半日の花嫁-(NO-2-)
「明、しっかりしなさいよ。芳美、貴方一緒に行ってやってちょうだい」。母はレジに走るとレジの下の棚から財布を出して芳美に持たせた。NO-2
そして母親たちの見詰める中、明と芳美は刑事の車に乗り込み、駐車場を出て行った。
頼む、間違いであってくれ。神様、お兄さんを悲しませなで、間違いであって下さい。
明と芳美は声にはださなかったが一心に祈っていた。
そして警察に着くと遺体安置所に通された。そしてドアが開かれた。
そこは線香が手向けられいた、ベッドには真っ白な布が掛けられた遺体が横たわっていた。顔にも布が掛けられ、明は立ち止まると体が震えていた。
すると、反対に廻った刑事が両手を合わせ、布に手を掛けて捲った。
「嘘だ!・・・要子!・・・要子!おい!目を明けてくれ、おい!・・・」。
明は要子の遺体に抱き着いて揺り起こした。刑事はそんな明の肩に手を添えると要子の遺体から引き離した。
芳美は両手て顔を覆うと嗚咽し、霊安室を飛び出して行った。刑事は何も聞くこともなく、黙って明を霊安室から出した。
そして廊下の長椅子に座る芳美の隣に座らされると、明は大きく溜め息を着いた。そして二度三度と。そして両手で顔を覆うと肩を震わせて泣いた。
するとバタバタと足音ががして旅行に出ていた両親が到着した。
そして、廊下で泣いてる明の姿を見た。要子の母親は叫びながら明に駆け寄った。
「義母さん、義父さん。要子が、要子が・・・・」。
義父は声も出せないまま蒼白し、霊安室に飛び込んだ。そして母親も追って飛び込んだ。顔を見る事もなく,母親はベッドの前で倒れてしまった。
刑事たちは急いで霊安室を出ると救急車の手配に走った。そして要子の父親の啜り泣くが廊下の明や芳美の耳に届いた。
間もなく救急隊員が担架を持って走って来た。そして看護にあたった。すると救急隊員の顔色が変わった。人工呼吸を始めたのだった。
「心停止、すぐに搬送します」。すると父親は振り返って妻に寄り添った。
「明君、要子を頼みます。この上女房まで死なせたら要子に申し訳がない」。
気丈な父親は涙を堪え、救急隊員に着いて病院に向かった。
残された明は唖然と立ち尽くしていた。「こんなバカな。刑事さん、それで要子は誰に、死因はなんなんです?・・・」。
明は涙を流しながら刑事を睨みつけて聞いた。すると黙っていた。
「新田さん、椎野さんの首が折れています。詳しい事は司法解剖が終わらないと分かりません。警察は全力で犯人を探しています。協力をお願いします」。
「刑事さん、取り乱して済みませんでした。要子と来月一日に結婚する事になっていたんです。こう言う時は自分はどうしたら良いんでしょう」。
「お兄ちゃん・・・」。芳美はそう言ったきり嗚咽し、兄の胸で泣いていた。
「新田さん、御遺体は浜松の大学病院に搬送して司法解剖を行います。ともかく今は椎野さんのお母さんの所へ行ってあげて下さい。厚生病院です」。
明と芳美は警察を出ると、通りでタクシーを止めて病院に向かった。そして、車内から心配している母親に携帯を入れて事情を説明した。
「そう。義母さんが霊安室で。明、くじけちゃ駄目よ。いいわね」。
「ああ、大丈夫だよ母さん。また電話する」。と携帯を切った。
そして、間もなく病院に到着した明は集中治療室に小走りに歩いた。そしてICUの前に行くと、要子の父親は肩を落として泣いていた。
明と芳美にはその状況で直ぐに分かった。走っていた足も止まり、どう言葉を掛けて良いのか困惑しながら歩いた。
すると、要子の父は二人に気付いて顔を上げた。そして横に首を振った。
明はそっと目を閉じて頭を下げた。
「いや~っ、叔母様まで死んじゃうなんて。叔父様、どうして!・・・」。
芳美はその場で泣き崩れた。明はそっと抱き起こすと義父の隣に座らせた。
そこへ矢部刑事が駆け付けて来た。三人の様子を見て母親は助からなかった事を察した。そっと三人の所へ歩み寄った。
「椎野さん、新田さん。何と言って良いか分かりません。お気の毒です」。
義父と二人はそっと立ち上がると両手を揃え、丁寧に頭を下げた。
「明君、要子から四時ころ電話を貰ったよ。いま明さんと婚姻届を出して来たと、嬉しそうにね。それがこんな事になるなんて。女房もそれを聞いて喜んでいた。
明君、何て言って良いか私には・・・」。と両手で顔を覆って泣いていた。
要子が婚姻届けは誕生日に出したいと言う希望で今日の午後三時に出したばかりだった。
「そうでしたか、それで式は九月一日になっていたんですか」。NO-2-4
「明、しっかりしなさいよ。芳美、貴方一緒に行ってやってちょうだい」。母はレジに走るとレジの下の棚から財布を出して芳美に持たせた。NO-2
そして母親たちの見詰める中、明と芳美は刑事の車に乗り込み、駐車場を出て行った。
頼む、間違いであってくれ。神様、お兄さんを悲しませなで、間違いであって下さい。
明と芳美は声にはださなかったが一心に祈っていた。
そして警察に着くと遺体安置所に通された。そしてドアが開かれた。
そこは線香が手向けられいた、ベッドには真っ白な布が掛けられた遺体が横たわっていた。顔にも布が掛けられ、明は立ち止まると体が震えていた。
すると、反対に廻った刑事が両手を合わせ、布に手を掛けて捲った。
「嘘だ!・・・要子!・・・要子!おい!目を明けてくれ、おい!・・・」。
明は要子の遺体に抱き着いて揺り起こした。刑事はそんな明の肩に手を添えると要子の遺体から引き離した。
芳美は両手て顔を覆うと嗚咽し、霊安室を飛び出して行った。刑事は何も聞くこともなく、黙って明を霊安室から出した。
そして廊下の長椅子に座る芳美の隣に座らされると、明は大きく溜め息を着いた。そして二度三度と。そして両手で顔を覆うと肩を震わせて泣いた。
するとバタバタと足音ががして旅行に出ていた両親が到着した。
そして、廊下で泣いてる明の姿を見た。要子の母親は叫びながら明に駆け寄った。
「義母さん、義父さん。要子が、要子が・・・・」。
義父は声も出せないまま蒼白し、霊安室に飛び込んだ。そして母親も追って飛び込んだ。顔を見る事もなく,母親はベッドの前で倒れてしまった。
刑事たちは急いで霊安室を出ると救急車の手配に走った。そして要子の父親の啜り泣くが廊下の明や芳美の耳に届いた。
間もなく救急隊員が担架を持って走って来た。そして看護にあたった。すると救急隊員の顔色が変わった。人工呼吸を始めたのだった。
「心停止、すぐに搬送します」。すると父親は振り返って妻に寄り添った。
「明君、要子を頼みます。この上女房まで死なせたら要子に申し訳がない」。
気丈な父親は涙を堪え、救急隊員に着いて病院に向かった。
残された明は唖然と立ち尽くしていた。「こんなバカな。刑事さん、それで要子は誰に、死因はなんなんです?・・・」。
明は涙を流しながら刑事を睨みつけて聞いた。すると黙っていた。
「新田さん、椎野さんの首が折れています。詳しい事は司法解剖が終わらないと分かりません。警察は全力で犯人を探しています。協力をお願いします」。
「刑事さん、取り乱して済みませんでした。要子と来月一日に結婚する事になっていたんです。こう言う時は自分はどうしたら良いんでしょう」。
「お兄ちゃん・・・」。芳美はそう言ったきり嗚咽し、兄の胸で泣いていた。
「新田さん、御遺体は浜松の大学病院に搬送して司法解剖を行います。ともかく今は椎野さんのお母さんの所へ行ってあげて下さい。厚生病院です」。
明と芳美は警察を出ると、通りでタクシーを止めて病院に向かった。そして、車内から心配している母親に携帯を入れて事情を説明した。
「そう。義母さんが霊安室で。明、くじけちゃ駄目よ。いいわね」。
「ああ、大丈夫だよ母さん。また電話する」。と携帯を切った。
そして、間もなく病院に到着した明は集中治療室に小走りに歩いた。そしてICUの前に行くと、要子の父親は肩を落として泣いていた。
明と芳美にはその状況で直ぐに分かった。走っていた足も止まり、どう言葉を掛けて良いのか困惑しながら歩いた。
すると、要子の父は二人に気付いて顔を上げた。そして横に首を振った。
明はそっと目を閉じて頭を下げた。
「いや~っ、叔母様まで死んじゃうなんて。叔父様、どうして!・・・」。
芳美はその場で泣き崩れた。明はそっと抱き起こすと義父の隣に座らせた。
そこへ矢部刑事が駆け付けて来た。三人の様子を見て母親は助からなかった事を察した。そっと三人の所へ歩み寄った。
「椎野さん、新田さん。何と言って良いか分かりません。お気の毒です」。
義父と二人はそっと立ち上がると両手を揃え、丁寧に頭を下げた。
「明君、要子から四時ころ電話を貰ったよ。いま明さんと婚姻届を出して来たと、嬉しそうにね。それがこんな事になるなんて。女房もそれを聞いて喜んでいた。
明君、何て言って良いか私には・・・」。と両手で顔を覆って泣いていた。
要子が婚姻届けは誕生日に出したいと言う希望で今日の午後三時に出したばかりだった。
「そうでしたか、それで式は九月一日になっていたんですか」。NO-2-4