、
焼き肉、焼きネギ・・・
朝から帰るまで食べっぱなし。本当にたくさんご馳走になった。




さんまを頂きながら、Dさんが今の話をする。
Dさんは前回津波に呑み込まれ助かったけど、本当に恐かったという話をして下さった方。
そのDさんが「本当にこうして来てくれると嬉しんだよ。
本当に忘れないでこうして来てくれる事が嬉しんだよ。」と言ってくれた。
そうなんだ。嬉しい。何もできないけど、その時の辛さ、大変さだってわからないけど、
話を聴かせてもらえる。同じ人間として、知っていたい。だから何回も行く。


その間には、こちらから持っていった「くじ引き」を。
いつも子ども達は楽しんでくれる。
そして大人も盛り上げてくれる。
本当にここの方達は気持ちいい。


震災の後、生活が、人生が一変し、4年以上、
ストレスもたまり、子ども間、親子間、夫婦間だってぎくしゃくする。
今回そこが心配で、弾丸で飛んで来た。

なかなか進まない復興住宅への移転。高くて入れない方も多いと聞く。
家を建てるにも地盤が固まっていなくて不安定で心配な所、
問題は山積みだが、生活は続いている。
みんな前を向こうとしている。

気になっていた方も、仮設の雰囲気も落ち着いていて安心した。
本当に来て良かった。
心も満たされ、そしてお腹もふくらんだ。
三人はほっと安心して帰路についた。



私達はまた、こうやって会いに来よう。
話をしに、聴きに来よう。
忘れていないよって。

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サイエンスフェスタ 2015

2015-11-03 19:41:18 | 日記


10/24(土)、10/25(日)に開催された東京高専のサイエンスフェスタ、
2日間ともお天気に恵まれ沢山の人で賑わっていました。

今年もまてりあは箱庭体験で参加しました。
エレベーターや階段から割と近い部屋だったからか、
1日目は50名、2日目には54名もの方々が体験しに来て下さいました。



箱庭は初めてという方が多かった印象ですが、
以前に体験したという小学校低学年ぐらいの男の子がミニチュアを選びながら
「今日は箱庭を楽しみにして来ました」と話してくれました。

また「前は子どもと来ていたけれど、今は、もう大きくなってしまったので1人で来ました」
という女性の方・・・
他にも、そういう方が何人かいらっしゃって、
箱庭を楽しみにして下さる方がいる事を何だか少し嬉しく思いました。

真剣な表情で砂を触ったりミニチュアを置いたりと集中している姿や、
お友達同士でおしゃべりしながら一つの箱庭を置いている姿と、
それぞれに楽しんでいる様子が見受けられました。

そして、そこに重ねて乗せる!という程の絶妙なバランスで
いくつものミニチュアを積み重ねているお子さん達のパワー、
大人の感性では計り知れないお子さん達の箱庭!

とても楽しい時間を過ごさせて頂きました。



余りに盛況で時間帯によっては、2時間先ぐらいまで予約が入ってしまい、
「今、やりたい~」というお子さんに「ごめんね 、後でもう一回来てね」と時間調整して頂いたり、
残念ながら諦めて帰られた方もいらっしゃいました。

混雑時には、ご案内に手間取ってしまった事もあったかと思いますが、
体験された皆様のご協力もあり何とか無事に終える事が出来ました。
ありがとうございました。
そして、体験出来なかった皆さんごめんなさい。


(スタッフ作の箱庭です^^)

次の機会に是非またいらして下さいね!



  ☆お知らせ☆

11月21日(土)22日(日)のいちょう祭り、
長房市民センターで今年も出張箱庭体験会やります!
是非お出かけ下さい♪



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