毎年この時期、訪れている場所がある。
もみじ寺こと永勝寺である。
実は10日ほど前にも、近くに用事があり、ここを訪れている。
その時はまだ、青葉が目だっていた銀杏も、いい具合に色付いている。
本堂の裏手へ登ろう。
展望所から見る柳坂曽根の櫨並木。
「あ、虹。」
丁度その時、城山方向に虹が。
境内を一回り見て回ったら、
「コーヒー飲ませて貰うぞ。」
庫裡前に置かれたテーブルで、コーヒーを頂くのも毎年の楽しみである。
メニューはコーヒーと生姜湯。
「コーヒー頂けますか。」
「はいはい。どうぞテーブルでお待ちください。」
テーブルに座ると、住職も腰掛けて四方山話。
「この辺は猿がよく出ます。」
「ほんとですか!」
「近所の地名に猿段って残っとります。大昔からうじゃうじゃいます。」
「ヒョー。」
「鹿も多かです。」
「ははあ。そういえばこの前、狐ば上の方で見ましたよ。」
「ほー、そうですか。時に、なんていいましたっけ。えーっと・・・」
「??」
「最近、こげんして言葉が出てこんとですよ。人と話すとが認知症予防によからしかですな。」
「そう言いますね。」
「あ!そうそう。ホトトギスじゃった。テッペンカケタカじゃった。」
「で、それはどんなお話で?」
「えーっと・・・・何の話やったかいな。」
どうやら私達は、恰好の話し相手と認めて貰ったらしい。
和尚さん、話が止まんなくなっちゃた。
「寺の家紋は桐と笹竜胆です。うちは永平寺の流れでして・・・」
「ははあ。(弱ったなあ)」