彼と喧嘩(けんか)をした。きっかけは些細(ささい)なことだったのに、まさかこんなことになるなんて。もう、三日も連絡(れんらく)がない。
時間がたつにつれて、仲直(なかなお)りのきっかけがつかめなくなっていた。このまま、さよならするのかな。そんなのイヤだ。
私は思いきってメールを送ろうとスマホを手にした。その時、着信音が鳴ってメールが届いた。見てみると、
<この間は、ごめん。ドアの取っ手を見て>
彼からのメールだ。私は急いで玄関(げんかん)を開けてみた。取っ手のところに小さな紙袋(かみぶくろ)がかけてあった。中にはケースに入ったペンダントが。これって、あの時の…。
「それさ、ずっと見てただろ」彼は私の前に突然(とつぜん)現れて、「なんか、欲(ほ)しそうにしてたから」
「でも、これってけっこう高かったのよ。どうして…」
「何かないとさ、来づらいっていうか…。ほら、俺(おれ)さ、貯金(ちょきん)とかしてるし」
「それって、まさか…。ダメだよ。カナダ旅行(りょこう)のための貯金でしょ。あんなにがんばってバイトしてたじゃない。もらえないよ」
「いいんだよ。また、貯金すればいいんだから。カナダが無くなるわけでもないし。ほら、楽しみが延(の)びたってことで…。それに、俺だけじゃなくて、君と二人で行きたいから」
「もう、ほんと計画性(けいかくせい)がないんだから。そんなんじゃ、いつ行けるか分かんないでしょ」
<つぶやき>ほんとにそうですよね。でも、彼と仲直りできてよかったじゃないですか。
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