東京に住む弟夫婦が、一泊で久留米に遊びに来ている。
いつもなら大宴会の後は、そのまま我が家に泊まると言うパターンだが、
「今回はホテルば予約しとる。」(弟)
「何で?」(私)
「Go Toたい。」(弟)
聞けば、クーポンまで合わせれば、一人当たり、往復の航空運賃+ホテル代が、1万円ちょっとになる計算だと言う。
ドヒャーである。
「そりゃ、Go To使いたくなるわな。」
「ついては、熊本城ば見に行こう。今、空中回廊ってのが出来とるらしかよ。」
「空中回廊ですと?ふーん。何か知らんがわかった。」
てな事で、日曜日は熊本である。
二ノ丸広場から。
現在、天守閣の間近までは行けるようになっている。
「ばってん、先に加藤神社に行くぞ。」(私)
整然と並べられた壊れた石垣の石。
この超難問のジグソーパズルの答えは、果たして見つかったのだろうか。
辰巳櫓
ここは相変わらず、手付かずのままだ。
加藤神社から。
崩れたままの長塀(重要文化財)
解体した建造物の瓦保管所。
再び二の丸広場へ戻ってきた。
いよいよ天守閣だ。
宇土櫓(重要文化財)
今まで遠くからしか眺められなくて、比較的無事な様に見受けられていたが、
近づいて見ると、やはりである。
早急の工事の着手を望みたい。
大天守と小天守。
ここまで間近で見られたのは、恐らく震災前に家族で来て以来だから、およそ7年ぶりである。
大天守、小天守とも、石垣を含めて外観の復旧は概ね終了。
現在、内部の耐震補強工事が施されているとの事。
天守閣の石垣ジグソーパズルは完成である。
熊本城は別名銀杏城ともいうらしい。
その名の由来ともなった大銀杏は、西南戦争で天守閣と共に焼失した。
だが、その根元から出た脇芽が成長し、現在、こんな立派な姿に生まれ変わっている。
本丸御殿下の通路を抜けると、
件の空中回廊が現れる。
「崩れた石垣の上の建物は、えらく歪んどるな。」
「あそこの石垣が白くなっとるとは、新しい石ちゅう事やろか?」
「そうやろ。」
「崩れた場所をモルタルで固めとるとは、工事ば諦めたんやろか?」
「そうやろ。」
傍で聞いていた警備員のオジサン。
私らのトンチンカンな会話に耐えられなくなったらしい。
堪らず割って入り、
「いえ、石垣が白いのは、その上の構築物が雨を防いでいる分、苔等が生えにくいからです。元々の石です。」
「ごもっとも。」
「それと、モルタルは復旧を諦めた訳じゃなく、これ以上の崩落を防ぐ為の言わば応急処置です。」
「ごもっとも。」
お陰で全ての謎が解けました。
熊本城は警備員のオジサンだって、熊本城愛と知識が半端では無いのだ。
石垣に番号が振り分けられている。
と言う事は、ここでもパズルは解明されたようだ。
とは言え、全体を見れば、手付かずの個所が圧倒的だ。
傍観者の私が言うのも何だが、その膨大な崩壊現場に立ちすくむ思いである。
城彩苑で昼食だ。
適当な店に飛び込む。
おや?
メニューを見て、一つの疑念が浮かんでしまった。
くまもとお城ラーメン?
天守閣の如く、トッピングが天高く聳え立っているのだろうか。
この謎は説いておかねばなるまい。
「くまもとお城ラーメンでーす。」
「??? えーっと、、、見た所、城には見えんね。何でお城ラーメン?」
「え?だって、お城で売られてるラーメンだから・・・」
「ごもっとも。」
疑念を持った私が間違っていたようだ。
頂きまーす。
続く。