光文社文庫2015年3月 初版第1刷発行解説・平木靖成347頁玄武書房の営業部員・馬締光也は言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれます新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まります定年間近のベテラン編集者・荒木日本語研究に人生を捧げる老学者・松本主に資料整理を担当する契約社員・佐々木辞書編集部から宣伝広告部へ異動になるも大渡海の発刊に助力を惜しまない西岡ファ . . . 本文を読む
編・日下三蔵角川文庫2021年2月 初版発行304頁ミステリ、幻想文学、歴史小説破格のスケールと妖艶かつ幻惑的な物語で読者を魅了してやまない物語の女王が、幻想と綺想のあわいで紡ぐ短編集様々な内容の短編集で長編とはまた違った趣があります短いのに深い、怖い、美しい次はどんな内容なのかしら頁を捲る手が止まりませんご本人は長編のほうが書きやすいとのこと短い中で序破急まとめて読者にインパクトを与える作品を書 . . . 本文を読む
角川書店2023年4月 初版発行320頁深い洞察力と鑑賞力で12の俳句から紡ぎ出した玉手箱俳句から着想を得ての短編集とのこと面白い試みです各話、印象は異なりますが全体に登場人物が心を病んでいて暗くて辛い内容に1話毎に時間を置いたため読み終わるのに時間がかかってしまいましたともかく宮部みゆきさんの想像力、創造力は大したものです同じような試みで次は明るい内容のが読みたいかな . . . 本文を読む
朝日新聞出版2022年9月 第1刷発行270頁NPO法人「子供の家」の代表で、虐待、差別、体罰、貧困といった子供の人権救済活動に関わっている河原ある日、SNS上で〈このままだとあたし、おばあちゃんころしちゃうかも〉というヤングケアラーと思われる書き込みを見つけます河原は組織を手伝う少女・通称うさこを通じて発信元の子に連絡を取ろうと試みます一方、繁華街でパパ活を仕切る半グレ集団に睨みを聞かせている男 . . . 本文を読む
新潮社2023年2月 発行252頁さまざまなおばあちゃんが登場する短編集「おつやのよる」自分の家族、親族を恥じていて恋人・章吾に紹介できずにいる清陽(きよい)故郷の祖母が急死したとの報せを受け、急ぎ実家に戻ります通夜の夜というのに、もめ事ばかりが噴出してウンザリしている清陽の前に突然現れた章吾え?どうして?90歳を過ぎてスマホを使いこなす祖母が生前にとった作戦(?)のおかげで家族、親族、清陽の問題 . . . 本文を読む
CCCメディアハウス2020年4月 初版2020年5月 初版第3刷169頁宮城県塩釜警察署刑事第一課から夜遅く、「私」の携帯にかかってきた1本の電話それは、既に両親を失くしている「私」の唯一の肉親であり、もう何年も会っていなかった兄の訃報でした発見者は兄と暮らしていた小学生の息子で今は児童相談所に保護されているといいます周囲に迷惑ばかりかける人だった兄二度目の離婚後、多賀城市へ住まいを移したものの . . . 本文を読む
東京創元社2023年6月 初版268頁デフ・ヴォイスシリーズスピンオフ第2弾優秀な刑事ですが組織に迎合しない性格から、上から疎まれつつ地道な捜査を続ける埼玉県警の何森刑事の活躍を描きます「逃女」「永遠(エターナル)」「小火(しょうか)」ベトナム人技能実習生、ホストに貢ぐ女性、高齢者ホームレス3編とも貧しく孤独な女性が加害者で実際に起きた事件をヒントに創作されています何森の考えを通して現代社会の現状 . . . 本文を読む
角川書店2021年3月 初版発行293頁江戸は神田の袋物屋・三島屋で行われている風変わりな百物語従妹のおちかから聞き手を引き継いだ三島屋の次男・富次郎は、語られた話を墨絵に描き封じ込めることで聞き捨てとしていました「火焔太鼓」美丈夫の勤番武士が語る摩訶不思議な力であらゆる火災を制す神器の真実「一途の念」馴染の団子売りの娘が打ち明けた一途な愛が起こした悲しき事件「魂手形」木賃宿に泊まったお化けの復讐 . . . 本文を読む
河出書房新社2019年7月 初版発行2019年9月 5刷発行413頁「母の法律」被虐待児を救済しうる奇跡のシステム、マザー法により新しい家族の元で幸せに暮らしていた少女・二葉しかし、養母が病気で亡くなったことで未成年である二葉は施設に戻らなければならなくなります「戦闘員」妻を亡くしてから独り暮らしの老人・達三が、毎朝の散歩ルートで少年が防犯カメラを壊そうとしているのを目撃以来、防犯カメラが気になる . . . 本文を読む
角川書店2018年12月 初版発行285頁水曜日の出来事を綴った手紙を送ると、見知らぬ誰かの日常が記された手紙が届くという「水曜日郵便局」主婦の直美は職場や義父母との関係で抱えたストレスを日記に吐き出すだけの毎日を変えたいと、理想の自分になりきって手紙を出します一方、絵本作家になる夢を諦めて人生に迷っていた洋輝も、婚約者の薦めで水曜日の手紙を書くことに不思議な縁で交差した2人の手紙は、関わる人々の . . . 本文を読む
東京創元社2020年9月 初版323頁「デフ・ヴォイス」シリーズから派生したスピン・オフ作品本作の主人公・何森刑事は同シリーズを通して下手をしたらシリーズ主人公の荒井尚人をしのぐほどの人気とのことかくいう私もファンで、ずっと読みたかった1冊です「二階の死体」車椅子利用者の女性宅で起こった殺人事件捜査本部の方針に疑問を持った何森は…「灰色でなく」容疑者は供述弱者の青年彼の自白を信じられ . . . 本文を読む
編・日下三蔵出版芸術社2013年5月 初版発行429頁文庫未収録作品に、アンソロジーや再編集本に収録されたきり文庫化の機会を逸してきた作品、さらに一度も本になっていない未刊行作品を増補してまとめた全五巻のうちの第二巻第一部「夏至祭の果て」児童書「海と十字架」発表後、大人の物を、と望まれ主題をもっと掘り下げたもの1976年下期の直木賞候補に選ばれていますキリシタン弾圧の頃に、殉教者としてではなく、自 . . . 本文を読む
光文社2021年1月 初版第1刷発行316頁事故で重度の障がいを負った妻を自宅介護する中年男性の日常とその心理を描く「無力の王」30代後半の夫婦が1年限定で不妊治療に臨む様子を描く「真昼の月」不倫相手である上司の子を身ごもった20代の女性が別の男性と距離を縮めていく様子を描く「不肖の子」脳性まひの青年がネットで知り合った健常者の女性に恋をし、自分は健常者であると偽りの身分をまとって彼女とデートする . . . 本文を読む
絵・高杉千明偕成社2022年7月 初版1刷149頁「デフ・ヴォイスシリーズ」のスピンオフ作品児童書です小学4年生になった美和と英知の周囲で起こる出来事あれこれ毎朝、土しかない花壇に水を撒くおじいさんあちこちに現れた食べたものを吐く猫たち図書館で大切な栞を失くした女の人これらの物語がミステリー要素も加わり少しずつリンクしていきます児童向けなので、後味の悪い結末にはならずほんわか心温まる内容になってい . . . 本文を読む
編・日下三蔵出版芸術社2013年3月 初版発行437頁文庫未収録作品に、アンソロジーや再編集本に収録されたきり文庫化の機会を逸してきた作品、さらに一度も本になっていない未刊行作品を増補してまとめた全五巻のうちの第一巻第一部表題作「ライダーは闇に消えた」1975年3月に講談社文庫から書下ろしで刊行されて以来、実に38年ぶりの再刊江戸川乱歩賞に応募するつもりで書き溜めていた本格推理小説の文法に則った青 . . . 本文を読む