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つながる読書

2021-03-14 | 2022夏まで ~本~
最近、本を並行して読むようになりました。

たとえば・・・

一番のんびりできる朝食前は、ちょっと歯ごたえのある本を、
夫のいるリビングでは、テレビがついていても集中できる小説を、
そして通勤用に、1章単位で読める、文庫本・・・という具合。


(河出書房新社)を、読んでいました。

「須賀敦子の本棚」のシリーズで、須賀さんの自伝だと思い、
知らなかったわぁなんて、大喜びで読みはじめたのです。
完全に早とちり、作家名が書いてあり変だなぁとは思いましたけど・・・

シリーズの監修者である、池澤夏樹氏によれば
この本は、須賀さんの愛読書なのだそうです。


(画像は我が家の花。わかりにくいですが、ウツギのつぼみがついています)


内容は、少女から大人になるまでの回想記、
それに執筆当時の著者のコメントが添えられています。

100年前、スペイン風邪大流行の時代・・・
メアリーは6歳にして罹患、気づいたときには両親を亡くしていました。

その後、弟3人と親戚に預けられ、DVにネグレクト、
明らかな児童虐待を受け続けたのでした。
このあたり、まるで、「オリバー・ツイスト」のよう・・・

5年後、ようやく裕福な母方の祖父母に救出され、
十代を過ごし、多感な女子大生となります・・・


(赤い沈丁花は、そろそろ終わり・・・)


作中では、カトリック信仰を喪う日々が、圧巻。
何てことのないきっかけから、こんな激変が・・・と、
びっくりするやら、おかしくなるやら・・・w

そして、全編にわたり、舌鋒鋭く、
周囲はもちろん、過去の自分にも容赦がありません。
ハンナ・アーレントの親友だったと知り、なるほどなぁと・・・

お恥ずかしいことに、メアリー・マッカーシーを、全然知らなかったのです。

内容は、私の力不足で、理解し切れてはいないものの
メアリーの筆が小気味よく、おもしろく読みました。
ずっと、メアリーの一家と暮らしていたような気分でした。




さて、このとき、通勤時に並行して読んでいたのが、
『ドナルド・キーン自伝』(中公文庫)。
東日本大震災後、日本国籍を取得した、おなじみの日本文学者です。

ニューヨークで過ごした少年時代から、第二次世界大戦での出征、
戦後、日本の文人との交流など、読んでいて興味が尽きません。

そのキーンさんが、1962年、国際的文学賞である、フォルメントール賞の
アメリカ審査団員となりました。(賞について、キーンさんも知らなかったが「影響力ではノーベル賞に次ぐ実力があった」と書いている)

キーンさんの説得で、アメリカ審査団は、国際賞に三島由紀夫を推します。


(母の庭からやってきた、アネモネも咲きました。)


ここからなんですっ!

以下、引用すると・・・

「英国審査団の一人である手ごわいアメリカ人作家メアリー・マッカーシー
フランスの小説家ナタリー・サロートの『黄金の果実』を
支持して熱弁を振るった...」272頁

出た、メアリー・マッカーシー!

並行して読んでいた回想記で、彼女の批判精神たっぷりの熱弁を、
知っていただけに、もう、おかしくて、おかしくて・・・
さぞや、キーンさんはキリキリ舞いさせられたことでしょう。

こんな一節も、メアリー・マッカーシーを読んでいなければ、
通り過ぎてしまった部分です。
本と本とがつながって、想像力をかき立ててくれた瞬間でした。


エンエンと書いてきて、このオチですw
申し訳ございません!

でも・・・本の世界は、それ自体で完結するのではなく
わたしの世界を広げてくれる・・・
それが嬉しくてたまらないのでございます♫

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