今年の桜は、何と気風のよろしかったこと・・・。
さんざん待たせて焦らせて見事に一斉に咲き誇り、見事に一斉に散っていってしまいました。
おかげさまで、のどけからまし春の心は、ほんの数日間でございましたね。
どなた様もみな桜が大好きですから、いにしえより桜を詠んだ歌が数多くございます。
地唄にもいろいろございますが、あでやかさで申しましたら『西行桜』などいかがでございましょう。
九重に、咲けども花の八重桜、幾夜の春を重ぬらん。
然るに、花の名高きは、まず初春を急ぐなる近衛殿の糸桜。
見渡せば、柳桜をこき交ぜて、都は春の錦燦爛たり。
千本の桜を植え置き、その色を所の名に見する。
千本の花盛り、雲路や雪に残るらむ。
毘沙門堂の花盛り、四天王の栄華もこれにはいかで勝るべき。
上なる黒谷、下河原、昔遍昭僧正の・・・
浮世を厭いし華頂山。鷲の御山の花の色。
枯れにし鶴の林まで、思い知られて哀れなり。
清水寺の地主の花、松ふく風の音羽山。・・・
ここはまた嵐山。戸無瀬に落つる滝津波までも。
花は大井川、井堰に雪やかかるらむ。
謡曲の『西行桜』の終わりの方の歌詞を、そのまま持ってきて唄っておりますので、地唄だけ聴いておりましても、どうして西行に関係があるのかサッパリわかりません。もともと知識階級の方々の中で愛されてまいりましたものだけに、あらゆる教養を身につけているのが当然のことのように扱われているのが、何とも粋でおしゃれな反面、現代を生きる私のような庶民にとってはホンニ困りものでございます。
いつぞや「地唄はふしを聴いて味わうもの。詞の意味などどうでもよろしいのですよ。」という耳よりなおはなしを伺いました。亡き井上道子先生がかねがねそうおっしゃっていらしたそうでございます。
ナルホド・・・。
名人とはかくなるものと得心した蛍でございました。
4月20日は穀雨。
時節をわきまえて、今日は、万物に恵を与える雨が降っております。
春雨にしとど濡れて、草花も木の芽も、新緑のエネルギーを蓄えているのでしょう。
そろそろ牡丹が気にかかります・・・
さんざん待たせて焦らせて見事に一斉に咲き誇り、見事に一斉に散っていってしまいました。
おかげさまで、のどけからまし春の心は、ほんの数日間でございましたね。
どなた様もみな桜が大好きですから、いにしえより桜を詠んだ歌が数多くございます。
地唄にもいろいろございますが、あでやかさで申しましたら『西行桜』などいかがでございましょう。
九重に、咲けども花の八重桜、幾夜の春を重ぬらん。
然るに、花の名高きは、まず初春を急ぐなる近衛殿の糸桜。
見渡せば、柳桜をこき交ぜて、都は春の錦燦爛たり。
千本の桜を植え置き、その色を所の名に見する。
千本の花盛り、雲路や雪に残るらむ。
毘沙門堂の花盛り、四天王の栄華もこれにはいかで勝るべき。
上なる黒谷、下河原、昔遍昭僧正の・・・
浮世を厭いし華頂山。鷲の御山の花の色。
枯れにし鶴の林まで、思い知られて哀れなり。
清水寺の地主の花、松ふく風の音羽山。・・・
ここはまた嵐山。戸無瀬に落つる滝津波までも。
花は大井川、井堰に雪やかかるらむ。
謡曲の『西行桜』の終わりの方の歌詞を、そのまま持ってきて唄っておりますので、地唄だけ聴いておりましても、どうして西行に関係があるのかサッパリわかりません。もともと知識階級の方々の中で愛されてまいりましたものだけに、あらゆる教養を身につけているのが当然のことのように扱われているのが、何とも粋でおしゃれな反面、現代を生きる私のような庶民にとってはホンニ困りものでございます。
いつぞや「地唄はふしを聴いて味わうもの。詞の意味などどうでもよろしいのですよ。」という耳よりなおはなしを伺いました。亡き井上道子先生がかねがねそうおっしゃっていらしたそうでございます。
ナルホド・・・。
名人とはかくなるものと得心した蛍でございました。
4月20日は穀雨。
時節をわきまえて、今日は、万物に恵を与える雨が降っております。
春雨にしとど濡れて、草花も木の芽も、新緑のエネルギーを蓄えているのでしょう。
そろそろ牡丹が気にかかります・・・