久留米の紅葉も最終盤。
耳納連山の山懐、柳坂曽根の櫨並木にやって来た。
エナガ発見!
今年の櫨はここ数年では、色づきが良いようだ。
旧日田往還を挟んで山側の櫨並木。
昔ながらの雰囲気が色濃く残り、私はこっちの方が断然好きだ。
やがて櫨並木が途絶え、その先を更に山手に進むと、
もみじ寺こと永勝寺に至る。
作り込まれた庭園がある訳でもない。
見る者を圧倒するボリュームもない。
それでも私達は、惹きつけられるように毎年ここにやって来る。
本堂の裏手を回り込むように小径が続く。
やがて、本堂の瓦を下に見るようになると、色付く木々が両脇を飾りだす。
展望台から。
一筋に伸びる櫨並木が見える。
カンカンカンカン
踏切の警報音である。
もしかして、、、
久大本線を走る列車には、
【ゆふいんの森】や【或る列車】、そして、運が良ければ【七つ星】も。
さあ、来い!
あー、残念!
普通のヤツか。
遠い山の上から、理不尽にも残念がられる気の毒なキハ形。
今更だが、
スマン!
と詫びておく。
高台から降りてきた。
再び境内へ。
けんぽなしは永勝寺でとれる天然記念物。
その実は、ほんのりと梨の味がする。
傍に住職がいたので、お声を掛けさせて頂いた。
「住職、今年も色づきが良いようで。」
「有り難うございます。バッテンお若いですな。あの石段を登って来られて。」
「ま、まあ。今のところなんとか。」
「うちの石段は、えーっと、何段やったかいな。100何段と20何段と、、、150段?いや、えーっと・・・」
「・・・・」
「時にあーた。この前、勝手に私の顔が使われとりましてな。」
それが何かは聞き漏らしたが、住職の写真が何かの媒体に載ったらしい。
「それは、ケシカランことで。」
「これがもう、有名になってですな。」
「ははあ。」
「市会議員にでも立とうと思っちょります。」
「結構なことです。」
「それはそうと、良いカメラをお持ちですな。」
「いえいえそんな。」
「腕を磨いて、行く末は有名カメラマンですか。」
「住職、私を幾つとお思いで?私の行く末なんか、ジジイまっしぐらでさあね。」
私達がここに惹きつけられるのは、この住職との時間であるようだ。