テレビ番組で、芸人の今田耕司が「Go to関係なかったんちゃいますかね」と発言し、それを受けて、辛坊治郎が「見事にそうですよね」と。
さて「Go to(トラベル)」と感染拡大の因果関係について、彼らはなぜわかるのだろう。ちょっといくつかのグラフでも見比べて、そこに因果関係があると想定したのだろうか。そうだとすると、科学リテラシーの欠如である。
両者の因果関係を分析するにあたり、従属変数(結果)である「感染拡大」に影響を与える独立変数(原因)はいくつ想定できるだろうか。そのためには統計手法の重回帰分析が必要になる。独立変数をいくつか想定した上での多変量解析である。また独立変数もまた単純ではなく、統制したデータにしなければならず、例えば今回の「Go to」を独立変数とする際にも、地域的な偏差があるであろうから、それらを比較するために、その偏差を考慮しなければならない。
簡単にいうと、素人がなんとなく見ても、間違ってしまうのというのが通常である。
そこで京都大学の西浦教授が、「Go to(トラベル)」と感染拡大の因果関係について研究し発表した。論文は以下を参照。
“Go To Travel” Campaign and Travel-Associated Coronavirus Disease 2019 Cases: A Descriptive Analysis, July–August 2020
(https://www.mdpi.com/2077-0383/10/3/398より)
西浦教授によれば、「Go to トラベル」が新規感染者数増加の要因である。ただ「感染拡大にまで繋がった」とは現時点で実証できているわけではないという。
なんだか曖昧なことになっているようだが、そうではない。先に取り上げた考慮する変数が統制されていないので、実証性という点で留保がついているだけである。繰り返すが、旅行関連の感染は拡大している。
さて、ただの旅行、出張、家族に会うための帰省などと「Go to トラベル」を分けることは容易ではないだろう。独立変数、あるいは説明変数もまた人間が設定しなければならないのだ。
さてテレビ出演している司会者やコメンテーターが、このような科学リテラシーを持ち合わせているのかというと、心許ない。
科学が発達すると、わからないことが増えるのだから、謙虚に行こうよ。そいえば、英国でも英国版「Go to トラベル」が感染拡大したという話があったよね。どうして、そこは見逃しているんだろうか。
科学リテラシーがそれほどなくても、日本と英国を社会科学的に比較するまでもなく、常識で比較すればいいとも思うんだけど・・・