みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0614「問題あり」

2019-07-28 18:29:08 | ブログ短編

 私の職場(しょくば)には、口癖(くちぐせ)のように「問題(もんだい)ないですよ」を繰(く)り返す後輩(こうはい)がいる。でも、それで問題が無(な)かったことは一度もない。いつしか、その後始末(あとしまつ)をするのが私の仕事(しごと)になっていた。上司(じょうし)から押(お)しつけられた感じはあったけど、他(ほか)にやれる人がいないのは確(たし)かである。
 私は、彼に仕事を覚(おぼ)えてもらおうと、何度(なんど)も何度も教(おし)えているのに…。私がいくら頑張(がんば)っても、何度注意(ちゅうい)しても、彼のやることはどこか抜(ぬ)けていて、やる気があるんだか無いんだか、まったく分からない。そして、今日もまた、彼は「問題ないですよ」を連発(れんぱつ)する。
 日頃(ひごろ)から温厚(おんこう)な私も、さすがに堪忍袋(かんにんぶくろ)の緒(お)が切れかかっていた。そんな時だ。取引先(とりひきさき)から電話(でんわ)がかかってきた。納品(のうひん)した数量(すうりょう)が違(ちが)っていると――。注文書(ちゅうもんしょ)を確認(かくにん)すると、注文を受(う)けたのは、あの後輩だった。私は、彼を呼(よ)びつけて言った。
「あのね、この注文、数(かず)が一ケタ違(ちが)うじゃない。私、言ったよね。注文を受けたら、ちゃんと確認(かくにん)しなさいって。何で、こういう間違(まちが)いがおこるわけ」
 彼は、私の顔を見ようともしないで、「ああ、これですか…。問題ないですよ。先輩(せんぱい)がいるじゃないですか。あと、お願(ねが)いします。俺(おれ)、他に仕事があるんで」
 私の中で何かが切(き)れた。私は声を荒(あら)げて叫(さけ)んでいた。
「あんたね、私を何だと思ってるの! 私は、あんたのママじゃないんだから! これも、あんたの仕事でしょ。自分のケツぐらい、自分でふきなさいよ!」
<つぶやき>この気持(きも)ち、わかる。でも言い方には注意(ちゅうい)しましょう。落ち着いて対応(たいおう)を…。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 0613「甘え上手」 | トップ | 0615「しずく38~クグ... »

コメントを投稿

ブログ短編」カテゴリの最新記事