明海大学大学院応用言語学研究科

Meikai Graduate School of Applied Linguistics

「第二言語習得における会話分析研究の現状」参会記

2013年12月02日 | 学会、セミナー、講座の参会記
 M1のテーボルトです。11月30日に獨協大学で行われた「第二言語習得における会話分析研究の現状」という公開研究会に行ってきました。一人で他大学に行くのが初めてで少し緊張しましたが、質問ができて大変いい経験でした。講演後、明海大学と関係を持つ方何人かから「明海の名前が聞けて嬉しかった」のような励ましの言葉までいただき、とても心強かったです。

 さて、講演の内容ですが、言語習得における会話分析の草分け的な存在であるハワイ大学教授Gabrielle Kasper氏が会話分析の従来の発達と今後期待できる発展について述べてくださいました。会話分析、Conversation Analysis(CS)とは会話が繰り広げられる過程の中の意思疎通の言語・パラ言語的な手段を対象とする分野です。

 次の利点が挙げられます。
 ○理論的背景、研究法は含まれているため、認知アプローチのように研究者の間で理論的枠組や研究法の対立はありません。
 ○実験的データは一切使われません。全て実際の会話(電話、面接、ラジオなど)を分析対象とします。
 ○L2話者というカテゴリーを前提としません。話者は全て同じように扱われます。
 ○ポライトネスは一つの句に帰するのではなく、会話全体の流れから生産されるとし、従来の発話行為研究より実像を扱うことができると考えられます。
 今までマイノリティーの待遇や組織内の実体など、社会的な目標の研究が多く、言語学目的の研究は数少ないようです。そこでKasper氏は第二言語習得に当て、躓き(L2話者に限らず)は会話の中でどのように取り繕われていくのかを分析なさり、研究を進めていくおつもりだそうです。CSは言語学習のメカニズムがそこにあると提唱しています。

 今後のKasper教授の研究が楽しみです。

 最後にKasper教授を始め、この機会を可能にしてくださった獨協大学の方々にお礼を申し上げます。【Joe Tabolt M1】

 追記:出版まで少しありますが、ご興味のある方は次の論文集を読んでみてはいかがですか。Kasper,G., & Kim, Y. (in press). Conversation-for-learning: Institutional talk beyond the classroom. In N. Markee (Ed.), Handbook of classroom discourse and interaction. Miaden, MA: Wiley-Blackwell.


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