京都を舞台にして、各大学ごとに「オニ」を使役した“ホルモー”なる覇権争いの話、「鴨川ホルモー」がとても面白かったので、「ホルモー六景」も読もうと思いながらも、他に読む本がありすぎてなかなか読めなかったのですが、やっと順番がまわってきました。
プロローグ以外は「野生時代」という月刊誌に、2007年3月号から8月号まで連載されたものだそうで、読んでみると「鴨川ホルモー」の続編と言うより、同時進行でリンクしてる短編連作でした。
今回は恋愛がメインで、女性同士のドロドロあり、甘酸っぱい気持ちもあり、純粋さもあり、不思議さもあり。
少し時間がたってるので、あぁ、これはあの時のことだ、と思い出しながら読みました。
どの話も面白く、“第一景・鴨川(小)ホルモー”は、女性に人気の無い女性は、女性と男性の前で態度が違う女性、というのが毎回上位にきますが、ここでもコンパでそういう女性を目の前にし、あとで酒の肴にしては毒を吐く二人。底冷えのするクリスマスイヴの夜、「鴨川の等間隔カップル、足先の冷え、男ごころ」を『新・天下三大不如意』と決定。ホルモーで最強コンビと評される二人の片方に恋する気持ちが芽生えたことからはじまる二人の対決を描いたおはなし。
“第二景・ローマ風の休日”は、髪型とメガネが大木凡人に似ているために、凡ちゃんと呼ばれる女性と、彼女が気になって仕方がない男の子。あるヒミツをかかえた彼女は彼とデートをするのだけれど、ここで凡ちゃんの聡明さを表現するために「ケーニヒスベルクの橋の問題」が出てくるところが、万城目サンったらやるじゃんと思いました。
“第三景・もっちゃん”がまた素晴らしい。
実在の人物である梶井基次郎氏をモデルにしたフィクションなのだけれど、当時の風景と現在の風景がシンクロしても、なんら違和感を感じない京都だからこそ、もっちゃんの気持ちがいじらしくせつなく、強く印象に残るお話となって生まれたように思いました。
“第四景・同志社大学黄龍陣”は、新入生の巴(ともえ)が書庫から取ってきて欲しいと桂先生に頼まれたとき、偶然見つけたのは木箱に入った黄色い浴衣と手紙。手紙の一枚目には「horumo―」という単語が。
こりゃいったい何だ?と探索に乗り出すというお話です。
“第五景・丸の内サミット”では、ホルモー卒業生たちが東京でのコンパで邂逅、クロスで互いにホルモーを戦ったことがある知り合いだが、それぞれの友人はそれを知らない。ぎくしゃくしながらコンパを終え帰路につく。そのとき空にふらふら浮遊する何かを発見。それが京都で使役してきたオニだとわかり、あとをつけると着いたのは平将門の首塚。そのとき男女の話し声が…。
“第六景・長持の恋”にはやられました。
立命館大学白虎隊のメンバーである珠美は、バイト先の料亭で“おたま”と呼ばれている。ある日おかみにたのまれて「狐のは」の蔵に行った時、そこにあった古い長持の中に眠っていた古い木の板を見つける。そこには「なべ丸」という筆文字があった。すると自分の意思とは関係なく、珠美の手が動き、油性マジックペンで「おたま」と書いてしまった。そこから時をこえて「なべ丸」と「おたま」の文通がはじまる。
「なべ丸」とは、柏原鍋丸という安土桃山時代の人物で、やがて本能寺の変に巻き込まれるということを知った珠美は彼を助けようとするが返事は途絶える。が、なべ丸からの最後の手紙に、“いつかあなたの前に参る、あなたにわかるよう、しるしをつけて参る、琵琶湖のしるしとともに、きっとあなたを見つける”と書いてあり、それは現実となる。
こんなにステキなお話が書ける人だなんて…。
読み終えたとき、せつないながらもじんわりと心があたたかくなり、幸せな気持ちになれました。
ちょっと万城目中毒らしく、今、万城目さんの新作“プリンセス・トヨトミ”を読み始めています。
プロローグ以外は「野生時代」という月刊誌に、2007年3月号から8月号まで連載されたものだそうで、読んでみると「鴨川ホルモー」の続編と言うより、同時進行でリンクしてる短編連作でした。
今回は恋愛がメインで、女性同士のドロドロあり、甘酸っぱい気持ちもあり、純粋さもあり、不思議さもあり。
少し時間がたってるので、あぁ、これはあの時のことだ、と思い出しながら読みました。
どの話も面白く、“第一景・鴨川(小)ホルモー”は、女性に人気の無い女性は、女性と男性の前で態度が違う女性、というのが毎回上位にきますが、ここでもコンパでそういう女性を目の前にし、あとで酒の肴にしては毒を吐く二人。底冷えのするクリスマスイヴの夜、「鴨川の等間隔カップル、足先の冷え、男ごころ」を『新・天下三大不如意』と決定。ホルモーで最強コンビと評される二人の片方に恋する気持ちが芽生えたことからはじまる二人の対決を描いたおはなし。
“第二景・ローマ風の休日”は、髪型とメガネが大木凡人に似ているために、凡ちゃんと呼ばれる女性と、彼女が気になって仕方がない男の子。あるヒミツをかかえた彼女は彼とデートをするのだけれど、ここで凡ちゃんの聡明さを表現するために「ケーニヒスベルクの橋の問題」が出てくるところが、万城目サンったらやるじゃんと思いました。
“第三景・もっちゃん”がまた素晴らしい。
実在の人物である梶井基次郎氏をモデルにしたフィクションなのだけれど、当時の風景と現在の風景がシンクロしても、なんら違和感を感じない京都だからこそ、もっちゃんの気持ちがいじらしくせつなく、強く印象に残るお話となって生まれたように思いました。
“第四景・同志社大学黄龍陣”は、新入生の巴(ともえ)が書庫から取ってきて欲しいと桂先生に頼まれたとき、偶然見つけたのは木箱に入った黄色い浴衣と手紙。手紙の一枚目には「horumo―」という単語が。
こりゃいったい何だ?と探索に乗り出すというお話です。
“第五景・丸の内サミット”では、ホルモー卒業生たちが東京でのコンパで邂逅、クロスで互いにホルモーを戦ったことがある知り合いだが、それぞれの友人はそれを知らない。ぎくしゃくしながらコンパを終え帰路につく。そのとき空にふらふら浮遊する何かを発見。それが京都で使役してきたオニだとわかり、あとをつけると着いたのは平将門の首塚。そのとき男女の話し声が…。
“第六景・長持の恋”にはやられました。
立命館大学白虎隊のメンバーである珠美は、バイト先の料亭で“おたま”と呼ばれている。ある日おかみにたのまれて「狐のは」の蔵に行った時、そこにあった古い長持の中に眠っていた古い木の板を見つける。そこには「なべ丸」という筆文字があった。すると自分の意思とは関係なく、珠美の手が動き、油性マジックペンで「おたま」と書いてしまった。そこから時をこえて「なべ丸」と「おたま」の文通がはじまる。
「なべ丸」とは、柏原鍋丸という安土桃山時代の人物で、やがて本能寺の変に巻き込まれるということを知った珠美は彼を助けようとするが返事は途絶える。が、なべ丸からの最後の手紙に、“いつかあなたの前に参る、あなたにわかるよう、しるしをつけて参る、琵琶湖のしるしとともに、きっとあなたを見つける”と書いてあり、それは現実となる。
こんなにステキなお話が書ける人だなんて…。
読み終えたとき、せつないながらもじんわりと心があたたかくなり、幸せな気持ちになれました。
ちょっと万城目中毒らしく、今、万城目さんの新作“プリンセス・トヨトミ”を読み始めています。
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