明海大学大学院応用言語学研究科

Meikai Graduate School of Applied Linguistics

「英語教育、迫り来る破綻」に参加して

2013年07月17日 | 学会、セミナー、講座の参会記

7月14日、郁文館夢学園にて、「英語教育、迫り来る破綻―みんなで考え、行動しよう―」が催されました。講演された先生方を講演順でご紹介申し上げますと、江利川春雄先生(和歌山大学)、斎藤兆史先生(東京大学)、大津由紀雄先生(明海大学)、鳥飼玖美子先生(立教大学)でございます。どの先生方も専門分野が異なりますが、英語教育、とくに初期英語教育[小学校における英語教育]がもたらす危機をそれぞれの先生方の観点でお話くださいました。わたくしとしては大変興味深い講演であったと思っております。英語教育というのはほとんどの日本人が経験していることですので、誰でも大なり小なり意見を持っていると言えるかもしれません。非常に馴染みのあるテーマだったと思っております。
 小学校における英語教育に関しては、常に思うことがございます。それは、英語よりも日本語だということです。
 個人的には、小学校に英語の運用能力を求める英語教育は不要だと思っております。わたくしは現在、山岸勝榮教授のゼミにて特修生として参加し、日本の童謡や唱歌を英語に訳すということを毎週しております。わたくしが常に思うことは、なぜ童謡や唱歌のような簡単な日本語でも、英語で表現できないのかということです。
 山岸教授はよく「諸君の日本語を超える英語はあり得ない」ということをおっしゃいます。つまり、日本語の解釈が十分でなかったら、英語が十分になるはずがないということです。中学、高校の私の英語の先生の中で、この自明の理を教えてくださった方は誰一人としていらっしゃいませんでした。明海大学に入学してから、対照言語研究にて山岸教授が、翻訳・通訳にて小松教授が、異文化コミュニケーション概論にて東山教授が、それぞれ教えてくださったのです。大津教授も先日の「はじめまして、大津です」の御講演にて、英語教育よりも母語教育の充実をということを言及なさっていらっしゃいました。逆説的かもしれませんが、おそらく母語教育の不十分さが現在の英語教育の破綻の一因でもあると思っています。小学校、中学校、高等学校、どの段階でも、国語の授業でしっかり読み、しっかり書くという作業が、それに対して先生からのきめの細かい指導が、それぞれ必要だとわたくしは思います。
 今回、家庭の事情で質疑応答、懇談会は出席できませんでした。次回このような機会に恵まれましたら、参加をして、明海大学の外の方々と交流を図りたいと思っております。
 なお、偶然、会場で博士後期課程2年生の鴨川さんにお会いしました。鴨川さんは質疑応答の時間もいらっしゃったようなので、そちらを踏まえて、以下に鴨川さんのご意見を、ご厚意により掲載します。【大塚孝一 M1】


鴨川潤一さん

 英語の力をつけて、国際的に活躍する日本人をもっと育てるということはとても良いことであるが、素人よる思い付きで、教育と言う国の根幹に関わる分野を決定されるということは、怖いと思う。今回は偶々英語教育についての事であるが、どの分野においても似たようなことがあり、専門家が頭を抱えていることがありそうだ。この国をよりよくするためにもっと官民が意見交換ができるといいと思う。 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿