先週末から映画館では一斉に夏の新作の公開がはじまっている。
「インセプション」とか「ソルト」とか「エアベンダー」とか「借りぐらしのアリエッティ」あたりはおそらくとんでもなく混んでいるだろうと予想されるので、人混みが何よりも嫌いな私は、公開最初の日曜にわざわざ見に行こうとは思わない。
ということで昨日の日曜は、渋谷ユーロスペースでペドロ・コスタの新作「何も変えてはならない」を見るか、銀座シネパトスで「闇の列車、光の旅」を見るか迷った挙句「闇の列車、光の旅」を見に行くことに決定。
ちなみに、ユーロスペースでは、なんとペドロ・コスタ本人による舞台挨拶があるというので、気持ちはかなり揺れたのだが、やはり人混みが何よりも嫌いな私は、あえて生ペドロ・コスタを敬遠し、銀座シネパトスに「闇の列車、光の旅」を見にいくことにしたのである。
「闇の列車、光の旅」。
監督はキャリー・ジョージ・フクナガという日系アメリカ人。
前知識をほとんど入れずに見たが、個人的に本年のベスト5に入る素晴らしい映画であった。
何がよかったか。
ぶっちゃけ、まず、人の“死にざま”がいい。
人の死をどう描くかは映画によって千差万別だ。
私は、デ・パルマの「スカー・フェイス」のトニー・モンタナの最期みたいに、何台もカメラを回して、挙句の果てに、踊り場から落下するところをスローモーションで見せるようなクドイ死に方も決して嫌いではない。
しかし、かねてから繰り返し述べているように、どちらかといえば慎ましい映画が好きな私は「闇の列車、光の旅」における、あまりにあっけない人の死にざまのほうに圧倒的に共感を覚えるのだ。
「闇の列車、ひかりの旅」は、ホンジュラスから列車を使って国境を越えてアメリカに密入国しようとする移民たちの苦悩がテーマとなっている。
貨物列車の屋根に何百人という越境者が所狭しとへばり付いている。国境警備隊に狙い撃ちにされたりギャングに襲われたりして、多くの人間は目的を果たせずに命を落とすか、あるいは母国に強制送還される。
フクナガ監督は、本作の前に「Victoria para Chino」といういわばこの映画のプロローグともいえる短編を撮っているが、そのころから本作の構想を練っていて、現地での綿密な取材を重ねていたようだ。
そのおかげで「闇の列車、光の旅」は、完全なるフィクションであるにも関わらず、恰もドキュメンタリーのような、抑制のきいた作品に仕上がっている。
トニー・モンタナやボニー&クライドみたいな“ストップモーション”の死ではない、“あっけない”死、が醸し出す強烈なリアリティ。
しかも、エンターテインメントとしても文句なく完成している。
間違いなく本年度のベストの1本だ。
「インセプション」とか「ソルト」とか「エアベンダー」とか「借りぐらしのアリエッティ」あたりはおそらくとんでもなく混んでいるだろうと予想されるので、人混みが何よりも嫌いな私は、公開最初の日曜にわざわざ見に行こうとは思わない。
ということで昨日の日曜は、渋谷ユーロスペースでペドロ・コスタの新作「何も変えてはならない」を見るか、銀座シネパトスで「闇の列車、光の旅」を見るか迷った挙句「闇の列車、光の旅」を見に行くことに決定。
ちなみに、ユーロスペースでは、なんとペドロ・コスタ本人による舞台挨拶があるというので、気持ちはかなり揺れたのだが、やはり人混みが何よりも嫌いな私は、あえて生ペドロ・コスタを敬遠し、銀座シネパトスに「闇の列車、光の旅」を見にいくことにしたのである。
「闇の列車、光の旅」。
監督はキャリー・ジョージ・フクナガという日系アメリカ人。
前知識をほとんど入れずに見たが、個人的に本年のベスト5に入る素晴らしい映画であった。
何がよかったか。
ぶっちゃけ、まず、人の“死にざま”がいい。
人の死をどう描くかは映画によって千差万別だ。
私は、デ・パルマの「スカー・フェイス」のトニー・モンタナの最期みたいに、何台もカメラを回して、挙句の果てに、踊り場から落下するところをスローモーションで見せるようなクドイ死に方も決して嫌いではない。
しかし、かねてから繰り返し述べているように、どちらかといえば慎ましい映画が好きな私は「闇の列車、光の旅」における、あまりにあっけない人の死にざまのほうに圧倒的に共感を覚えるのだ。
「闇の列車、ひかりの旅」は、ホンジュラスから列車を使って国境を越えてアメリカに密入国しようとする移民たちの苦悩がテーマとなっている。
貨物列車の屋根に何百人という越境者が所狭しとへばり付いている。国境警備隊に狙い撃ちにされたりギャングに襲われたりして、多くの人間は目的を果たせずに命を落とすか、あるいは母国に強制送還される。
フクナガ監督は、本作の前に「Victoria para Chino」といういわばこの映画のプロローグともいえる短編を撮っているが、そのころから本作の構想を練っていて、現地での綿密な取材を重ねていたようだ。
そのおかげで「闇の列車、光の旅」は、完全なるフィクションであるにも関わらず、恰もドキュメンタリーのような、抑制のきいた作品に仕上がっている。
トニー・モンタナやボニー&クライドみたいな“ストップモーション”の死ではない、“あっけない”死、が醸し出す強烈なリアリティ。
しかも、エンターテインメントとしても文句なく完成している。
間違いなく本年度のベストの1本だ。
要チェックで是非みたいですね。
しかし、しかし・・・
生ペドロ・コスタをあきらめるなんて!!
僕も人混みは大嫌いですが、生ペドロが観れるなら、そっちを選びますけど。
ゆーめー人に会うことのない田舎暮らしだからでしょうか(苦笑)
あー、でもこれが生エリセ・生オリヴェイラだったら、いくらkazu-n さんでも、人混みの中いったでしょ?(笑)
コメントありがとうございます。
「闇の列車、光の旅」
えー、そこまで傑作かというと自分でもよくわかりません。じつは最近、映画の撮り方、シナリオの書き方、演出の仕方などについての本を読んでいて、そのせいか、ちょっと今までと見方が変わっているかもしれません。
>生エリセ・生オリヴェイラだったら、いくらkazu-n さんでも、人混みの中いったでしょ?(笑)
おっしゃる通り!生エリセだったら、絶対並んでますね~。
実は、2週間ほど前に
・・・・・・・・
なんだったんですか~?(笑)
なんか知らない間に意味深な言葉が書いてある~!
「実は、2週間ほど前に」。。
いやー、別にたいしたこっちゃないので書くのやめようと思ったんですが、書きかけのまま投稿しちゃったみたいです(汗)
実は、2週間ほど前に、お茶の水のアテネフランセで、ペドロ・コスタによる、ポルトガル映画史のレクチャーというのがあってですねー。
そいつになんとかして行きたいなーと思ってたんですが、結局時間が合わなくてそっちにも行けなかったって話を書こうと思って、やめたんです(笑)。
http://www.athenee.net/culturalcenter/schedule/schedule.html
「アニキ・ボボ」by オリヴェイラ
もんのすごく変なタイトルだけど、オリヴェイラ!
オリヴェイラの初期作品をみて講演がコスタ・・・
残念でしたね。
こちらは、もともと行けませんからあきらめがつきますが(笑)
是非いって、感想を書いて欲しかった。