どこもかしこも、自粛自粛。
異を唱えるつもりは更々ないが、少々やりきれない気分もある。
各種イベントの中止はおろか、びっくり仰天いきなりの学校の臨時休校から、
ディズニーランド&シー休園、プロ野球や大相撲までもが無観客開催と、枚挙にいとまがない。
身近で言えば、草野つばきウォークや、楽しみにしていた蔵開きまでもが延期だという。
全く持って「ありゃまあ」と言うしかない。
時折小雨が降る日曜。
「オイ、どっかいくぞ!」(私)
「どこへ?」(家内)
それは、
天領日田の豆田の街並みだ。
この時期、雛祭りイベントが開催されているのだ。
草野本家。
何度かこの時期、この豆田には訪れているが、中に入るのは初めてである。
草野本家とは、
筑後国主である名族草野氏は、戦国末期、豊臣秀吉の騙し討ちにより謀殺され、その命脈は絶たれた。
と、てっきり思っていた。
ところが何と、一族の一部は、隣町と言って良いこの日田に逃れ、武家を捨てて商家となり、現在まで連綿と続いていたと言う。
知らんかった。
中庭を中心に、各部屋が設けられ、それぞれは濡縁により繋げられている。
「館内は撮影禁止ですが、庭程度なら・・・」(係員)
残念ながら、享保から明治初期までの貴重な178体の雛人形の数々は、ここでお見せ出来ないが、素人目に見ても素晴らしいものだったと記しておく。
この豆田に来たなら、ここのおかきを頬張りながら歩くのが、我々の決まり事である。
では、
パリッ
通りには元禄何年創業とか、享保何年創業など、そんな事が殊更珍しくもないような古い店が、ズラズラと並んでいる。
次は日田醤油醸造元のコレクションである。
こちらはカメラは・・・
「バンバン撮って下さい。」
貝合わせでは、ハマグリはよく見るが、
シジミは珍しかろう。
図柄が小さ過ぎて、老眼の身では、とてもこれで遊ぶ事は出来ぬ。
子供に老眼がいない事は、全く持って幸いである。
これは明治天皇を模した変わり雛。
享保年間の雛。
この雛壇に飾られている雛飾りは、全て江戸期の物。
10段の雛飾り。
日本最大級らしい。
こちらは、人間国宝原米州作との由。
原米州と言う名の価値を、全く知りもしないが、人間国宝と聞けば、
「おいくら?」
と、思わず訊ねたくなる。
御殿雛。
この日田醤油は天皇献上の栄誉を賜った醸造元である。
実は我が家も、長年ここの醤油を使っている。
「ついでだ。かけ醤油買って帰ろっと。」
また少し、雨がぱらついてきた。
薫長酒蔵。
真新しい大きな杉玉が吊るされている。
入るとすぐに売店となっている。
無論、真っ先に新酒を購入。
その隣には、映画【男はつらいよ】のラベルが貼られた純米吟醸が並べられていて、
「何これ?」
レジのオバサンの言によれば、後藤久美子が出演した何作目かに(聞いたが忘れた)この酒蔵がロケ地となっていたらしく、
「今年1年しか発売出来んとです。美味しかですよ。」
「買った!」
売店を通り越すと、資料館となっていて、無料で見学ができる。
ホーローの酒樽。
今は使われていない。
屋根裏部屋。
数々の醸造道具が展示されている。
ヌッ
足フェチ専門店ですと。
あ、豚足ね。
あざとい看板出しやがって。
色々と妄想してしまったではないか!
この後、小雨が本降りに。
日田豆田の雛祭りは、小雨交じりの天気と言う事を差し引いても、例年に比べれば、人出は少なかった。
何てったって、あの騒々しい国民らが皆無なのだから。
昔のように、落ち着いて観光がしたいなら、今が狙い目かも。