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NHK「1945ひろしまタイムライン」

2020-08-14 | パフォーマンス
前記事でも触れましたが、今年は、戦後75年ということもあり、
戦争をテーマにしたテレビ番組が多いようです。
(本日の画像は、本文記事に関連した、書影です)

いつも、気になる番組は、まず、録画予約をし、
時間のあるときに、アイロンかけをしながら、観ています。

この日、観たのは「1945ひろしまタイムライン」(NHK)。

「もし75年前、日本が戦争をしていた1945年にSNSがあったら?」
そんな仮定で生まれた番組です。

当時、広島に暮らしていた三人の日記を、
現代の若者にもわかりやすいようにアレンジして、ツイート。
ツイートは、年末まで、更新されるそうです。

日記の書き手は、新聞記者の一郎さん、中学一年生のシュンくん、
そして新婚のやすこさん。

三人の日記(ツイート)から、戦争と隣り合わせながらも
市民には日常があり、8月6日の原爆投下の日まで
存在していたことが、伝わってきまし

それぞれのツイートは、チームで担当。
番組では、日記とツイートだけでなく、チームのメンバーである
現代の若者の思いも紹介されていました。

(今日マチコ『アノネ』<秋田書店>は現代の少女と
アンネ・フランクが交錯する戦争ファンタジー)


印象的だったのは、日記を綴っていたシュンくんこと、
新井俊一郎さん御本人と、ツイートを担当した高校生とのやりとりです。

ツイートを読んだ新井さんに、感想をうかがうと・・・
「おもしろくない!」と一言。

日記の文面を、高校生は膨らませてツイートしているのですが、
それが、ご自分の想いとは違うとおっしゃいます。
要は、時代背景や状況をわかっていないからだと・・・

高校生もシュンくんの日記から追体験をしようと、
20キロの米袋を下駄履きでかつぐなど試行錯誤をしていたものの、
結局、根本が分っていないと指摘されたのです。

(『アノネ』下巻。上下巻とも、カバーをとれば、「キティ」つまり
オレンジと白のチェック地であるアンネの日記が現われます。素晴らしい!)


ところが、ダメ出しを食らっても、しっかり立ち上がるのが、
若い人の素晴らしいところ!

なんと、メンバーの一人は、「軍人勅諭」を書き写しました。
シュンくんたちが丸暗記をさせられたという「軍人勅諭」。
びっしりと埋められた勅諭は、ノート3頁にも及びます。

作業を終えた高校生の女の子は
「守らなかったら、容赦しないぞという、脅しを感じられた」と、
実感のこもった発言をしていました。

この知ろうという柔軟性は若さの賜物です!



(「被爆ピアノ」のNHK番組の参考図書だそうです。近々読む予定。)


終戦から私の生まれた高度成長期までの間は、20年もありません。
今、20年前といったら・・・「平成」が始まって、
ようやく新元号に慣れたかな、というところでしょうか・・・

そんな時代ですから、子どもの頃は、
街中に、傷病兵がおもらいをしている姿もありました。
(本者の元傷病兵かどうかはともかく)

小学校までの通学路には防空壕が残っていたり、
同級生の中には、戦争で親戚を亡くしたという子がいたり・・・
戦争の記憶は、どこかまだ生々しいものでした。

だから、「当たり前」に理解できていたこともあったのだと思います。
その「当たり前」が、令和を生きる若者達に、わからなくても
仕方がないのかもしれません。

たとえば、一郎さんの日記を担当したジャーナリストの女性が言います。
「日記を読んでみて、真実を書けないことに対し、
ジャーナリストとしての葛藤があったのだとわかった」と・・・

先頃保釈された、香港の民主活動家・周庭さんが
「怖さや不安がとんでもなかったです」 と
逮捕当時の心境を語っていましたが・・・

あの当時の日本も、憲兵を初めとした、すぐそこにある、
国家権力への恐怖が、市民を支配していたはずです。

それに対しての抗議はできなくとも、
個人としてての想いはいろいろだった・・・ということなども、
時の流れとともに、理解しにくくなっているのでしょう。

けれども、こういった新しい形での番組、
それも、SNSのような馴染みあるツールを使っての番組なら
戦争特集も、見やすくなるのかも知れません。

もちろん、若い世代だけでなく、アラカンおばちゃん世代にも
興味深いものでした。
とりわけ、番組HPのコンテンツは、豊富な内容で素晴らしいです。



(被爆ピアノをテーマにした映画のノベライズ本)


アップされている、一郎さんの8月6日の日記には
原爆投下後の市内の様子が、克明に記されています。

その中に、軍刀を杖代わりにした若い軍人に対し、
「もんぺ姿の元気な主婦」が「お前たち軍人のやり方がわりいけえ、
こういうことになったんじゃ」と怒鳴りつけていたとありました。

自分たちは、何もかも、必死に耐え偲んで、軍部に協力してきた・・・
なのに警報も出されぬまま爆弾が落とされ、こんな惨状となった・・・
何をやっていたんだ!・・・と食ってかかる気持ちは、当然のこと。

一郎さんが市井の人だったからこそ書けた日記の迫力です。

それを、さらにわかりやすく、ツイートという形で再現する・・・

この春から始まっていたというプロジェクト。
一度にHPの内容を読むには、あまりに膨大、
時間をかけて読んでいきたいと思います。 





SNSを通じて、戦争をとらえる動きは、もはや世界共通・・・

2019年イタリアで制作された
SNSの発信をしながら、現代の少女がアンネの足跡をたどるそうです。

この番組は、番組予告を見て以来、観ようと決めていたのに・・・
なんと、裏番組が、戦後75年特集の番組、しかも同じNHKで

なんで、全く同じ時間にぶつける!?
そりゃ、BSとEテレの違いはあるでしょうが・・・同じNHKじゃん!
再放送の予定も書かれていないし・・・


ピアノ好きなので「あきこさんのピアノ」をとるつもりではありますが・・・
NHKさん、ご配慮が欲しかったです。
(本放送は観られず、我が家では録画之複数予約も同時間帯はできない)



このように、今夏、撮りためてあった録画を細々と観始めましたが・・・


実は、この夏こそ、無言館へ行こうと計画していたので、なおさら・・・
戦没画学生の遺した作品と、それを修復する人たちの想いに
心打たれました。 (コロナ禍で県外移動はあきらめました)

こちらは16日に再放送予定です。ぜひ!


◆本文中の書影は版元ドットコムより使わせていただいております。

◆オミナエシは、昨夏、津和野森鷗外生家にて撮影。
秋の七草のひとつです。既に、暦の上では秋ですが・・・暑すぎっ!

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