豆田の街並みを歩いているうち、いつの間にか、お昼を過ぎてしまっていた。
気が付いた途端に腹が減る。
現金なものである。
さて、何食べよう。
カフェでパスタ?ドリア?
いやいや、そんな気分じゃない。
蕎麦も何だか違うし。
日田らしく鮎とか川魚は?
あ、そうだ。
どうせなら、豪勢に鰻っていう手もあるぞ。
うーん。
悩みながら歩いていると、宝華ラーメンと言う店の前に。
豆田の街並は、ラーメン屋ですら(失礼)、この風情なのだ。
あ!
「これだ!折角日田まで来たとやけんな。これ以外ありえんやろ。」
「うん、これがよか。」
鰻の誘惑にすら打ち勝ってしまうという、目眩く魅惑の世界に私らを誘うもの。
それは・・・
焼きそばだ。
「日田焼きそばを食わずして、日田を語るなかれだ。入るぞ!」
席についたら、一応、メニューに目を通してみた。
ラーメンから目をやる。
や、山かけラーメンとな?
山芋をラーメンにトッピングするって事?
ははあ。
あ!
それどころじゃないぞ。
とんでもないものを発見した。
納豆ラーメンだと?
ねっとりと糸を引く麺&チャーシュー!
あまりにも破滅的な光景が脳裏に浮かぶ。
クラクラクラ
目眩がしてきた。
危うく気絶しかける寸前に、
「注文、何にしましょうか?」の声。
ハッと、我に返る。
「あ、えーっとね。納豆・・・じゃなくて、ごほん!日田焼きそば二つと、餃子を単品で一つ。」
「へーい。」
先ずは餃子が運ばれてきた。
前菜代わりにパクついていると、
「焼きそばでーす。」
見よ、この美しい円錐形を。
これは大盛ではない。
これが普通盛なのだ。
リフトアップ
ガブ
ズルズルズルー
モグモグ、パリパリ
所々、カリカリになるまで焼かれた麺は、癖になる噛みごたえと香ばしさ。
具は実にシンプル。豚肉、モヤシ、ネギの3種のみ。
一般的なキャベツやニンジン、練り物など一切省いた潔さである。
誠に清々しい。
ソースは各店で独自の配合があるようで、一転、複雑な風合いとなっている。
あー、食った食った。
やっと、納豆ラーメンの禍々しい妄想が消し飛んだよ。
雨も降って来たし、後は酒蔵に行って、新酒買って帰ろうかな。