群馬大学 慢性看護学研究室ブログ

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ゼミ文献 医療移行期における薬剤の変更に関する意思決定: 患者と家族の関与を深める機会

2024-10-08 22:39:19 | 研究室

<岡研究室 ゼミ紹介>
 毎週火曜日,19:40-21:10,大学院博士前期・後期課程のゼミをオンラインで行っています。今回は,こちらの文献紹介がありました。ゼミはお試し参加でもokです。希望者は,お気軽にご連絡ください!!

<文献>

Manias E, Hughes C, Woodward-Kron R, Ozavci G, Jorm C, Bucknall T. Decision-making about changing medications across transitions of care: Opportunities for enhanced patient and family engagement. Res Social Adm Pharm. 2024 May;20(5):520-530. doi: 10.1016/j.sapharm.2024.02.002. Epub 2024 Feb 16. PMID: 38403571.

2023 JIF: 3.7

医療移行期における薬剤の変更に関する意思決定: 患者と家族の関与を深める機会

背景:高齢患者はしばしば複雑な投薬レジメンを有し、それらはケアの移行に伴って変化する。安全かつ質の高い服薬管理を行うためには、高齢患者と家族がケアの移行期における服薬の意思決定に関与することが重要である。

目的:ケアの移行に伴う薬剤の変更について、医療従事者、高齢患者、家族の意思決定を調査し、これらの薬剤の変更に関する意思決定のプロセスにおいて患者や家族の関与がどのように行われるかを検討する。

方法:半構造化面接、観察、内省的フォーカスグループや面接など、焦点を絞ったエスノグラフィックデザインを実施した。書き起こしたデータについて再帰的テーマ分析を行った。研究はオーストラリアの公立急性期病院と公立地域病院で行われた。

結果: 高齢患者182人、家族44人、医療専門家94人が関与した。データから4つの テーマが概念化された:習慣(customs)とルーチン(routines)の違い、薬物療法の課題、医療専門家の相互作用、患者と家族の関与。環境には習慣やルーチンの違いがあり、それが服薬の遅れや意図しない薬の代替の可能性を高めていた。服薬の課題としては、医療従事者が患者や家族にとって定期的に処方される薬についての情報は必要ないと思い込んでいることが挙げられた。患者や家族は、医療専門家がすでにこれらの薬の処方を意思決定した後に、新しい薬について知らされた。医療従事者は専門分野毎に縦割りで働く傾向があり、患者や家族と関わる際の自分の役割について複数の見解を持っていた。患者と家族は、薬剤の変更に関する意思決定に率先して参加することが期待されていた。

結論:ケアの移行に伴う患者の移動は、特に高齢患者とその家族にとって透明性に欠ける複雑で混沌とした服薬管理状況を生み出す可能性がある。薬剤の変更について先手を打って計画的に話し合うことに重点を置くことは、意思決定への患者や家族の関与を改善することに貢献するであろう。

                                  (担当:榊)


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