友達(ともだち)とのたわいのない会話(かいわ)。コスメやスイーツそして恋(こい)ばな――。まさか、こんなことになるとは誰(だれ)も想像(そうぞう)できなかっただろう。一人の女子(じょし)が口にした一言が…。
「昨日(きのう)は、彼とデートだったのよ。とっても楽しかったわ」
「えっ、彼とかいたの? 何で教(おし)えてくれないのよ。で、どんな人なの?」
「それは…」彼女は恥(は)ずかしそうに、「背(せ)が高くて、とっても優(やさ)しい人よ」
「名前(なまえ)は? 何をしてる人なの? もっと詳(くわ)しく教えなさいよ。私たち親友(しんゆう)でしょ」
「名前は…山田(やまだ)よ。山田耕一(こういち)っていうの。それで、仕事(しごと)はね――」
黙(だま)って聞いていた別(べつ)の女子が驚(おどろ)いた顔をして口を挟(はさ)んだ。「山田耕一! なにそれ…」
「どうしたのよ、急に…。あなたの知ってる人なの?」
「わたしが…いま、付き合ってる人よ。どうしてあたなが、わたしの彼と…。あなただったのね。昨日、彼が突然(とつぜん)、デートを断(ことわ)ってきて…。あなたと会ってたなんて…」
デートの話をした女子は慌(あわ)てて、「ちょっと待ってよ。あたし、知らないわよ。彼は、そんなことする人じゃないわ。きっと、名前が同じだけで…別人(べつじん)よ」
「すぐに分かるわ。今日、みんなに紹介(しょうかい)しようと思って、ここに呼(よ)んでるの」
そこへ、男性が現(あらわ)れた。彼は彼女を見つけると手をあげて…。でも、同じテーブルにいる人の顔を見て後退(あとずさ)りを始めた。彼女たちが立ち上がると、一目散(いちもくさん)に店(みせ)を飛(と)び出した。
<つぶやき>これはフィクションです。でも、ありそうな話ではあるかもしれませんねぇ。
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