~ 勝五郎首尾よく 敵滝口上野が首を討て ~
『節婦の霊滝に掛る図』
(せっぷのれい たきに かかる ず)
大蘇芳年筆
『箱根霊験躄(いざり)の仇討』
飯沼勝五郎は兄・三平の敵、滝口上野(たきぐちこうずけ)を討つため
北条家の家臣・九十九新左衛門の下僕となって奉公しているうちに
新左衛門の娘・初花(はつはな)と相思の中になり
夫婦となって敵討ちの旅に出るが途中、風疾を患った勝五郎は躄となり
初花は夫を躄車に乗せ献身的に尽くす。
箱根阿弥陀寺の北条時政回忌法要の場で
仇滝口上野に出会うが、初花に横恋慕する滝口上野は勝五郎と
虜にした初花の母・早蕨(さわらび)を殺すと脅迫し
初花を自分の意に従わせようとする。
母と夫の命を助けるために従うふりをし、返り討ちにあい命を落とした初花
しかし、幽霊になっても なお滝に打たれ水垢離をとり
歩行回復を箱根権現に祈ると、不思議にも勝五郎の足腰が立ち
心願成就を見届け滝つぼに消える。