ねむたいむ

演劇・朗読 ゆるやかで懐かしい時間 

「ポプコーンの降る街 2024 大樹版」の公演を観て

2024-12-11 | Weblog
寡作ではあるけど、30年近く戯曲を書いてきた。でも、30年たっても芝居のことはよくわかっていない。私の書く言葉が、舞台作品としてふさわしいのかどうかもよくわからない。自分で書いたものを自分の声で表現してみたいという思いもあって朗読活動もしているのだけど、そこにもいつも葛藤がある。
文字にした言葉と生身の人間の口から出る言葉の違い。文字を表現するということの意味。
劇作家が頭の中で作り上げた想像の産物を、いろんな人がかかわって舞台作品に仕上げていく。私は一番初めの土台を書かせてもらっているのだ。
今回、大樹版で書き足したものに、「楽しいお話を書いて好きな人に読んであげるんだ」というタキのセリフがある。なにげなく書いたセリフだけど、タキ役の女優さんの声を通して聞くと、それが意味深く聞こえる。聞きながらなんだかそれが今の私の書くことと表現することの原点にも聞こえてきた。それを語るタキの優しいしゃべり方がとてもよかった。これは文字では伝えることが出来ない。舞台って、ストーリーよりもそういう細部が観るものの心に残るのかもしれない。

来年11月に大樹さんは30周年の記念公演をするという。
そこで新作を書かせてもらう。まだ何も書いていないけど、パンフレットに題名を載せるというので、「クレマチスの小屋」と決めてしまった。山の中の古い小屋。壁を覆うクレマチスの花。そんな絵だけは見えている。さてさて、どうなることやら、なんて言ってないで頑張ります!