小説・鉄槌のスナイパー3章・NOー(93)
「美保、元気な孫を抱かせてくれよ」。
「うん、でもお父さんもお母さんも若いお爺さんとお婆さんになるんだよ。少し可哀相だけどいいの?・・・」
「そんなのいいさ、なあ母さん」。
「へえ、若いお婆はん大いに結構へ。それより女の子、それとも男の子。もう分かっていはるんやろ」すると美保は京平の目を見た。すると京平は頷いた。
「じゃあ教えてあげようかな。両方」。
「えっ、両方。両方ってどう言う事なんへ。・・美保、まさか」!
「うん、双子なの。男の子と女の子だって。先生は心配ないって」。
「美保、そりゃ凄い。どうして黙っていたんだ、早く教えてくれればいいのに。全く、一度に二人の孫が生まれるのか」。
「うん、病院でね、赤ちゃんの映像を見せて貰ったら、女の子とハッキリとオチンチンが写るんだよ」。
「まあ美保ったら。良かったわね。じゃあ白馬のご両親も喜んでくれはったでしょ」。
「うん、もう大騒ぎ。早くお父さん達に知らせなさいって、でも少し焦らしてやろうかなって思ったから、ヘヘ、ごめんなさい」。
そんなこんなで夜も過ぎるのも忘れて親子は子供の事や名前の事で話は盛り上がった。
そして十一時になると両親は休むように勧めた。二人は先に風呂に入った。美保の大きくなった腹を労るようにそっと身体を洗っていた。
そして黒ずんだ乳頭にそっと唇を寄せて愛撫した。美保は唇を噛むと声を圧し殺して京平の頭を胸に押し付けた。
そして妻として夫を愛し、二人は愛の交換をすると風呂を出た。
そして両親に「お休みなさい」と声を掛けると自分の部屋に戻り、鏡の前に座ると寝化粧をしてベットに入った。
美保は京平の胸に抱かれ、寝息を漏らしていた。
そんな寝顔を見ながら京平は出会った頃の事を思い返していた。
あの汽車に乗り遅れても先の汽車でも自分は美保に出遭う事はなかった。
なんと言う縁なんだろうか。今思うと何から何まで目に見えない運命的なレールが敷かれていたのかと、そんな気がしていた。そして幸せな今に感謝している京平だった。
そして翌朝、晴れた暖かい朝だった。朝食を済ませた父を仕事に送り出すと母美代子は二人に留守を任せるとデパートの店へと出掛けて行った。
二人は戸締まりをすると散歩に出た。美保の母校である京大のキャンパスに入って四年間、色々な人と出会い別れたキャンパスのベンチに掛けて陽光うららかな陽溜まりに美保は学屋を見詰めていた。
「あの頃こんな幸せが来るなんて思ってもなかったな。あの頃の私は父と折り合いが悪くて荒んでいたの。そんな私に友世はいつも優しくしてくれていた。友世にも幸せになって欲しかったな」。
京平は何を言って良いのか戸惑いながら、美保の肩を抱き締めていた。そして立ち上がると京平の手を握るとキャンパスを出た。
そしてぶらぶら知恩寺に歩いた。寺の門をくぐり境内にはいるとプ~ンと線香の匂いが風に運ばれて二人を包んでいた。
静まり返った中で読経が聞こえて時折、チ~ンと金の音が聞こえた。美保は両手を合わせ何を祈っていたのか。すると携帯が鳴った。
「お早ようございます。真田です、紺野さんさっき山下の事故死した事で警察が来ました。山下の遺体から新札が見付かって、調べたら僕が銀行から降ろした金だと分かったと言って。
でも知り合いで困っていたから車のローンのお金と二百万貸した事にして話しておきました。それで警察も納得して帰りました。だから葬儀に出ようと思いますが。良いでしょうか?・・・」
「そうか、それだけの金を貸し借りする仲だと言う事で葬儀には出た方がいいな。後の事はお前に任せる」。
「はい、じゃああの金は香典代わりと言う事にして家族には話して来ます。まさかそんな事で来るとは思いませんでした」。
「うん、でも憎めない奴だったからな。それから少し多めに香典を置いて来てやってくれないか」。
「はい、警察の話しだと、山下の家族は父親がいないそうなんです。年子の妹が水商売をして家族を支えているらしいんです。なんか気の毒になってしまって。父が悪いことをして残した金がまだ十分ありますから、それで何とか力になってやろうと思いますけど」。NO-93-27
「美保、元気な孫を抱かせてくれよ」。
「うん、でもお父さんもお母さんも若いお爺さんとお婆さんになるんだよ。少し可哀相だけどいいの?・・・」
「そんなのいいさ、なあ母さん」。
「へえ、若いお婆はん大いに結構へ。それより女の子、それとも男の子。もう分かっていはるんやろ」すると美保は京平の目を見た。すると京平は頷いた。
「じゃあ教えてあげようかな。両方」。
「えっ、両方。両方ってどう言う事なんへ。・・美保、まさか」!
「うん、双子なの。男の子と女の子だって。先生は心配ないって」。
「美保、そりゃ凄い。どうして黙っていたんだ、早く教えてくれればいいのに。全く、一度に二人の孫が生まれるのか」。
「うん、病院でね、赤ちゃんの映像を見せて貰ったら、女の子とハッキリとオチンチンが写るんだよ」。
「まあ美保ったら。良かったわね。じゃあ白馬のご両親も喜んでくれはったでしょ」。
「うん、もう大騒ぎ。早くお父さん達に知らせなさいって、でも少し焦らしてやろうかなって思ったから、ヘヘ、ごめんなさい」。
そんなこんなで夜も過ぎるのも忘れて親子は子供の事や名前の事で話は盛り上がった。
そして十一時になると両親は休むように勧めた。二人は先に風呂に入った。美保の大きくなった腹を労るようにそっと身体を洗っていた。
そして黒ずんだ乳頭にそっと唇を寄せて愛撫した。美保は唇を噛むと声を圧し殺して京平の頭を胸に押し付けた。
そして妻として夫を愛し、二人は愛の交換をすると風呂を出た。
そして両親に「お休みなさい」と声を掛けると自分の部屋に戻り、鏡の前に座ると寝化粧をしてベットに入った。
美保は京平の胸に抱かれ、寝息を漏らしていた。
そんな寝顔を見ながら京平は出会った頃の事を思い返していた。
あの汽車に乗り遅れても先の汽車でも自分は美保に出遭う事はなかった。
なんと言う縁なんだろうか。今思うと何から何まで目に見えない運命的なレールが敷かれていたのかと、そんな気がしていた。そして幸せな今に感謝している京平だった。
そして翌朝、晴れた暖かい朝だった。朝食を済ませた父を仕事に送り出すと母美代子は二人に留守を任せるとデパートの店へと出掛けて行った。
二人は戸締まりをすると散歩に出た。美保の母校である京大のキャンパスに入って四年間、色々な人と出会い別れたキャンパスのベンチに掛けて陽光うららかな陽溜まりに美保は学屋を見詰めていた。
「あの頃こんな幸せが来るなんて思ってもなかったな。あの頃の私は父と折り合いが悪くて荒んでいたの。そんな私に友世はいつも優しくしてくれていた。友世にも幸せになって欲しかったな」。
京平は何を言って良いのか戸惑いながら、美保の肩を抱き締めていた。そして立ち上がると京平の手を握るとキャンパスを出た。
そしてぶらぶら知恩寺に歩いた。寺の門をくぐり境内にはいるとプ~ンと線香の匂いが風に運ばれて二人を包んでいた。
静まり返った中で読経が聞こえて時折、チ~ンと金の音が聞こえた。美保は両手を合わせ何を祈っていたのか。すると携帯が鳴った。
「お早ようございます。真田です、紺野さんさっき山下の事故死した事で警察が来ました。山下の遺体から新札が見付かって、調べたら僕が銀行から降ろした金だと分かったと言って。
でも知り合いで困っていたから車のローンのお金と二百万貸した事にして話しておきました。それで警察も納得して帰りました。だから葬儀に出ようと思いますが。良いでしょうか?・・・」
「そうか、それだけの金を貸し借りする仲だと言う事で葬儀には出た方がいいな。後の事はお前に任せる」。
「はい、じゃああの金は香典代わりと言う事にして家族には話して来ます。まさかそんな事で来るとは思いませんでした」。
「うん、でも憎めない奴だったからな。それから少し多めに香典を置いて来てやってくれないか」。
「はい、警察の話しだと、山下の家族は父親がいないそうなんです。年子の妹が水商売をして家族を支えているらしいんです。なんか気の毒になってしまって。父が悪いことをして残した金がまだ十分ありますから、それで何とか力になってやろうと思いますけど」。NO-93-27