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お盆の入りを迎え、今日からお盆です。
先月だったか・・・
三浦哲郎『盆土産と十七の短編』(中公文庫)を買いました。
三浦哲郎の「盆土産」・・・
ご存じの方も多いのではないでしょうか・・・
中学校の国語の教科書に載っていました。
まずは、ざっくりとあらすじを。
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(表紙には、作中に登場する、河鹿がいます!)
まだ昭和の頃・・・
主人公は、上野から夜行で8時間、さらにバスで1時間の村に住む、少年。
出稼ぎに出ている父が、思いがけず、お盆に「海老フライ」を土産に
帰省してくるという・・・けれども、「えびフライ」と言われたところで想像できない・・・
はてさて・・・という短編です。
「盆土産」が気になってならない少年が、
何度も何度も「えんびフライ」と発音する姿が、ほほえましく・・・
何より、えびフライを口に入れるときの「しゃおっ」の擬音が
いかにも揚げたてで、おいしそうで・・・
当時の先生は、授業で扱っている間、3回も海老フライを夕飯になさったほどw
翌日、出稼ぎから戻った父と共に、少年、姉、そして祖母の家族全員で、
亡くなった母の墓参りに出かけます。
母の好きだった、コスモスとキキョウを摘んで・・・
「早死にした母親は、あんなに旨いものはいちども食わずに
死んだのではなかろうかーーそんなことを考えているうちに、
なんとなく墓を上目でしか見られなくなった。」
「父親は、すこし離れた崖縁に腰を下ろして、黙ってタバコをふかしていた」(21頁)
夜行で帰ったばかりの父親は、翌日、墓参りを済ませると、
再び東京へ夜行で向かいます。
その父との別れの場面が、ウルウルなのに、ふっと笑わせてくれて・・・
ユーモアとあたたかさ、ほろ苦さをあわせもつ・・・
名作ですっ!
今回も、読んでいて、何度も、目頭を熱くした、アタクシです。
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若かりし頃、この小説を読んだ後、
三浦氏の小説を劇団四季がミュージカル化した「ユタとふしぎな仲間たち」に
夢中になりました。
しげしげと劇場へ通いながら、常に、「盆土産」を意識していた気がします。
都会育ちのユタは、村の暮らしになじめず、いじめられる日々。
やがて座敷童と出会い成長・・・いつしか村の中に溶け込んでいきますが・・・
というお話。
そんなユタを観ながら、
少年や村の暮らしに、「盆土産」の世界を重ねていたのでしょう・・・
「ユタ」を、ママになったばかりの友人と観たこともありました。
「うちのイッちゃんが大きくなったら、絶対に観せてあげたい」と
つぶやいていた彼女・・・あれから、はや何年、何十年?
そのイッちゃんも、今では立派な社会人、
自立して、親元から離れて暮らしているそうです。
(イッちゃん、「ユタ」を観たのかな・・・?)
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『盆土産と十七の短編」は、中学・高校の国語教科書に収録された作品を
中心に選んだ短編集だとか・・・
これから、懐かしい三浦哲郎・作品を、ゆっくり読むつもりです。
さて、お盆。
実家では、母が亡き父のために、盆飾りを済ませたとか・・・
週末には、わたしも、実家へ戻り、母と二人で過ごすつもりです。
同じ市内に暮らすとは言え、このコロナ禍。
母とは会うのは、あわただしく出かける、歯医者さんへの通院くらいでした。
久しぶりに、亡き父の写真を前に、母とおしゃべりすることでしょうw
(マスク、マスク!?w)
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八月がくるたびに、いつも思うのですが・・・
お盆に、ご先祖様をお迎えし、命のつながりに感謝し、
手を合わせる・・・
一方で、広島、長崎の原爆忌を経て、
15日、お盆のさなかには終戦の日を迎えます。
戦争とお盆・・・生きること、命の重さを考える日が続く・・
このめぐりあわせに、毎年、不思議な想いに駆られてなりません・・・
今年は戦後75年と言うことで、テレビや新聞でも、
「戦争」を取り上げる機会が多いような気がします。
そちらについては、またいずれ・・・
◆書影は、版元ドットコムより使わせていただいております。
「ユタとふしぎな仲間たち」は新潮文庫版を愛読してきましたが、
書影がなかったので、講談社・青い鳥文庫版を使いました。
◆「盆土産」で墓に供えられた桔梗とコスモスの画像は、
2018年夏に撮影したものです。