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カズオ・イシグロ「浮世の画家」

2019年08月11日 | 海外の作家

 

訳・飛田茂雄
ハヤカワepi文庫
2019年1月 発行
解説・小野正嗣
316頁

 

 

戦時中、日本精神を鼓舞する作風で名を成した画家の小野
多くの弟子に囲まれ、大いに尊敬を集める地位にありましたが、終戦を迎えたとたん周囲の目は冷たくなり、引退後は屋敷に籠りがちになります
老画家は過去を回想しながら、自らが貫いてきた信念と新しい価値観の狭間に揺れるのでした

 

渡辺謙さん主演のドラマを観て購入
カズオ・イシグロ初読ですが、冒頭に収録されている著者による序文のお陰もあって、時間の流れを無視し、連想の脱線や記憶の気まぐれによって繋がれる物語に何とかついていけました

挫折を味わった老画家の独善、自己呵責、その克服と前向きな人生の探究という内面葛藤が描かれています 

小野の回想からは彼の独善性と自己正当化が感じられ、どことなく不愉快さもありましたが、読み進むに従い彼を理解しようとしている自分もいました
カズオ・イシグロに“読まされた”といったところです

 

また、一人喰わず嫌いだった作家さんを克服しました
次は何を読もうかしらん^^

 

 

 


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