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小説・鉄槌のスナイパー3章・NOー(88)&CG

2008-12-17 02:28:48 | 小説・鉄槌のスナイパー(第三章)
小説・鉄槌のスナイパー3章・NOー(88)&CG

「こりゃ失礼しました。物分かりのいい奥さんで。アッハハハ・・・」。
「もうお父さんたら。ねえ貴方、私少し横になってもいい?・・」。
「いいよ、少し急いで廻ったから疲れたろ。休んでいいよ」。
と美保を連れて二階に上がった。
そして横にさせるとリビングに戻り、義父明雄と話が盛り上がり、時の過ぎるのも忘れていた。
そして夕方、五時を過ぎると出掛けていた母美代子が買い物袋を下げて帰って来た。すると、リビングから京平と夫の笑い声が聞こえ笑みを浮かべていた。
「ただいま、随分楽しそうね。美保はどうしたの?・・・」
「ここに居るよ。お帰りなさい、お父さんがなんか話しがあるってさ。ねえ、お父さん。そうだよね」。
すると父は戸惑いながら見る気もないテレビのスイッチを入れた。すると母美代子は夫の前に座った。「なあにお父さん」。
「う、うん。それはだな、美保。美保が高橋さんの奥さんが作った茶巾寿司が美味しいから、母さんの店で出したら良いんじゃないかって。それに、なんだ、ほら・・・」。と話がメチャクチャだった
「アッハハハハ、なあにそれ、お父さん。お母さん、今日幸子のお墓にお参りに行ったの。そしたら小母さんも来てね、お宅へお邪魔してお昼をご馳走になったの。帰りに手作りの茶巾寿司と天むすをお土産に頂いて来たの。
そしたらお父さんまだお昼食べて無くてそれ食べて貰ったの。
職人さんが作った味と違って家庭的な味で美味しいから、お母さんの店で出したらどうかって。ねえ京平さん」。
「うん、それにじっと家にいるより表に出て働いていた方が気が紛れるだろうって。そう言っていましたよ」。
「まあ、お父さんったら。だったらそう言ってくれたら良いのに。私もその事は気になっていたの、いいわ、後で電話してみますから」。
こうして母と美保は夕飯の支度を始めた。
そして京平は義父の明雄の晩酌に付き合って食事を済ませた。そして七時半になると美保が口を開いた。
「京平さん支度して出掛けないと、知恩寺で待ち合わせでしょ」。
「うん、もうそんな時間。じゃあ義父さん義母さん失礼して行って来ます」。義父母の二人は頷いていた。そして部屋に行くと着替えて金の入ったバックにブリーフケースを入れると玄関を出た。
「京平さん、気を付けてね」。と京平に抱き着いて耳元でそっと告げる美保だった。そんな二人を見ていた両親は笑みを浮かべていた。
そして五分も歩くと知恩寺に着いた。
すると、真っ黒なワンボックスカーが正門に止まっていた。歩み寄るとドアが開いて真田が降りて来た。
「紺野さん、どうぞ」。真田の恰好は黒ずくめだった。
「うん、まるで泥棒にでも行くようだな。じゃあ行こうか」。後部座席に乗り込むと三河昇の待つ京都駅に向かった。
そして二十分、約束通り八時二十分に着くと三河が待っていた。
三河も後部座席に乗り込むと、シャワーを浴びて来たのか石鹸の匂いが車内に漂った。
「今日ははしゃいで廻り過ぎました。でも京都は良いですな。戦争でアメリカさんが空襲しなかった訳が分かりましたよ」。
三河はまだ肌寒い京都に満喫していた。
「三河さん、戦争でアメリカは東京をあんなに空襲したのに京都は何故空襲しなかったんですか?・・・」
真田はまるで子供のような事を聞いて三河は呆れていた。
「それはだな、京都には世界中どこを探してもない日本古来の文化があるんだ。アメリカさんはそんな文化が色濃く残っている京都は残しておきたかったのさ。
寺院仏閣、孰れを取っても世界遺産だからね。日本人にもそう言う心があれば戦争なんかしなかったろうがね」。真田は黙って頷いていた。
車は駅前から七城に出ると西大路通りに出て北へ上った。
間もなく金閣寺に着くと脇の道を火葬場に向けて入った。火葬場には水銀灯の怪しいげな光がただ広々とした駐車場を照らしていた。
真田は京平の指示で一番奥へ車を走らせ、管理棟の裏に車を止めた。
「紺野さん、言われた事を調べてきました。警備会社の巡回が九時に終わっていますから、後は午前一時です」。
NO-88-16

小説・鉄槌のスナイパー3章・NOー(87)&CG

2008-12-14 13:19:09 | 小説・鉄槌のスナイパー(第三章)
小説・鉄槌のスナイパー3章・NOー(87)&CG

「今度来てくれた時は家に上がって貰います。それにお金の事もお礼を言わせて頂ます。所で房子、真田君は佐々木さんの旦那さんを面倒看てるっていうじゃないか、お前知ってたか?・・・」。
「いいえ、さっき美保さんから聞きました。なんて人だろうって」。
「うん、私も今日会社で聞いて来た所だ。貴明君あの父親と血が繋がってなくて良かったな。紺野さん奥さん有り難う。おや、おめでただね、お目出とう」。
「はい、有り難うございます。九月なんです」。
「そうですか、美保さんもお母さんになるんだね。お二人の子供なら可愛いですね。生まれたら私にも抱かせて下さ」。
「はい、是非。小父さん今年の夏は絶対に避暑に来てくれますね」。
「ええ、紺野さん御夫婦には色々御心配頂いてますから、ご挨拶がてら女房と娘の写真を持って必ず行かせていただきます」。
「約束ですよ。小父さん小母さん」。美保の満面んな笑顔に夫婦は揃って頷いて笑っていた。
美保はその笑顔を見ると頬にツ~ッと涙が流れていた。

「美保さん紺野さん。お昼作るから食べてってよ。茶巾寿司と天むす、美保さん好きだったわよね」。
「うん、大好き。じゃあ遠慮なく御馳走になります」。
すると幸子の母房子は化粧を直すと買い物篭を持って出掛けた。
「紺野さん、美保さん、本当に色々有り難うございました。佐々木さん御夫婦があんな事になって女房も塞ぎこんでいたんです。
こんな時は男ってなんの役にもたたなくて。久し振りに女房の笑い顔を見ました。此れでふっきれたでしょう」。と、目を潤ませて頭を下げた。
美保は来て嘘でも良いから話して良かったと胸の内で思っていた。
そして買い物から帰った房子は台所に立ち、料理を始めた。
「小母さん、お手伝いします」。美保に娘の幸子が使っていた前掛けをして、二人は楽しそうに作っていた。

そして茶巾寿司と天むすを山ほど作るとテーブルに並べた。
「わあ~っやっぱりおばさんの茶巾寿司は最高だね、美味しい。大学の頃が懐かしい。幸子ったら良く茶巾寿司持って来てくれて、良く食べたな」。
「そうね、幸子も好きだったわね。お父さん、今日は二人に来て貰って良かったわね。幸子もきっと喜んでいますよ」。
「うん、帰った後が寂しいけどね。房子、これでスッキリしたろ」。
「はい、何ですか胸に支えていた物がス~ッと取れた気がします。幸子はいいお友達を持ったわね。紺野さん、美保さんを泣かせたら私が承知しませんよ、ねえ貴方、アハハハ・・・」と豪快に笑っていた。
「ええ、約束します。幸子さんの分まで幸せにします」。
京平はその言葉の深さに気を引き締めていた。
こうして久し振りの墓参を終えて、茶巾寿司の土産を貰って二人は帰った。

そして真っすぐ実家へ帰った。すると母美代子は店に出掛けて留守で父は午後二時過ぎだと言うのにまだ昼も食べていなかった。
美保は貰って来た茶巾寿司を出してお茶を沸かして食べさせた。
「もうっお父さんったら困っちゃう、お母さんがいないと何も出来ないんだから。そんな事じゃ困るじゃん」。
「こりゃ美味しいな、何所で売っているんだね」。
「もう、ごまかして。それは幸子のお母さんが作ってくれたの」。
「そうかね、高橋さんの所へ寄って来たのか。美保、良かったら母さんの店でこの茶巾寿司だしたらどうだ。家庭的な味で職人が作るのと違って大衆的な味で受けると思うがな」。と、驚くような事を言うのだった。
「うん、それも良いかも。だったらさ、お父さんがお母さんに話してみたら。その方がお母さん喜ぶよ」。
すると、どうしてと言う顔をして娘を見た。

「だってお父さん、お母さんのお店の事気になっている癖に知らん顔してるんだもん。そこから糸口を解いたら」。
「そうだな。美保の言う通りだな。じゃあ今夜にでも話してみるか。お前も大人になったね」。
「そうよ、もう主婦だもん。お父さん、それで今夜だけど、夕食が済んだら京平さん出掛けるから。さっき町でお友達に偶然あって誘われたの」。
「そう、いいよ。それで美保も行くのか?・・・」
「ううん、私は大きいお腹して行かれないよ。それに男同士で行く所は決まっているでしょ。私はそんな野暮じゃありませんよ」。
とニヤッと笑みを浮かべていた。NO-87-14