いつものように、パソコンを起動。
な、な、何だ?
現われたのは思いもよらぬ、真っ黒なBIOS画面。
そこには《ファンエラー》とある。
カシャ、カシャ、カシャ
ファンクションキーを色々と押しても、事態は改善しない。
困ったなあ。
仕方ない。
「もしもーし、俺。あのね、パソコンがね・・・」
「ははーん。それ、冷却ファンよ。夕方でよければそっちに行くよ。」
この男、
長年大手電器メーカーに勤務。
主にオフコンを担当してきた、言わばプロ中のプロである。
私にとって彼は、パソコン大明神なのだ。
もっとも、彼にすれば私は、突然『助けて』と電話してくる、厄介な疫病神に違いない。
なのに大明神は、こんな疫病神のために、10kmも離れた隣町から、どしゃぶりの中を、来てくれると言う。
夕方、
大明神がやって来た。
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パソコンを起動させ、何やら裏画面を出して確認し、
「フフ。おっちゃん、10回ぐらいあーだ、こうだってやったばいね。」
そう呟く大明神。
プロにかかれば、その時の私の慌てようなど、筒抜けらしい。
何はともあれ、分解である。
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冷却ファン。
最初に彼がしたのは、ブレードを手で動かす事。
「引っかかりがない。多分これ、生きてるよ。」
と言う事は、パソコンを止めた原因は他にある。
ファンが生きてた事が、良い事なのかどうかは、
「分らんよ。ヒヒヒ」
と、意地悪な笑みを浮かべながら、冷却ファンを外すと、
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「うあ!これ見て。」
「ドヒャー!!」
上の画像は、ある程度掃除した後なので、ピンとこないかも知れないが、
ファンの風が抜けるスリット(矢印)に、ビッシリとゴミが詰まっている。
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矢印の綿屑がその一部。
「これじゃね。パソコンが危険と判断して、自分で止めたんよ。」
「ヒャー!こんなに、ゴミって溜まるんか。」
「これが原因たい。間違いなか。組み上げるよ。」
チョチョイのチョイ
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「お、ファンが回る音がしてる。OSの起動も問題ないみたいね。」
「うおー、助かった!」
彼にはこれまでも、何度もパソコンの危機を助けて貰った。
旅先から、レスキュー電話をした事もあった。
「パソコンを見ないで、直せって言われても・・・」
何て文句を言いながらも、悉く解決してくれた。
持つべきものは、スペシャリストの友人である。
追記
旅先と言えば、
キャンピングカー移動中は、パソコンを振動から守るため、布団の中に放り込んでいる。
もしかして、あの大量の綿屑って・・・それ?
パソコンを布団で包んでしまいがちな、
あ、な、た。
他山の石とすべし、である。
って、そんなヤツいないか。