今回の場所は、5月に続いて阪急茨木駅前、フタバアレイビル最上階にあるペントハウス「DBAR」。
ビルのオーナー兼設計者兼バー経営の加藤氏曰く、「安藤忠雄のマネしたってん」。
って、建築家のプライドないのんか?と思ったけれど、きっとそれは照れ隠し。打ちっぱなしの素敵なビルだ。今回はお店の定員を超えてのたくさんのお客様。なんとか椅子を増やしてもらって座っていただいた。満席のお客様はやっぱりうれしい。
「やさしい時間」は、こーことくーたという2人の登場人物の記憶が通じあい錯綜する物語だ。
売れない作家みずもれこーこの空想の物語が、こーこ自身の記憶と重なって、その記憶自体も現実と空想の区別がつかなくなっている。
一方、こーこの物語の中に登場する記憶喪失の男くーたは、現実の喫茶店の店員でもあり、何かを覚えてるのだけど、どこまでが自分の記憶でどこからがこーこの物語なのかわからない。
2人に共通する思い出は確かにあるのに、それはひょっとして現実にはなかったことなのかもしれない。でもそれを思い出すたびに、なつかしい気持ちになることにはかわりないのだ。
***************
以前、私は、「森蔭アパートメント」という作品で、「実現しなかった過去にも思い出はあるのかしら?」というセリフを書いた。
それは、かなめさんという老女が、かなわなかった初恋を思って言った言葉なのだけど、私は、当の初恋の相手をゆうれいにして登場させ、「ある」と言わせている。
実現しなかった過去も、手渡せなかった贈り物も、思い出の中ではちゃんと存在しているのだ。思い出は人生のやさしい時間だ。
現実だけが正しいのではない。正しいだけがやさしさではない。
私が物語を書くなかで、大切にしているのは、まさにそこだ。
今回の二人芝居のテーマは、私の「書く」ということのすべてに通じている。
悟さんは、くーたをなんと的確に演じてくれたことだろう。
言葉の一つ一つを大切に、それでいて、なんとも自然に。
私自身、自分が演技することにせいいっぱいで聞き逃していたセリフを、録音したボイスレコーダーで確かめてみると、悟さんの演技の力に改めて気が付く。
それに加えて朗読のバックに弾いてくれた悟さん作曲のギターの音。まさに、私の声と対話していた。
そしてまたみーちゃんのアコーディオンは、なんといい音色で心象風景に色を付けてくれたことだろう。
今回もギターとアコーディオンの協力があっての公演だった。とても贅沢なことをさせてもらったと思っている。
また新しい作品を書きたいという思いがむくむくと湧いてくる。その思いを大切に、少しづつ自分のなかで膨らませて物語にしていきたい。そしてまたいつか、形となって観ていただけることが出来ればと思う。
未熟な朗読だけど、「文字で読むよりもみ群さんの声で聴く方が好き」と言ってくださったお客さまがいた。それこそが、私が星みずくを始めようと思ったきっかけなので、とてもうれしかった。
今回、公演にかかわってくださった皆さん、来てくださったお客様、本当にありがとうございます!
星みずく公演、次回は来年の秋。星みずくとしてはちょっと規模の大きな芝居公演を考えています。
どうぞお楽しみに!
ビルのオーナー兼設計者兼バー経営の加藤氏曰く、「安藤忠雄のマネしたってん」。
って、建築家のプライドないのんか?と思ったけれど、きっとそれは照れ隠し。打ちっぱなしの素敵なビルだ。今回はお店の定員を超えてのたくさんのお客様。なんとか椅子を増やしてもらって座っていただいた。満席のお客様はやっぱりうれしい。
「やさしい時間」は、こーことくーたという2人の登場人物の記憶が通じあい錯綜する物語だ。
売れない作家みずもれこーこの空想の物語が、こーこ自身の記憶と重なって、その記憶自体も現実と空想の区別がつかなくなっている。
一方、こーこの物語の中に登場する記憶喪失の男くーたは、現実の喫茶店の店員でもあり、何かを覚えてるのだけど、どこまでが自分の記憶でどこからがこーこの物語なのかわからない。
2人に共通する思い出は確かにあるのに、それはひょっとして現実にはなかったことなのかもしれない。でもそれを思い出すたびに、なつかしい気持ちになることにはかわりないのだ。
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以前、私は、「森蔭アパートメント」という作品で、「実現しなかった過去にも思い出はあるのかしら?」というセリフを書いた。
それは、かなめさんという老女が、かなわなかった初恋を思って言った言葉なのだけど、私は、当の初恋の相手をゆうれいにして登場させ、「ある」と言わせている。
実現しなかった過去も、手渡せなかった贈り物も、思い出の中ではちゃんと存在しているのだ。思い出は人生のやさしい時間だ。
現実だけが正しいのではない。正しいだけがやさしさではない。
私が物語を書くなかで、大切にしているのは、まさにそこだ。
今回の二人芝居のテーマは、私の「書く」ということのすべてに通じている。
悟さんは、くーたをなんと的確に演じてくれたことだろう。
言葉の一つ一つを大切に、それでいて、なんとも自然に。
私自身、自分が演技することにせいいっぱいで聞き逃していたセリフを、録音したボイスレコーダーで確かめてみると、悟さんの演技の力に改めて気が付く。
それに加えて朗読のバックに弾いてくれた悟さん作曲のギターの音。まさに、私の声と対話していた。
そしてまたみーちゃんのアコーディオンは、なんといい音色で心象風景に色を付けてくれたことだろう。
今回もギターとアコーディオンの協力があっての公演だった。とても贅沢なことをさせてもらったと思っている。
また新しい作品を書きたいという思いがむくむくと湧いてくる。その思いを大切に、少しづつ自分のなかで膨らませて物語にしていきたい。そしてまたいつか、形となって観ていただけることが出来ればと思う。
未熟な朗読だけど、「文字で読むよりもみ群さんの声で聴く方が好き」と言ってくださったお客さまがいた。それこそが、私が星みずくを始めようと思ったきっかけなので、とてもうれしかった。
今回、公演にかかわってくださった皆さん、来てくださったお客様、本当にありがとうございます!
星みずく公演、次回は来年の秋。星みずくとしてはちょっと規模の大きな芝居公演を考えています。
どうぞお楽しみに!