~ 洞窟の先に異世界を見た? ~
『仁田忠常洞中に奇異を見る図』
(にったただつね どうちゅうに きいをみる ず)
大蘇芳年筆
仁田忠常は平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての武将
吾妻鏡 第十七巻より
建仁三年(1203)六月 源頼家は富士の裾野で狩りをおこなった時
家臣の仁田四郎忠常に剣を与え人穴探索を命じた。
忠常は家来5人と人穴に入るが、この穴は狭くて振り返ることも出来ず
仕方なく前へ進んでいきます。又、真っ暗なので不安でなりません
松明を灯すと蝙蝠が顔の前を飛び交い、その数は幾千万とも知れず
その先に大きな川が流れていて、渡ろうにも手段がなく途方にくれる。
その時、突然光が当たってきて、川の向うに怪奇を見ると
たちまち家来4名が急死した。しかし忠常は霊からの訓えにより
主君から授かった剣を川に投げ入れてこの難をまぬがれ
そして翌日になって忠常は、ようやく人穴から出ることが出来た。
土地の古老によると 「この穴は浅間大菩薩が住み給う場所であり
昔からあえてそこを見に行く所ではありません
とても恐れ多いことです。」 と云うことであった。