訳・関口英子新潮クレストブックス2018年10月 発行271頁4000メートル級の名峰が連なる北イタリアのモンテ・ローザ街の少年・ピエトロは毎年夏になると、両親とともにその山麓で休暇を過ごしていました山登りをこよなく愛する気難しい父と、周囲の人々との関係を育む才能に恵まれた母、そして内向的で繊細な一人っ子のピエトログラ―ナ村にある山の家の前で同じ年頃の山の少年・ブルーノと友だちになったピエトロ2人 . . . 本文を読む
訳・田内志文東京創元社2013年9月 初版133頁初読は2015年谷原章介さん主演の舞台を鑑賞するにあたり再読しましたある日、カナダの銀行に紫色の帽子を被った強盗がやってきます彼はその場にいた13人から、もっとも思い入れのあるものを奪い、去り際にこんな台詞を残します『私は、あなたがたの魂の51%を手に、ここを立ち去ってゆきます。そのせいであなたがたの人生には、一風おかしなできごとが起こることになる . . . 本文を読む
訳・中嶋浩朗新潮クレストブックス2023年8月 発行221頁ジュンパ・ラヒリがイタリア語で書いた三作目の著書イタリア滞在中暮らしているローマのアパートで、ラヒリは書斎の引き出しに前の住人が残していったノートを見つけますそこに手書きされていた数十篇の詩を一冊の詩集として出版されたのがこの作品で、ノートの表紙に記された名前から、詩の作者は「ネリーナ」と呼ばれることになりますラヒリは詩の作者ではなく、詩 . . . 本文を読む
訳・野崎孝白水Uブックス1984年5月 第1刷発行2014年1月 第121刷発行332頁16歳のホールデン・コールフィールドが4つ目の学校を退学になった後、家に帰らず3日間にわたってニューヨークを放浪したときの話ホールデンは世の中で善とされる道徳や公序良俗が大人の建て前や欺瞞に満ち溢れていると感じ、そのような世の中に対し強い嫌悪感を抱いています自分の居場所を求めるように昔の友人、ガールフレンド、恩 . . . 本文を読む
絵・ビアトリクス・ポター訳・中井はるの小学館世界J文学館2023年2月 電子書籍版発行映画を観て読みたくなりました昔、読んでいますがいつ読んだのか思い出せないほど昔々のことで…イギリスの湖水地方を舞台に、動物たちの暮らしを楽しく描いた13編ポターさんのイラストも入っています動物たちの素朴な暮らしぶりは微笑ましく肩の力が抜けます映画とは別物です娯楽としてのハリウッド映画は面白かったけれ . . . 本文を読む
画・ペギー・フォートナム訳・松岡亨子2021年10月 電子版発行(福音館書店 1967年10月初版発行の第73刷を底本)おかしなおかしなクマのパディントンのおはなしの1冊目ペルーの山奥から独りでロンドンにやってきたパディントンパディントン駅にいるところをブラウン夫妻に見つけられ、引き取られることになります良かれと思ってすることが何故か裏目に出てしまうパディントン好奇心旺盛な彼は行く先々で騒動を起こ . . . 本文を読む
絵 ルース・クリスマン・ガネット訳 渡辺茂男福音館書店2021年10月 電子版発行(1963年7月 第176刷を底本)121頁図書館の電子書籍サービスを利用年取った野良猫から、どうぶつ島に囚われているりゅうの子どもの話を聞いたエルマーは、りゅうの子どもを助ける冒険の旅に出ますどうぶつ島ではライオン、トラ、サルなど、恐ろしい動物たちが待ち受けていましたが、エルマーは知恵と勇気で、出発前にリュックに詰 . . . 本文を読む
訳・土屋京子光文社古典新訳文庫解説・松本朗476頁映画を観て原作にも興味を持ちましたバーネットは「小公子」「小公女」は子どもの頃読みましたが本作は未読(のはず)インドでコレラにより両親を亡くしたメアリは英国ヨークシャーの大きな屋敷に住む叔父に引き取られ、そこで病弱な従兄弟のコリン、動物と話ができるディコンに出会います3人は長い間、誰も足を踏み入れたことのなかった「秘密の庭」を見つけ、その再生に熱中 . . . 本文を読む
訳・小澤身和子新潮クレストブックス2022年7月 発行307頁原因不明の病で歩けない母の治療のためイギリスから南スペインの町を訪れた25歳のソフィア母親を怪しげな医師・ゴメスに診せつつ、地元の男子学生や謎の女性に惹かれていきます父親はソフィアとさほど年の変わらない女性と恋に落ち、ギリシャで暮らしており不在母の介護のため学者の道を諦め、カフェでアルバイトをしながら生計を立てているソフィアのいわゆるヤ . . . 本文を読む
訳・石川順子ソニー・マガジンズ文庫2001年3月 初版第1刷発行2001年4月 第3刷発行287頁ニューヨークのサウスブロンクスで生まれ育った16歳の高校生、ジャマール・ウォレス誰にも言えない内緒の楽しみは文章を書くこと学校では文学少年である一面は全く見せない彼でしたが読書から得た知識の豊富さと書くことへの熱意は誰にも負けないものがありましたそんな彼がある日偶然出会ったのは処女作でピューリッツア賞 . . . 本文を読む
訳・鈴木徹郎講談社文庫2011年9月 第1刷発行2020年2月 第20刷発行解説・鈴木徹郎ムーミン谷の魅力8 『ムーミン谷の十一月』からっぽのムーミン谷にひびく、六つの音色・冨原眞弓306頁ムーミン全集【新版】真っ白な雪に閉ざされて長い冬眠に入る前のムーミン谷の十一月人恋しくてムーミン谷に集まってきたフィリフヨンカ、ホムサ、ヘムレン、ミムラ、スクルッタおじさん、スナフキンたちところが、心を和ませて . . . 本文を読む
訳・菊池重三郎新潮文庫1956年7月 発行1987年4月 70刷改版1993年 85刷解説・菊池重三郎108頁霧深お夕暮れ、炉辺に座って回想にふけるチップス先生の胸に、ブルックフィールド中学での六十余年の楽しい思い出が去来します腕白ですが礼儀正しい学生たちとの愉快な生活、美しく聡明だった亡き妻、第一次大戦当時の緊張した日々愛情に満ち、洒落の名人でもある英国人気質の老教師と厳格な反面ユーモアに満ちた . . . 本文を読む
訳・奈倉有里新潮クレストブックス2016年2月 発行195頁1991年夏猛暑のニューヨーク亡命ロシア人で画家のアーリクの重症の床に集まる5人の女たちと友人たち妻、元恋人、愛人、友人彼らはアーリクとともに過ごした決して平坦ではなかった人生の道のりを、祖国のクーデターの様子をテレビで見ながら、ウォッカを吞みながら追想しますアーリクの葬儀の後、皆に渡されたアーリク最期の贈り物が皆の心に不思議な祝祭感と幸 . . . 本文を読む
訳・篠森ゆりこ河出書房2020年5月 初版発行194頁16歳で自死した少年とその母親が生と死の境界を越えて会話を交わし、それを母親が小説として書く、という設定深刻な事件からさほど時間が経っていないのに驚くほど冷静な会話をする母親と息子批判をし、疑問をぶつける息子に対し、普段通りに議論を戦わせ、懸命に息子のためになることを教えようとする母親の姿からは、いまだ息子の死を受け容れられていないのがわかりま . . . 本文を読む
訳・古屋美登里東京創元社2022年7月 初版229頁巨大な魚の腹の中乗っていた舟ごと魚に呑み込まれたジュゼッペは、そこに朽ちかけた帆船を発見します孤独な世界はジュゼッペにとって絶望的な状況ですが、幸いなことに帆船には蝋燭、飲み水、食料があり、何と彼はその後2年間も生き延びることができました船長が遺した航海日誌の余白に、自分の来し方を綴っていくジュゼッペ彼が創った木彫りの人形ピノッキオに命が宿ったこ . . . 本文を読む