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20XX年・クエスチャン (-5-)

2010-05-09 15:23:35 | 20XX年・クエスチョン
20XX年・クエスチャン (-5-)

気象庁や博士のおられる気象学会は全く予想出来なかったんでしょうか。 
「異常気象に着いてはどちらとも言えません。貴方も御存じだろうが、今では出産後間もなく極僅かな高性能IDチップが後頭部に埋め込まれます。
このIDチップは体温を関知する機能もありましてね。また、100度まで絶えれらますが。人は生きられません。
それにIDチップは破壊されてしまいます。それを衛星が瞬時に探知して政府のメ  インコンピューターに生死を教えてくれる仕組みになっています」。
「・・・そこまでは知りませんでした。では衛星と繋がりましたので、今後犠牲者が増えない事を祈りながら、観て参りましょう」。

映像が切り替わり。衛星がアジア大陸を遠めに映しだした。明らかに被害を受けた国々の大地の色が変わって居る。                          
大地には緑は無く、砂漠化しているのが素人でも見分けが着く程であった。    
そして、各国の原子力発電所の所在地は★マークが標され、次々と各国の原子炉をアップに映し出しす。いずれの原子炉建屋は変色はしていたものの無事であった。
次に衛星からの映像は各国の主要な港を映し出した、東のインドの沿岸伝いに。
大きな炎を上げ、濛々と黒煙を空を染めて居る。が、しかし、その消火に当たる船も人の姿は全く見当たらないのである。それはどの国の港も同じであった。 
画面の片隅に女子アナと神宮寺の表情が映し出される。
両手をテーブルに置き、堅く結び、唖然と観てる姿が印象的であった。
カメラを向けられている事に女子アナは気付き、姿勢を直して語り掛けようとするが、画面から映像が消え、アジア大陸を映し出した映像に戻る。
徐々に一点を目指して拡大して行く。異常が発生したモンゴルの現状を映し出した。
緑地帯は全くといって良い程見られなかった、大地は土色に染まっている。

「これは酷いです、いま映し出しているのがモンゴルの首都ウランバートルです。まるでポンペイですね。
異常な熱で大地は荒廃し、その熱に因って自然発火して家屋が全て焼き尽くされてます。これでは残された生物は草一本と言えど生きて無いでしょうね」。
「博士、どうしてこの様な大惨事になったんでしょうか」。      
「一概にこうだとは言えません。正直な所、現時点では全く分かりません。何せ被害地域を見るのはこれが始めてですからね。               
それに、ようやく観測機器が正常に戻ったばかりでデーターがありません」。
「・・・・・」その言葉に立花ソニアはどう質問をして言いのか困惑ぎみに「こうなった原因に何か思い当たる事は無いのでしょうか」。         
「・・・ただ、何年か前に有能な一人の学者がいましてね、こうなるかどうかは口にしませんでしたが・・・」。神宮寺は言葉を飲み込む様に口を閉ざし、不意に・・・
「いまに飛んでもない事が地球上で起こると予期した学者がいました」。その一言にザワザワとスタジオ内が騒然とする。
「コマーシャル、コマーシャルいけッ!」。
コマーシャルONが点灯する。ディレクターの笠井が血相を変え、ヘッドホーンを外して駆け寄る。     
「博士困ります、生放送なんですよ。本番中に予言紛いた事をおっしゃられては困ります」。
ハッ・・・どうも、これは失礼した。だが今の話しは冗談ではない・・・その学者はデーターに基づいていると言っていた。当時そんなSF小説まがいな論文に極少数の学者が興味本位でからかう者はいたが誰も耳を貸す者も本気で相手にする者もいなかった。私を含めてだがね・・・」。
「では今はどうです?・・・信じないまでも遠からずって事ですか」。     
その問いに神宮寺は眼鏡を外し、しばし沈黙した後、そっと二度三度と頷く。 
「ソニア、後半は君一人でカバーしてくれ。恐らく放送を観た視聴者から苦情の電話が殺到するだろう。博士は帰った事にします。宜しいですね」。 
神宮寺「申し訳ありません。つい生放送だと言う事を忘れ、気になっていた事を口にしてしまった。本当に申し訳ない」。神宮寺は肩を落とし、控え室に戻った。
長いコマーシャルがつづき、番組が再開された。
 
「引き続き異常気象の被害に遭われた国々の映像を御覧下さい」。
どうした神宮寺は・・・まさかあんな事を言うとは思いもしなかった。漸く俺が発表した論文を信じる気になったのか・・・。
佐伯は悪い気はしなかった。そう思うと三年前、正確には三年と六ケ月前になる。
こんな男を師と仰いで目標にして来た自分が恥ずかしい。と、雑言を吐き捨てたまま姿を消した自分が恥かしく思えてきた。
あんな事を全国放送で話してしまっていいのか。自分から導火線に火を点けてこれからが大変だぞ。あの頃ならSF小説の読み過ぎなんじゃないのか、そう言って笑われて済ませられた話しでも今は事情が違う。NO-6-10