
過去30年間のめまぐるしい技術進歩により、これまで「謎」とされてきた様々な現象が解明されつつある。新たなる研究により、その正体が解明されつつあるものもある一方、いまもって謎につつまれたものもある。ここでは、世界に広がる「謎」とされる7つの事象についてみてみることにしよう。
ソース:Strange Topics That Need More Explanation
1.バークリーの謎の壁

サンフランシスコのイースト・ベイに沿った丘に、古代の奇妙な壁がある。この壁についての詳細記述は残されていないので、その起源はわからない。この壁は、玄武岩が隙間なく合わさったものが基礎になって作られていて、バークリーからミルピータス、果てはサンホセまでの丘の尾根に沿って南へ続き、その長さは80キロにもなる。
年月の経過で、所々崩れてはいるが、壁は曲がりくねり、急に折れたり上ったりしている。しかし、何かを囲っている様子もなく、実用的な目的に使われたのかどうかもわからない。壁は山々をまいて、ディアブロ山へと続き、ここには直径9.1メートルの奇妙なストーンサークルが見つかっている。一番保存状態がいい箇所は、ミルピータスの東にあるモニュメント・パークのあたりで、壁の高さは1.8メートル、幅90センチ。詳細な調査をしていないのでいつごろのものなのか、正確な年代はわからない。
ヨーロッパ人が入ってくる前は、オーローンインディアンが住んでいたが、彼らは壁を使わなかったようだ。サンルフランシスコ湾の西に向かって、ポイントレイズに別の壁がある。トマレスポイント半島を二分するように、400以上の岩が慎重に並べられている。誰がこの壁を作ったのかはわからないが、防御要塞か、インディアンの部族との境界線として使われたのではないかと言われている。1904年、カリフォルニア大バークリー校のジョン・フライヤー教授は、壁はヨーロッパ人が来る前に中国人の移民が作ったという説をとなえた。
2.アポロ11号の消えたテープ

1969年7月21日、ニール・アームストロングとバズ・オルドリンが月面を歩いた映像が、世界中に放映されたが、当時の技術の限界で、映像はかなり不鮮明だった。限られた帯域でしか、映像のシグナルを伝送できず、地球に送るには多重送信しなくてはならなかった。アポロ11号の月面歩行の映像は、SSTV(スロースキャンテレビ)のフォーマットで伝送された。
アポロ11号のミッシングテープ映像
Main Show Only - The Missing Apollo 11 Tapes - Coast to Coast AM
もともとSSTVは、既存のNTSC(全国テレビジョン方式)やヨーロッパのパル方式、フランスのセカム式とは相性が悪いので、映像を変換する必要があった。映像の信号を高品質ビデオモニターに送り、従来のテレビカメラで録画し直して全世界に放映された。
さらにモニターやカメラの光学的技術の限界のせいで、コントラストや明るさの精度が低く、オリジナルのSSTVの映像の解像度も悪かった。2006年に、NASAがこのオリジナル版を含む磁気テープのデータを700箱分も紛失した大失態がが明るみになった。重要な証拠を失くすというこの失敗のせいで、月面歩行は捏造だったという陰謀説に油を注ぐことになったのだ。
3.マルタ島のカートラッツ(馬車のわだち)

マルタ島の西海岸ディングリクリフ近くにある先史時代の遺構。マルタ島は地中海の中央に位置する南ヨーロッパの国で、シチリアから80キロのところにある。岩の上につけられた複雑に交差する、馬車のわだちのようなこの痕跡は最大のミステリーである。
1647年、採石場から切り出した岩をアフリカへ輸出することになり、それらを海に向かって運んだ時にできた跡だと言われているが、どのようにできたのか、目的は何なのか、現在もはっきりしていない。考古学者は、紀元前2000年頃に、シシリアからマルタに入植者が入ってきた時にできたものではないかと言っている。
このわだちはマルタ島周辺のゴーゾ島などでも見られる。ディングリクリフ付近のものは、わだちが錯綜して交差点で渋滞しているように見え、その方向もさまざまで定まっていない。わだちの溝の深さは平均60センチ、両輪?の幅は110から140センチ。痕跡の距離は数百メートルにも及び、最後は水中に消えている。大きな岩の周りに円を描くような跡もある。人間のそりの跡、古代の灌漑システムの遺物など、さまざまな説がある。最近の調査からは、木製の車輪をもつ馬車が柔らかい石灰石に食い込んでできた跡である可能性が指摘され、これが本当ならば、マルタ島の古代の交通網の証拠となる。
4.南極ウィルクスランドのクレーター

南極大陸東部の広大な地域のことで、1838年アメリカの探検隊を指揮したチャールズ・ウィルクス中尉の名にちなんでつけられた。この時初めて、南極が大陸であることがわかった。
1962年、このウィルクスランドの氷河の下に巨大なクレーターがあると報告された。2006年に重力測定をしたところ、480キロにも及ぶクレーターがあることが証明された。中心は70°S、120°E、約25000万年前にできたものらしい。レーダー解析で中心に大きなリングであることがわかり、これが衝突の名残だとすると、白亜紀-古第三記の絶滅を引き起こしたと考えられている衝撃でできたクレーターの4~5倍の大きさということになる。
2012年にウィルクスランドの中心から採取されたサンプルには、熱帯のものの存在が確認された。調査チームは、南極の植生を再現し、5200万年前の沿岸に熱帯、または亜熱帯雨林が存在したことを発見した。
5.バルト海の異変

2011年6月19日、スウェーデンのダイビングチームが、バルト海の底で奇妙なものを発見した。直径60メートルもの円形をした異様な物体が、水深83.8メートル地点にあるのをソナーがとらえたのだ。その形は、映画『スタ
ーウォーズ』に出てくるミレニアム・ファルコン号にそっくりだった。
2012年、チームは3D海底スキャナーで、その物体を再び調査した。まるで巨大なマッシュルームのようなその物体は、海底から8メートルの太い柱が伸び、4メートルの分厚いドームに覆われているという。これは、第二次大戦の時に使われた、英国とロシアの潜水艦のレーダーをかく乱させるための装備を備えたナチの対潜戦闘機なのではないかと言われた。もしそうなら、この付近で電子機器がきかない理由の説明になり、歴史的に重要な発見になるかもしれない。
エイリアンの宇宙船であるとか、政府の設備だと主張するUFO研究家もいる。最初の調査で、この物体には階段や通路、狭い出入り口があることが報告されていて、大きな滑走路のような筋の端に留まっているという。岩が積みあがったもの、表面に独特な模様が描かれているなど、いろいろ言われるがはっきりしない。多くの科学者は、これを岩、または沈殿物の堆積と見ている。
6.ヴィンランド地図

1960年、現在はカナダ領のニューファンドランド島、ラブラドール半島の北の果てにある古代スカンジナビア人の居住区、ランス・オ・メドーが見つかった。これは、コロンブスより500年前に、バイキングが北アメリカに上陸していたことを示している。1000年頃、ノルウェーの偉大な探検家、レイフ・エリクソンがこの居住区を設立し、ヴィンランドと名づけた。
1957年、このヴィンランドの地図があるというニュースが流れた。15世紀の世界地図を表していて、スカンジナビア人のアメリカ探検についての情報が詰まっている。さらに、アフリカ、アジア、ヨーロッパ、グリーンラン
ドの南西のことも描かれていた。書かれている羊皮紙からすると、1423年から1445年の間のものであるようだが、地図の真贋についてはさまざまに言われてきた。
1960年、化学分析によって、地図のインクの成分が20世紀のものであることが判明。1920年代に人工の顔料として使われた、アナターゼの存在が決定的になった。しかし、自然のアナターゼはさまざなな中世の写本に使われていたことも事実だった。さらに、地図は1950年代に未知の物質でコーティングされていたことがわかる。
この地図の正当性を主張するためか、ヴァンサン・ド・ボーヴェ(12世紀から13世紀の百科事典)3巻の当時のコピーと同じ虫食い穴まで発見された。ヴィンランド地図に、グリーンランドの形や方位など、かなり正確に詳細が描かれていることが最大の謎だ。ノルウェーの場所が日本になっていたりと、いいかげんな部分も多く、真贋については論争が絶えないが、北アメリカを初めて表した地図としての価値は高いかもしれない。
7.ガラスの要塞

1777年、ジョン・ウィリアムズというイギリスの地質学者が、ガラスの要塞について報告した。高熱にさらされた形跡のある天然石の壁や囲いでできているため、この名がつけられた。しかし、どのようにしてできたのかは大きな謎だ。
現在でも大きな構造物をガラス化する有効な方法はない。要塞全体をガラス化するために必要な温度は、原爆の爆発のそれに匹敵するという。しかし、ガラスの要塞は、ヨーロッパ中でたくさん見つかっており、スコットランドには80以上もある。新石器時代からローマ時代にの長期に渡って作られ、とても広大で、大きな土手が見られる。歴史家たちは、1050℃から1235℃という高温にじっくりさらしてできたものではないかと言うが、そのような温度を保つのは至難の業だ。高温にさらしたとしても、急速に冷やさないとガラス化はしない。
なぜ、あまり合理的とは言えない、構造物自体がもろくなってしまうようなことをしていたのか?理由ははっきりしないが、太陽フレアによる大規模なプラズマ現象によってできたものではないかという説もある。プラズマ現象が起こると、大気中の気体がイオン化され、大きな電気が生じる。そのせいで岩が溶けてガラス化されるのではないかというのだ。
☆世界の謎って7つどころやないやろ?