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2017.1.12 Newsモーニングサテライト

2017年01月12日 14時45分57秒 | MS
■マーケット

NYダウ反発 98ドル高
去年12月半ばからこう着状態が続き2万ドル達成も近くて遠いダウ平均。きょうのイベントをきっかけにしたいところでした。アメリカに雇用を取り戻す事などは強調したものの、市場が望んでいた減税や財政政策についての具体的な言及はなく、株価も一時マイナス圏に転じるなど記者会見を受け振れ幅が大きくなりました。ただ原油価格が52ドル台を回復した事は好材料で引けかけには若干値を戻しています。ダウは3日ぶりの反発98ドル高、1万9,954ドル。ナスダックが7日続伸、高値更新11ポイント上昇の5,563。S&P500が6ポイントプラスの2,275でした。 
 
 

【NY証券取引所中継】トランプ会見 マーケットの反応は?
解説はマキシム・グループの久野誠太郎氏

--結局なんか上下してますね

本日のトランプ会見ではマーケットが期待していました財政政策や税制改革に関する内容が示されなかったことで、会見前に買われていた水準から株式・ドルともに値を下げることになりました。しかし午後には買い戻される動きから、日中の下げ幅を縮めて推移しています。

--本当にトランプ氏の会見は市場的には少し拍子抜けの面もありましたね。

そうですね。医薬品業界を批判しまして、薬品価格に競争を持ち込むと発言したことで、ヘルスケア関連が急落し、相場の下げを主導しました。またトランプラリーの恩恵を受けている金融関連も、期待外れから一時マイナスへ。そしてF35戦闘機のコストに言及し、ロッキード・マーチンが下落。一方でサイバー攻撃への防御の必要性から、サイバー・セキュリティー関連が上昇しています。

--株価全体の先行きに対するヒント探しは続きそうですね。

トランプ経済政策の詳細につきましては、20日の就任式以降に持ち越されそうになります。これまでのトランプラリーを受けた持ち高調整の動きからセクターローテーションによるハイテク関連への資金シフトが続きそうです。また今週銀行決算から始まります10-12月期の企業決算の注目度がなおさら高まりそうです。
 
 


【NY証券取引所中継】米 家電ショーでIoTが身近に
解説はマキシム・グループの久野誠太郎氏

--IoT(Internet of things)のさらなる普及への道筋が見えてきたようですね。

先週に開催されていたラスベガスの家電ショーでは、今後の消費者向けIoT製品の中で大きなトレンドとなってくるものがはっきりしてきたと言えそうです。ポイントはAI(人工知能)の進歩です。これまでIoTはスマホなどでの操作が主流で、実は手でスイッチを入れるほうが簡単な場合もありましたが、AIを使った音声認識機能の発展で、より身近なものとなってきそうです。

--これは開発競争も激しくなっているみたいですね。


(フリップ1:11年以降で140社近くの買収)
ある調査会社によりますと、2011年以降で140社近いAI技術の新興企業が買収されるなど、アルファベットやマイクロソフトなど、大手ハイテク企業が競合しています。
 
 
(フリップ2:AIの市場規模は右肩上がり)
別の調査会社はAIの市場規模は年率58%成長で、2025年には368億ドルになるとの見通しを示しいます。


--そんな中で注目の企業はどこなんでしょうか。

アマゾンが頭一つリードしている言えます。アマゾンの音声認識機能アレックスアーを搭載したエコーは、この年末商戦での売り上げが前年比9倍以上となりました。今回の家電ショーではそのアレックスアーを利用する製品が多く発表され、例えば家電のワールプールは洗濯機や冷蔵庫などでアレックスアーを活用。またフォードはエンジンやドアロック、ナビゲーションなどをアレックスアーで操作できるようにしました。アマゾンのアレックスアーが、消費者IoT製品のオペレーティングシステムにおいて、事実上の標準規格になる可能性もありそうです。
 



【為替見通し】注目ポイントは「安定化する米金利」
解説はシティグループ証券の高島修氏

--NY市場、トランプ氏の会見への反応はいかがだったでしょうか。

昨日の東京タイムはオバマ大統領が大統領としての最後の演説を行ったんですが、それはほとんど材料視されず、ドル円は116円台でじり高という感じだったんですね。ところがトランプ次期大統領の会見が始まったとたんドスンと114円台ということで、やはり保護主義化の動きに警戒感が高まっているんだと思いますね。

--今日の予想レンジが、114.80~116.00円です。

NY時間の今晩、東京時間でいうと明日の午前9時、FRBのイエレン議長の講演が予定されていまして、それ以外にもFRB高官が何人か今日話すんですね。そういった中、基本的にはドル円の上値は重いんじゃないかなというふうに考えています。

--注目ポイントは「安定化する米金利」です。

(フリップ1:米国実施質金利低下でドル安へ)
特に重要なのが米債市場における期待インフレ率と金利動向の関係だと思うんですね。アメリカの10年金利を見ますと、12月の半ばに2.6%にワンタッチした後、緩やかに低下を始めました。この間、期待インフレ率は高どまっていまして、その中で名目金利の上昇が止まっているんですね。その結果、両者の差である実質金利が低下するようになってきています。

--通常は実質金利の低下というのはドル安要因となりますね。それはどうなんでしょうか。

基本的には10年金利は2.6%で一旦、天井を付けたと思っていますので、原油が底堅い間は期待インフレ率はあまり下がらない。そうすると実質金利は低下しやすくてドルは値を崩しやすい。向こう1ヵ月間くらいだと112~113円ぐらいはあるのかなと考えています。
 
 

【日本株見通し】注目ポイントは「裁定買い残の増加」
解説はみずほ証券の三浦豊氏

--今日の予想レンジは、19200円~19400円です。

記者会見の中で貿易不均衡への言及というところもありましたので、やはり為替のほうが上値が結構重いというところだと思います。ドル円がちょっと上値を抑えられるというところだと思います。ただ米株が上昇しておりますので、今晩の米株にらみというところの動きになるんじゃないかなというふうに思います。

--注目ポイントは「裁定買い残の増加」です。

(フリップ1:日経平均上昇は裁定買いがけん引?)
昨年11月以降のトランプラリーで、裁定買いが大きく寄与していたというところで、裁定買い残の動向に注目しているんですけれども、裁定買い残は大発会に13億株まで上昇しているんですが、当面は昨年3月と同水準の16億株程度といったあたりが当面のピーク水準かなというふうに考えています。先週末で12億株弱というところですので、増加余地が残っていますから、日経平均は裁定買いで上昇する場面も見られるというところなんですけれども、買いが16億株を超えますと日経平均の上値もちょっと抑えられそうかなと思いますね。

--裁定解消の売りが出てくるタイミングというのはどういうふうに見極めればいいんでしょうか。

(フリップ2:25日線下回ると裁定買い解消?)
足下で7日以上増えていますので、裁定解消が出る場面もあるんですが、そういったところは、例えば、NYダウが25日線を下回りまして、ドル円も今のところ115円を下回る状態になりますと、先物が売られまして、裁定解消売りで日経平均は予想外に下落るという動きになりそうです。ですから今後、日経平均は裁定売買でかなり乱高下しやすくなっているというふうに考えてます。
 


 
■【プロの眼】トランプ氏のレパトリ減税で今年はドル安?
アメリカのトランプ次期大統領が掲げる経済政策の1つレパトリ減税。過去には2005年のブッシュ政権下で導入し大幅なドル買いへと導いたが、果たして今回は。シティグループ証券/高島修氏が解説する。

--今後1年間、今年は、という点で見ると、「レパトリ減税で今年はドル安のほうに行くのか」、という話なんですが、以前トランプ氏勝利でドル高と予想されていましたよね。

このレパトリ減税もその1つの理由だったんですが、レパトリ減税というのはアメリカ企業が国外に置きっぱなしにしている収益をアメリカに戻したときに軽減税率を適用するというものなんですね。実は2005年にブッシュ政権のもとで1度実施されたことがありまして、その時はドル円は101円台から121円台まで上昇したんですね。ですから今回も基本的にはドル高要因だと考えていまして、来年には2015年高値の125円を突破することもあり得るんじゃないかとというふうに考えています。

--ではブッシュ政権のレパトリ減税でどのくらいの規模のお金が戻ったのかということを見ていきます。こちらのグラフは「米企業の海外再投資収益(海外留保利益)」ですね。

(フリップ1:レパトリ減税の効果は?)
ちょっと分かりにくいんですが、実は海外留保利益に関する正確な統計というのはないんですね。ただ米企業が国外で稼いだ利益のうち、そのまま海外で保有しているものを「海外再投資収益」というふうに呼びます。ずーっと増えてきていて、2005年の時には約1兆ドル(100億円ぐらい)あった。その3割がアメリカに戻って、そのうちの2割がユーロ・円からドルに転換されたといわれますから、だいたい600億ドルということですね。現在、海外留保利益はだいたい3兆ドルぐらい、当時の3倍と言われていますから、単純計算だと1800億ドルぐらいのドル買いが発生することになってきます。

--ということは、ドル買いということは、今年、ドル高になるというふうに見ればいいんじゃないですか。

そうですね、ただ他の経済政策もそうだと思いますが、立法手続きにある程度時間がかかりますから、このレパトリ減税もその実施期間の大半は2018年にずれ込んでくると思われます。その時は、これはリスクシナリオではあるんですが、ひょっとしたらドル円は130円が見えることもあるかもしれないと思う。ただ今年2017年はどうかというと、短期的にはむしろドル安的に作用する可能性があると思う。と言いますのは、アメリカ企業の経営者の多くは、来年減税になるのであれば、今年は海外からアメリカに戻す収益の額を例年より減らそうと考えますね。あまり慌てて戻してしまうと、株主訴訟とかになってしまうかもしれませんし・・・。つまり今年はアメリカ企業によるドル買いは例年より減る可能性があるということです。

(フリップ2:レパトリ減税でドル高?ドル安?)
--まとめてみましょう。そうするとレパトリ減税でどうなるかというと、今年は少なくなるだろう。逆に18年に一気に増えていって、いわゆる財政刺激も来年のほうが大きいと・・・。

今年はむしろ今回のアメリカの金利の上昇とドル高の悪影響で、アメリカ経済がスローダウンする懸念が出てくると思うんですね。

--となると17年はどのくらいのレンジか。

110円ぐらいを向こう半年間ぐらいで試す可能性があるんじゃないかと思いますね。

--一方で先ほど仰ったように、18年はこのレパトリ減税の効果が大きく出てくるので130円も・・・と仰っているんですね。

そうですね。125円突破で、130円が見えるかどうかというところじゃないかなと考えています。
 
 
 

■【ワードバンク】AI投資
様々な業界で広がりを見せるAI(人工知能)技術の活用ですが、株の超高速取引を始め、株価の予想や株式売買システムの開発に取り組む動きなど、その波は投資の世界にも押し寄せています。新たなトレンドとして注目される「AI投資」が広がることで市場環境はどう変化していくのでしょうか。

人工知能を使った投資でである。NYの中継でも先ほど話題に出ていたが、AIというと、自動車の自動運転技術や世界最高峰の囲碁棋士を任すなど、注目の技術になっている。

マーケットで活用されるAI
・ 株の超高速取引
・ 株価予想
・ 売買システム

マーケットではAIを使った株の超高速取り引き、予想、売買システムの開発などに取り組む動きが急速に広まっている。最近では経済指標やSNSなどを通じた多種多様なビッグデータを利用したAI投資も始まっている。その現場を取材した。

マグネマックス・キャピタル・マネジメント(大阪市)では去年12月からヤフーのビッグデータを活用したAIによる投資の運用助言を始めている。

《マグネマックス・キャピタル・マネジメント/東高広執行役員》
「ヤフーファイナンスにたくさんのニュースが流れていて、その中のテキストデータを言葉として一つ一つ分解するような処理が行われている。」

ニュース以外にも企業に関わるあらゆるテキストデータを単語に分解する。その他の語の中から、株価に影響するような言葉をAIが見つけ、独自に分析し、株式投資に利用するという。さらに・・・。

《東高広執行役員》 「ヤフーが持つあらゆるデータを組み合わせた後に、総合的な判断から銘柄を1つ1つ選んでいく。その1例として投資助言書を日々出している。その中には当然のことながら、銘柄名・売り買いといった売買の方向性、枚数、買い方の支持に至るまでAIが判断して指示書として毎日配信される。」

このAIによる投資助言を参考に、運用会社は銘柄を選びファンドを作っていくという。サービス開始から3週間ほどだが、AIの助言を基に作られたファンド「Yjamプラス!」の運用資産額は100億円を超えた。

《マグネマックス・キャピタル・マネジメント/岡田勝彦CEO》
「いくら有能なファンドマネージャーでも、見れる範囲というのは限られている。上場銘柄は約4000社あるが、全てについて情報取得・選択できているかというとそうではない。それをアルコリズムを実装して機械にやらせようというのがAI投資の方向性です。ですので劇的に何かが変わるというよりも、AIにファンドマネジャーがだんだん代替されていくという世界に今後なっていくと思う。」

--でもAI狙い通りの成績・パフォーマンスを出せるかどうかが重要ですね。

取材したAI投資サービスはまだ始まったばかりで、運用成績のデータというのはなかったんですが、日経平均の騰落予想をしたデータがあります。これは三菱UFJモルガンスタンレー証券の瀬之口潤輔氏がAIを使って予測をしているんですけれども、まず予測の材料となるものが・・・
 
《AIによる日経平均の騰落予測》
・ 国内外の31種の経済指標を利用
 (ISM製造業景気指数・景気ウォッチャー調査など)
・ 過去150ヵ月の市場データで学習
 
これらをもとに前の月よりも上昇するか、下落するかを予想クした結果、(赤丸)が予測が当たった部分、(青丸)が間違えた部分です。2013年1月~去年の8月までトータルの的中率の結果は66%でした。このようにいろいろなデータから投資判断をするAI。今後どうなっていくか、専門家は・・・。

《インベストラスト/福永博之氏》
「人間の行き届かない部分をカバーしてくれる心強いものになってくれるが、一方で使い方を誤ると行き過ぎたり思いもよらない動きをすることが考えられるので、その辺りは人間がきちんとコントロールをしていく必要があると思う。それが今後マーケットなり個人投資家や運用関係者が普通に使い、広がっていくポイントになる。」

今年はAI投資元年になるかもしれない。
 



■日経朝特急

インターバル制、導入機運
退社から出社まで一定時間を空けるインターバル制度を導入する企業が増えている。KDDIなどに続き、三井住友信託銀行が去年12月から導入したほか、ユニチャームやいなげやも今年から導入する。制度が義務化されているヨーロッパに比べ日本での取り組みは遅れている。長時間労働の是正が経営の重要課題になる中、政府も制度の普及を後押しする考えで、今後、追随する企業が増えそうだ。

 

景気一致指数、1.6ポイント上昇
景気の現状を示す一致指数は前月から1.6ポイント上昇した。内閣府発表「11月の景気動向指数」によると一致指数は115.1と3ヵ月連続で上昇。自動車などの生産や小売指数が改善した。また内閣府は一致指数の動きから見た基調判断を「改善を示している」に据え置いた。一方、数ヵ月先の景気を示す先行指数は1.9ポイント上昇している。
 


銀行預金、伸び最高
全国銀行協会は、手形と小切手を除いた実質預金が、去年12月末に1年前比6.1%増え、過去最高の伸びになったと発表した。大企業などがマイナス金利に陥った国債を持てなくなり、手元資金を預金に滞留させているのが主因とみられる。一方で地方では預金が流出していて、預金の都市集中が鮮明になっている。
 



■日刊モーサテジャーナル

オバマ大統領、最後の演説
各紙が写真付きで大きく報じているのは、10日にオバマ大統領が地元シカゴで行った任期最後の演説について。
USAトゥディは「立派な大統領が感謝の気持ちでサヨナラを述べた」との見出し。オバマ大統領の人気の根強さが伺える。
またウォールストリートジャーナルはさよなら演説のテレビ放映時間の長さを紹介。ブッシュ前大統領が13分7秒、クリントン元大統領が7分23秒と短い演説だったのに対し、オバマ大統領は49分55秒と歴代大統領の中でも長かったと紹介している。オバマ大統領の演説は分断したアメリカの統一を呼びかけたものだったと総轄。ただオバマ大統領がトランプ次期大統領について言及したのは、最大限円滑な政権移行を実現させるとトランプ氏と約束したと述べた1回のみで、2人の距離感を感じる内容だったと分析している。
 


米国、子育て費用が増加、平均2700万円
米国では子育てにかかる費用が年々増加していて、2015年に産まれた子供を17歳まで育てるのに平均23万ドル(2700万円程度)かかるという。これはアメリカ農務省の報告で明らかになったもので、2015年の子育て費用は前年比3%増えた。特に保育・教育費の増加が目立っていて、アメリカで1年間フルタイムで保育施設に預けた場合、平均100万円以上かかるという。記事は、こうした子育て費用の増加傾向が、アメリカで出生率の低下につながっていて、2015年の出生率は過去最低水準まで低下したとしている。
 


サッカーW杯出場枠の拡大、欧米紙が苦言
FIFA国際サッカー連盟がサッカーW杯の出場枠を2026年から現在の32チームから48チームに増やすことを決定したことについて、フィナンシャルタイムズやワシントンポストは苦言を呈している。フィナンシャルタイムズは、出場枠の拡大によりFIFAは10億ドルに上る収入を新たに確保できるものの、スポーツの理由というより政治的な理由から決定したものだとの批判的見方を紹介。ワシントンポストも出場チーム1.5倍増による試合の質の低下を危惧している。また参加チームが増えることで、ワールドカップ開催に必要な資金やインフラ投資が増えることから、ワールドカップの開催に立候補する国が減る可能性があるほか、出場のハードルが下がることで、予選が盛り上がりに欠けてしまうかもしれず、記事は、拡大は必ずしも良いこととは言えないとしている。
 
 
 

■今日の予定
11月国際収支
12月景気ウォッチャー調査
決算(セブン&アイ・ファストリ)
ユーロ圏11月鉱工業生産
米12月財政収支
 



■ニュース

トランプ次期大統領 「サイバー攻撃はロシアの仕業」
アメリカのトランプ次期大統領は11日、大統領選後初めてとなる記者会見を開き、「大統領選を狙ったサイバー攻撃はロシアの仕業だ」と述べました。(トランプ次期大統領)「ハッキングはロシアによるものだろう。しかし他の国によるハッキングも起きている」。トランプ次期大統領はこのように述べるとともに、「ロシアがトランプ氏に不利な情報を持っている」とのアメリカの一部メディアの報道について、「偽りのニュースだ」と厳しく批判しました。今回の記者会見は、トランプ氏自ら特定の報道機関の記者からの質問を拒絶するなど極めて異例な形で進められました。一方、記者会見が開かれたニューヨーク五番街のトランプタワーの前ではトランプ氏の政策に反発するデモ隊が抗議活動を展開し、現場が混乱する場面もありました。
 
 

米 ティラーソン次期国務長官 ロシアとの対話訴える
国務長官への指名承認を巡りアメリカ議会上院の公聴会で証言したティラーソン氏は、米露関係の先行きに懸念を示しつつも対話の必要性を訴えました。今回の議会証言でティラーソン氏はウクライナやシリアをめぐるロシアの行動を批判し「ロシアは危険な国だ」との認識を表明しました。エクソンモービルの前会長でプーチン大統領とも親しいことで知られるティラーソン氏をめぐっては国務長官に就任した後にロシアに近づきすぎるのでは、との懸念もささやかれていて、その懸念を払しょくするためあえてロシアに対し厳しい見方を示した形です。このほか中国に関しては南シナ海で建設を進める人工島は違法だという見解を示しました。
 

 
フォルクスワーゲン 排ガス不正で和解
ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンは11日、アメリカ当局と続いていた排ガス不正問題に関する協議の中で刑事責任を認め、罰金と民事制裁金として総額43億ドル、約5,000億円を支払うことで合意したと発表しました。また法令順守を強化するため独立監視人を今後3年間置くことをあわせて発表しました。
 

 
OECD指数 緩やかな成長示す
OECD=経済協力開発機構が発表した去年11月の景気先行指数は99.8で、長期の平均の100を下回ったものの緩やかな成長が続いていることが示されました。国別でみると「ドイツの成長が加速している」とされたほか、日本、アメリカ、イギリスについて「成長が加速する兆しが見える」との判断が示されました。
 
 

厚労省 違法残業の疑い 三菱電機を書類送検
三菱電機が男性社員に違法な長時間労働をさせていたとして厚生労働省神奈川労働局は三菱電機などを書類送検しました。書類送検されたのは三菱電機と労務管理を担当する当時の上司1人で、2014年1月から2月、入社一年目だった男性社員に労働組合との協定で定めた上限の月60時間を超える78時間9分の残業をさせた疑いです。男性社員は2014年4月に適応障害と診断され、うつ病の治療を受けたといいます。男性は療養期間が過ぎたとして去年6月に解雇されましたが、その後、労災認定を受けていました。三菱電機は、「真摯に対応していく。適切な労働時間の管理を徹底する」とコメントしています。
 

 
総理と日銀総裁 米国経済で意見交換
安倍総理大臣はきのう、日銀の黒田総裁と総理官邸で会談し、トランプ次期大統領の就任を今月20日に控えるアメリカ経済の動向などについて意見交換しました。会談は去年9月以来、およそ4ヵ月ぶりです。会談は、およそ30分間行われ、黒田総裁は、トランプ次期大統領の就任を控えたアメリカ経済の動向に加え、ヨーロッパ経済やアジアなど新興国経済の見通しについて、安倍総理に説明しました。去年11月のアメリカ大統領選でトランプ氏が当選してから、外国為替市場では円安ドル高が進んでいるため円安が日本経済に及ぼす影響などについても議論したとみられています。
 

 
業界初 東京-大阪間 全席個室 高速夜行バス
関東バスと岡山市の両備ホールディングスはきのう、業界初となる全席個室の夜行バスを発表しました。11席ある客席は全て壁と扉で仕切られていて、スイッチを操作することで座席が倒れ、足を伸ばすことも可能です。移動中に快眠できる「走るホテル」と位置付け、出張や観光で利用する顧客の獲得を狙います。料金は片道2万円で、今月18日から東京、大阪間で運行します。
 

 
2年連続赤字 イオン 純損失172億円
流通大手イオンはきのう2016年3月から11月期の連結決算で、およそ172億円の最終赤字となったと発表しました。赤字は2年連続です。衣料など幅広い商品をそろえる主力の総合スーパー事業の不振が響きました。売上高は、1年前に比べ1.1%増の6兆998億円で食品スーパーやドラッグストアなどの事業は総じて堅調でした。
 
 

政府が検討 19年元日から「新元号」
天皇陛下の退位をめぐり、2019年の1月1日に皇太子さまが新しい天皇に即位し、同時に元号を改める案を政府内で検討していることがわかりました。新しい元号を元日から始めることで、国民生活への影響を最小限に抑える狙いがあるものとみられます。一方、政府の有識者会議は今月下旬の論点整理の公表に向け、詰めの議論を行い、一代限りの退位を認める特例法での対応を軸に検討を進めています。
 

 
中国外務次官 日中韓首脳会談「早期開催困難」
中国外務省の劉振民外務次官は、日本が年内の開催を目指す日中韓首脳会談について早期開催は難しいとの認識を示しました。劉次官はまた、「日中韓首脳会談の開催には、2国間の関係が障害になってきた」と述べ、少女像の撤去をめぐって悪化している日韓関係が首脳会談の開催を遅らせる原因だと示唆しました。
 
 

2.4億円詐取疑い 金融会社代表ら逮捕
年利13%の配当を約束して投資をもちかけ都内の男性からおよそ2億4,000万円をだまし取ったとして、警視庁は落合文太郎容疑者と息子の是光容疑者を詐欺の疑いで逮捕しました。2人は容疑を否認しています。警視庁によりますと、2人は消費者金融への投資名目で集た金の大半をを遊興費に使っていました。被害は告訴分だけで11億円に上るということです。
 
 


■【コメンテーター】シティグループ証券/高島修氏

・米国大統領選後の初会見、“トランプ節”さく裂

--トランプ次期大統領の会見を受けまして、為替はドル円が一時114円台を付けました。これはどういうところに反応しているのか。

「やはり保護主義化ということに対して警戒感が強まっているんだと思う。昨日、メキシコの壁が問題になりましたけれども、このところ通商チームを見ても対中強硬派が揃ってきていて、特に中国市場は資本流出で不安定化している。そういうことで市場環境が脆弱化し始めている予感がします。」

--となると中国の影響が日本にやってきて、円高リスクになるということですね。

「直接日本が攻撃されなくても、中国が崩れることによって、グローバルマーケットがリスクオフ、円高があり得るとおもいます。」
 


・ 日刊モーサテジャーナル/オバマ大統領、最後の演説

--オバマ大統領の演説、途中涙ぐむ場面もありましたね。

「2期やった大統領としては、この最終期にあっては非常に支持率が高くて、これは異例なことなんですね。過去1年間も非常に精力的に活動されたいたんですが、やはりTPPを成立するところまで行けなかったというのは多分残念に思ているんじゃないでしょうか。」

--それにオバマ大統領の後に、トランプ大統領が誕生したということも何か現実と理想の中で違いがあったのかなという気も・・・。

「そうですね。理想に振り切れず、ちょっと現実に戻ったということでしょね。」
 
 

・ワードバンク/AI投資

--AIが資産運用にどんどん活用される。為替の世界ではどういう状況ですか。

「為替の世界でもAIを用いたトレーディングというのはもう数年前から実用化されている。ただ投資助言のところまではまだ来ていないが、5年後ぐらいにはそうなっているかもしれなくて、私に代わってコンピュータがここで話しているかもしれないですね。」
 
 

・今日の経済視点 「ボーダータックス」

「これはこの2-3週間、海外勢が使い始めた言葉んですけれども、要は国境税というものです。ですからトランプ政権がメキシコをはじめとした国に高関税をかけて、アメリカからの輸出には減税をするというもです。」

--それを本当にトランプ政権が実行するかどうか。

「そうですね。かなり細かいところまで踏み込んで見てみないと、実際にそういったことが実行可能かどうかわからないと思うんですね。ただ1つのポイントはこういった関税政策はアメリカの貿易赤字を減らしますから、本質的にはドル高要因なんですね。ただドル高になってしまうとアメリカの輸出は伸びませんから、それをどうにか抑え込みたいだろうという思惑が強まりやすいということだと思う。」

--そういう状況になったら輸入品が高くなりますから、アメリカ国民にとってはどうなのか。

「そうですね。その時にはFRBの金融引締も進んでいくでしょうから、金利も上昇して、アメリカ経済はプラスの面、マイナスの面、両方出てくると思いますね。」
 
 
 

2017.1.11 Newsモーニングサテライト

2017年01月11日 13時42分47秒 | MS
■マーケット

NYダウ続落 31ドル安
10日のNY株式市場の株価は底堅い動きですが、一段高のきっかけを待ちたいムードもただよっています。11日のトランプ氏の会見をやはり警戒しているようです。大統領選以降のいわゆるトランプラリーの勢いが若干衰えてきたタイミングだけに、記者会見で減税、財政、規制緩和などに関する詳細なヒント探しが活発になりそうです。10日は雇用指標や中小企業の景況感など良好な経済指標を受けて上げ幅を拡大する場面もあったものの、週末に銀行大手の決算を控えていることもあり、引けにかけて慎重な姿勢が強まっています。株価終値は、ダウが続落し31ドル安の1万9,855ドル。ナスダックは6日続伸し20ポイントの上昇で5,551。S&P500は変わらずの2,268でした。
  
 
【NY証券取引所中継】米 金融決算の落とし穴
解説は三井住友アセットマネジメントNYの三浦仁孝氏

--株価上下していますね。

材料難の中、トランプ氏の政策への期待感が意識され、底堅く推移しています。またゼネラルモーターズによる業績見通し引き上げをきっかけに、自動車関連銘柄の上昇も目立っています。

--さて銀行決算が注目を浴びていることは、先日このコーナーでもお伝えしたんですが、注意したい点もあるみたいですね。

はい、それは規制緩和に対する過剰ともいえる期待感です。13日から始まる銀行決算ですが、金利上昇がトレーディングの好調を受けて、10-12月期金融決算については問題ないものの、今後の見通しが注目されます。

--その見通し、先行きを考えると、この規制緩和が好感されていたわけですよね。

はい、確かにそうですが、トランプ氏の優先事項は地方の雇用創出と経済成長で、規制緩和されれば地方銀行への恩恵はあります。一方、今後の金融規制のベースになる共和党が提案している「金融選択法案」の中では、以前として大手金融機関に対する厳格な姿勢が示されています。結果的に銀行全体として、規制が緩和されるというよりも、これ以上厳しくならないという程度であることは念頭に置いておくべきだと思います。
 



【NY証券取引所中継】“焦らずじっくり”がリターン大
解説は三井住友アセットマネジメントNYの三浦仁孝氏

--結果的には様子見が強まった形でしたね。

そうですね、材料難の中、引き続きトランプ氏への政策の期待感が意識されたものの、力強さには欠ける展開でした。またゼネラルモーターズによる業績見通し引き上げをきっかけに、自動車関連銘柄の上昇が目立っていました。

--さて決算が始まりますが、その決算の実績を元に証券会社のアナリストなども銘柄の売買推奨を変更するんですが、このアナリストの判断に関して興味深い論文があるようですね。

結論から言うと、推奨銘柄の変更頻度の低いアナリストほど、高いリターンをもたらすようです。これはフランスとカナダの有力ビジネススクールの研究者たちが発表した論文で、先週末のアメリカ・ファイナンス学会でも取り上げられました。この論文「推奨銘柄の変更頻度と株価リターン」は、1996年~2012年の長期にわたり、2万人以上のサンプルから導き出された結果です。

--何故こういった傾向になるんでしょうか。

変更回数の少ないアナリストは、金融市場のノイズに惑わされない、真の意味で企業価値に即した推奨を、周りを気にせずにできているからです。中には、投資家に売買を促したいがために、不必要に推奨を変更するといった動きも見受けられるなか、変更の少ないアナリストは企業と長期目線で向き合っていて、それがパフォーマンスの良さにもつながっているようです。

--具体的にはどのぐらい違うのでしょうか。

(フリップ:変更回数少ないとリターン大)
売買推奨の変更は引き上げ引き下げともにありますが、変更してからの時間経過ごとのリターン推移を見ても、変更回数の少ないアナリストは、変更回数の多いアナリストを上回っています。足下、市場は変化のスピードが速く、ともすると頻繁にポジションを変えたくなるものですが、統計的にはじっと耐えたほうが良いと言えそうです。 

 

【為替見通し】注目ポイントは「トランプ次期大統領記者会見」
解説はFPG証券の深谷幸司氏

--まずはNY市場を振り返っていかがでしょうか。

昨日は経済指標の発表もなく、リスク選考は鈍い中で一旦116円を戻したんですが、上値の重い展開になりました。

--今日の予想レンジが、114.50~116.80円です。

今日は何といっても、トランプ次期大統領による記者会見が最大の関心事ですね。それまではやはり様子見で115円後半を中心として値動きの鈍い展開がよそうされます。

--はい、その注目の記者会見はどういったところが焦点になりそうですか。

期待感そのものが強まるのか、維持されるのか、あるいはそれが後退するのか、というのがポイントになると思います。

--そしてアメリカの10年債利回りとドル円、トランプ相場に一服感が出ていますか。
(フリップ1:トランプ相場に一服感)

そうですね、アメリカの株高、長期金利上昇、そしてドル高というトランプ相場にはやや一服の兆しが見えてきていると思います。マーケットの関心が徐々に期待から現実に、あるいは政策実行の成否が問われる就任後へと移っているということからかもしれません。また本日の記者会見で保護主義的な側面が強調されるようであれば、警戒感とか失望感から調整局面が深まってドル円相場115円割れもありうると見ています。

--そして期待感も高いですよね。

そうですね、期待感が高いだけに、上乗せというのは難しくて、良くて現状維持と・・・、あるいはこれが中期的にはアメリカの経済やドル高に関しては、維持されるとしても、むしろ一旦はピークアウトして長期金利、あるいはアメリカの株価の天井が意識されると、ドル相場の調整局面は長引く可能性があるというふうにみています。
(フリップ2:円売りぼじしょんは過去最高に迫る)
またシカゴ先物の円売りポジションもなお過去最高水準に迫っているために、やはり短期的なリスクというのは、ドル高円安方向が高いというふうに見ています。 
 
 

【日本株見通し】注目ポイントは「ドル/円と日経平均の連動性」
解説はDZHフィナンシャルリサーチの東野幸利氏

--予想レンジは19250円~19450円です。日経平均3日続落ですが、今日はどうでしょうか。

 はい、トランプ氏の記者会見を前に様子見姿勢を強める展開と見ています。主力輸出株はドル円が116円を下回ったことで手掛けづらく、週末に米金融機関の決算を控え、銀行株への押し目買いも限定的と思われます。一方で来月から本格的な決算発表を控え、業績の上振れ期待が支えとなっていますので、足下、良好な業績や株主還元を発表する企業には買いが入りやすい局面ではないかと思っています。

--注目ポイントは「ドル/円と日経平均の連動性」です。

(フリップ:連動性が薄れる局面へ)
安倍政権が誕生してからの動きを見ますと、日経平均とドル円はおおむね同じ動きをしていますけれども、2014年と2015年は1月からしばらく連動性が薄れる傾向がみられました。去年も夏場まで円高が進んだ一方で、株価は下げを戻しています。今年も現時点では連動性が強いですけれども、とランプ氏の記者会見や来週の大統領就任などを受けて、次第に連動性が薄れていく可能性があると考えることもできそうです。つまり会見内容でドル高をけん制する発言があり、円高ドル安になったとしましても、米国企業の業績改善が連想され、売国株式が上昇すれば、日本株の上昇要因になりますので、円高が極端に悪い材料にはならないと考えております。
 



■【プロの眼】FRB出口戦略の変化
今年に入ってFRBの連銀総裁が資産縮小の話題を講演でする機会もある中、FRBの出口戦略に変化が見えるといいます。そもそも、FRBのバランスシートは金融危機以降拡大を続け、利上げは行われましたが、バランスシートの縮小は手つかずの状態。去年の12月のFOMCの時でも縮小については慎重な姿勢が見られました。こうしたFRBがバランスシート縮小に慎重姿勢を見せるなか、資産を膨張させる日銀の今後はどうなるのでしょうか。解説は東短リサーチの加藤出氏です。

--「FRB出口戦略の変化」ということですが、アメリカは今年は年3回の利上げを見込む一方で、「金利」と「量」とありますよね。
量的緩和として膨らませてきたバランスシート、「量」のほうはどうなっているんでしょうか。

(フリップ1:バランスシートの縮小、手つかず)
リーマン危機の時から増え始めて、今だいたい5倍になっています。QE3はこの辺(2015年のあたり)ぐらいで終わったんですけれども、持っている証券が満期が来ると、普通は減ってくるんですけれども、減らないようにまた再投資、また買うということをやって残高を維持しています。従って短期金利は引き上げ始めたんですけれども、「量」のほうは全く手つかずという状態ですね。

--ですから今だに実はものすごい緩和状態が続いているということですよね。この後どのような出口戦略をとるのかというと、利上げは今言ったように3回ほど見込んでいると・・・。「量」はどうするんですか。

FRBの方針がたびたび変わっていまして、2011年に基本方針を出したときは、短期金利の引き上げを始めたら、その後ほどなくして住宅ローン、担保証券などを売り始めて、3~5年でこれをゼロにするという正常化策を言っていたんですが、2014年になりましたら、それをやると住宅ローンや長期金利が跳ね上がってしまうので、満期が来たら自然に減るということで売らないという方針に変わったのですが、最近のFOMCの議論はまたもっと慎重になっていて、再投資はいずれ辞めていくんですけれども、もう元に戻すのは難しいという議論になってきています。

--ずっとこのまま抱え込んでいくかもしれないということ・・・?

ある程度減らすんですけど、もと(06年~08年のころの状態)には戻らないと・・・。それが何故かというと、債権を減らすと、長期金利を押し上げる方向に力が働きますので、短期金利を上げて長期金利も上げてしまうと、経済にブレーキがかかりすぎる、あるいは金利上昇でドル高が進み過ぎる恐れもありますから、当面は短期金利を上げるというほうに注力するという、慎重にやっていこうということのようですね。

--トランプ政権によって景気が過熱するんじゃないかという懸念もあるものの、そこにはちょっと・・・

実際に議会で財政刺激策などが決まってくれば、もうちょっと減らすという議論が今年に出てくる可能性があると思うんですが、今年中は短期金利引き上げをメインにして、減らすというアクションは今年はやらないのだろうと思います。

(フリップ2:日銀バランスシート膨張継く)
--それだけFRBも苦労しているということを考えると、日本はいまだに80兆円をめどにまだ膨らましているわけですよね。これを見てください、どんどんと・・・。

経済規模比の中央銀行の資産の規模(バランスシート規模)ですが、どんどん大きくなっているわけです。今はFRBが小さく見えてしまうわけですが、これの正常化でFRBがすごく慎重な議論をしているぐらいですので、日銀のほうの正常化策というのは非常に難しそうなんですが、ただこれを減らすという議論はちょっと当面できないです。なにぶんインフレ目標2%を掲げていますからね。ただせめてトランプラリーなど、いい風が吹いている間に若干の正常化、長期金利を少し引き上げるとか、少しそういうことを着手しておかないと、海外から逆風が先行き吹いてきたときに、追加緩和の打つ手がなくなってしまいますから、何かできることは少しづつやっておくほうがいいと思うんですがね。

--今年そういうことができるでしょうか。

たぶん来年以降かなと思いますけれどもね。
 
 


■NY便り 2017年世界のリスクは
先週発表された「2017年の世界の10大リスク」を詳しく分析します。これは国際政治学者のイアン・ブレマー氏が率いる調査会社ユーラシア・グループが毎年発表しているものです。ブレマー氏は世界はいま「後退期」に入りつつある、と指摘します。

(フリップ:2017年世界のリスク)
--これらすべてを貫くテーマとしてブレマーが挙げたのは「世界は地政学的後退期に入る」。後退期とは、これまで機能してきた国際的枠組が弱体化していくということ。世界の中でとりわけ力を持つ国と国の間の不審が高まるリスクが有るというものです。その国々というのが、1位~3位にある米国、中国、ヨーロッパなどということなんですが、ではなぜ今、地政学後退機なのか、イアンブレマーに聞きました。

「世界が最後に『地政学的後退期』に入ったのは第2次世界大戦だ。大戦後、超大国アメリカが国際秩序を形成し、世界平和が維持されてきたが、一国が世界の基準を定めるのはそもそもおかしいのです。歴史を振り返ってもこのようなことはあまり起きていません。このような状態がいつまでも続かないのは明らかでしたが、米国第一主義を掲げるトランプが大統領になることで、地政学的後退期がすぐに起こる可能性が出てきたのです。」

--一方、ブレマー氏は10大リスクの6位に中央銀行の政治化を挙げました。トランプ氏は去年FRBのイエレン議長に対し、政治的配慮で低金利政策を続けていると非難しました。しかし実際には、逆にトランプによってFRBが政治色を強めてしまうことこそ、重大なリスクだと指摘します。

「トランプ氏は利上げが経済成長の妨げになると判断したら、イエレン議長らに圧力をかけるでしょう。問題はイエレン議長の任期が終わった後です。中央銀行の総裁は本来、独立性を保つテクノラート(専門官僚)であるべきですが、トランプ氏は自分に従順で自分の経済政策に従う人をFRB議長に任命するでしょう。一方ヨーロッパには別の形の『政治化リスク』があります。ECBのドラギ総裁は危機の時ヨーロッパやドイツのメルケル首相のために、あえて政治的役割も果たしてきましたが、メルケル政権が弱体化し危機が続く事態となれば、ドラギ総裁に批判の矛先が向くことになります。FRBとECBは難しい局面を迎えるでしょう。」

--そしてトランプ大統領誕生で揺れる米国と世界、懸念されるのは利益主義に走るアメリカの行く末だとブレマー氏は指摘します。

・ アメリカの国内情勢は心配していないですか?

「私はトランプ氏が掲げる『経済成長のための政策』によって、アメリカの長期的安定が犠牲になることを恐れています。例えば、大学を営利団体にした場合、経営者は多くの利益を得ることができ、政府も財政コストを削減できますが、そこではいい教育は行われません。また刑務所が営利団体になれば、受刑者に社会復帰のための支援を行わなかったり、より多く儲けるために、できるだけ長く受刑者を刑務所にとどめようとするところが出てくるでしょう。『利益が目的になる』のが心配なのです。しかしトランプ氏は利益第一主義を掲げているため、長期的にはアメリカは危機に直面すると見ています。」

--6位に挙げられていた中央銀行の政治化について、ブレマー氏は「自地銀は該当しない」としています。というのもこの問題はすでに日本で何度も取り上げられているうえ、安倍首相の人気が高いことで日本の政治はとても安定しているからだということです。
 
・トランプ次期政権のリスク、短期的視野に限界?

--利益第一というところの項目もありましたけれども・・・

《東短リサーチ/加藤出氏》
「ビジネス出身者の主要閣僚、過去を振り返ると必ずしも閣僚にビジネス経験があると経済成長をしたかというとそうでもないことが多くて、あまりに短期的な視野になると、成長が意外に阻害されてしまうこともあるようですから、ブレマーさんが心配しているのも、視点が(利益)第一主義と言っても、あまりに手前んお所に集中してしまうと良くないということなんでしょう。そういう点では今日の記者会見はなおさら注目ですね。」


 
 
■日経朝特急

航空機に日本の新素材
次世代航空機のエンジン機関部品に日本発の新素材が採用される。軽量で高い耐熱性を持つ炭化ケイ素(SIC繊維)で、アメリカのGE(ゼネラルエレクトリック)が最新エンジンに導入、宇部興産など国内2社が素材を供給する。航空機の軽量化により燃費を改善できる。ロケットや発電設備など幅広い分野で採用が進む可能性があり、炭素繊維に続き日本発の新素材が技術革新を牽引しそうだ。
 


皇位継承、2019年元日に
政府は天皇陛下の退位に伴う皇位継承の時期について、2019年元日を念頭に制度設計する検討に入った。皇太子さまの即位に備え、新たな元号の検討にも着手した。
 


インターン採用、解禁案
企業の人材確保が柔軟になるかもしれない。学生が就職前に企業で働くインターンシップが採用につながる可能性が出てきた。現在はインターンと採用は原則切り離しているが、文部科学省など3省は、企業がインターン時に得た学生の評価を採用時にも生かせる案を検討。経団連などとの調整を急ぐ。
 


公的年金、運用益10兆円超
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用する公的年金の運用成績が、去年10~12月期に2四半期連続でプラスになった。野村証券の試算によると運用益は10兆700億円で、トランプ相場で株価が上昇したことなどを背景に、国内株で4兆円、外国株で5兆2000億円の利益をあげた。
 



■日刊モーサテジャーナル

クシュナーが上級顧問に“縁故採用”で論争
トランプ次期大統領が長女イバンカさんの夫クシュナー氏をホワイトハウスの上級顧問に採用したことについて、米新聞各紙は縁故採用である点を強調して伝えている。
ウォールストリートジャーナルによると、クシュナーはどの閣僚候補よりトランプ氏から信頼があると言われていて、例えば次期副大統領のペンス氏選出にも大きな影響を与えた人物。ホワイトハウスの上級顧問として中東や貿易政策など、幅広い分野でトランプ氏にアドバイスをすると伝えている。ただクシュナー氏の起用が、反縁故法という「公職にある者は親族を政府機関の職に付けることを禁止する法律」に抵触するかどうかをめぐり専門家の意見は分かれている。
一方、ニューヨークタイムズによると、実はクシュナー氏はこれまでずっと民主党員でリベラル、トランプ氏をなだめて政策をリベラル寄りにすることができるのでは、と期待する声も上がっている。


 
トランプ次期大統領の記者会見、就任式よりも重要?(フィナンシャルタイムズ)
トランプ次期大統領は11日、大統領選に勝利して以来初めての記者会見に臨む。投資家にとって20日の就任式より重要なイベントになるかもしれないと報じている。記事によると、投資家がこの記者会見に期待するのは、大統領選直後に行った勝利演説と同じ効果。トランプ氏は演説で礼儀正しく融和姿勢を見せたことから、それまで急落していたドルや株価が急上昇した。今回はトランプ氏が財政出動などの中身を明かし、安心感を与えることで、新たなドル高の流れを作るのではないかという見方が出ている。
 


アメリカ脱原発の流れ、背景に経済効率性(ウォールストリートジャーナル)
マンハッタンからわずか56キロほどのところにあるインディアンポイント原発の内部の写真。9日、ニューヨーク州のクオモ知事が2021年までに閉鎖すると発表した。ニューヨーク市民の安全を考えたことが一因だが、記事は、それ以上に経済効率性が大きな要因だったと指摘。過去4年に4基の廃炉が決まったように、米国全土で脱原発の流れができているようだと報じている。記事によると、とりわけ原発ビジネスを苦しめているのが、天然ガスの価格下落。一昔前まで原発の閉鎖理由で多かったのは安全性だったが、最近は単純に利益面から閉鎖に追い込まれるケースが多いという。こうした事態について、天然ガス事業は十数人の雇用しか生まないが、原発は1000人ほど雇えるのにという懸念の声もあがっているという。
 




■今日の予定
11月景気動向指数
12月社名別新車販売
決算(ローソン・イオン)
ブラジル中銀政策金利発表
米トランプ次期大統領記者会見
 




■ニュース

米 中小企業楽観指数 12年ぶり高水準
全米自営業者連盟が発表した去年12月の中小企業楽観指数は105.8と、前の月より7.4ポイントの大幅上昇となり、12年ぶりの高水準となりました。項目別にみると景況感改善や販売増加への期待が前の月から大幅に伸びています。トランプ次期政権への期待感から中小企業の経営者の間で経済の先行きに楽観的な見方が強まっていることが示された形です。
 


米 11月求人数 7万人増
アメリカの労働省が発表した雇用動向調査によりますと、去年11月の求人数は552万2,000人と、前の月からおよそ7万人増え、市場の予想も上回りました。また、労働者の雇用市場に対する自信を示す離職者数は、前の月からおよそ4万人増えて306万4,000人と、金融危機以降、2番目の多さとなりました。
 


16年世界販売台数 VW トヨタを抜き初の首位へ
ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンは10日、2016年の世界販売台数が1年前に比べ3.8%増の、1,031万台になったと発表しました。トヨタ自動車を抜き初の世界首位となります。2015年9月に発覚した排ガス不正の影響が懸念されましたが、規模の大きい中国市場が全体を押し上げました。4年連続で首位だったトヨタの販売見通しが1,009万台のため、フォルクスワーゲンの首位はほぼ確実です。一方、排ガス不正の捜査は現在も続いています。アメリカの司法省は9日、逮捕した幹部を、大気浄化法違反などの疑いで訴追したと発表しました。
 


東芝 銀行に支援要請
アメリカの原発事業をめぐり最大数千億円規模の損失が生じる見通しとなった東芝は、きのう、取引銀行向けの説明会を開き再建の支援を要請しました。東芝本社で行われた説明会には、およそ100人の銀行関係者が集まりました。東芝は今回の事態に至った経緯を説明した上で再建に向けた融資の継続を要請しました。今回の説明会では、東芝から融資額の具体的な提示はありませんでしたが、主力取引銀行の三井住友銀行とみずほ銀行は支援を表明し、三井住友信託銀行は「融資を検討する」と述べるにとどめたということです。東芝は今後、巨額損失で減少する資本の増強策についても金融機関側と協議したい考えです。
 


安倍総理と小池都知事 都議選をめぐり協議
安倍総理と東京都の小池知事はきのう、5ヵ月ぶりの会談を行い、夏の東京都議会選挙をめぐり協議しました。東京都の小池知事は、安倍総理大臣と会談し、夏の東京都議会選挙で、自らを支持する都議で議会の多数派を形成したい考えを伝えました。小池氏周辺によりますと、会談は、安倍総理から持ちかけられたもので、表向きは2020年の東京オリンピックの予算を議論する形をとりましたが、実際は都議選の対応について話し合ったもようです。小池知事側に多少譲歩しても対立を避けたい安倍総理に対し、小池知事は自民党とは距離を置く考えで、新党設立も視野に準備を進める構えです。
 


消費者心理3ヵ月ぶり改善
内閣府が発表した、去年12月の消費動向調査によりますと、消費者心理を示す指数が前の月に比べて2.2ポイント上昇し、43.1となり、3ヵ月ぶりに改善しました。株価の上昇で、保有する資産価値が膨らんだことや、円安で、企業の業績が回復するとの見方が広がったためとみられます。ただ内閣府は、長期的に見れば横ばい圏内の動きだとして基調判断は「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に据え置きました。
 


トランプ氏のトヨタ批判 経団連会長 冷静対処を強調
(経団連・榊原会長)「ツイッターに過剰反応すべきではない」経団連の榊原会長は、きのうの会見で、アメリカのトランプ次期大統領がトヨタ自動車のメキシコ工場建設をツイッターで批判した事に対してこう述べ、「就任後にどういう政策を出すのか注視したい」と冷静に対処する必要があるとの考えを示しました。
 


中国 16年GDP「6.7%前後」
中国の国家発展改革委員会の徐紹史主任は2016年のGDP=国内総生産が6.7%前後になるだろうとの見通しを発表しました。これは「6.5%~7.0%」という政府目標の範囲内ですが、26年ぶりの低い伸びとなります。今年2017年のGDP成長率はこれを下回る6.5%前後になるとの予想が相次いでいて中国経済がさらに減速することが懸念されています。
 


中国 16年消費者物価↑2.0%
中国の国家統計局が発表した2016年の消費者物価指数は、前年比で2.0%の上昇と政府目標の3.0%を下回りました。景気減速で消費の勢いが政府の想定ほど強まらなかったことや、供給過剰で物価が上がりにくい状況が続いたためです。
 


安倍総理と長嶺大使が対応協議
韓国で慰安婦を象徴する少女像が設置されたことへの対抗措置として一時帰国している韓国駐在の長嶺大使はきのう安倍総理大臣と面会しました。これまでの経緯を報告するとともに韓国政府への今後の対応方針などについて指示を仰いだとみられます。長嶺大使は、きょう岸田外務大臣とも協議しますが今後、韓国側に改善の動きが見えない場合は、日本政府として新たな措置も視野に検討する方針です。
 


米 閣僚承認に向け 波乱のスタート
閣僚になるためには議会上院の承認が必要で、そのための公聴会がきょうから始まりました。司法長官に指名されたセッションズ上院議員が出席しましたが、波乱のスタートとなりました。保守強硬派のセッションズ氏は、トランプ氏の方針通り、不法移民を厳しく取り締まる方針を強調しました。これに対し野党・民主党の議員は、セッションズ氏の過去の人種差別発言を指摘、また傍聴席からも起用に抗議する人が相次ぎ、議場から連れ出される事態となりました。公聴会はあすも続きます。
 


ECB総裁などにハッキングで逮捕
イタリアの警察当局は10日、ECB=ヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁やイタリアのレンツィ前首相など多数の電子メールをハッキングした疑いで、イタリア人2人を逮捕しました。被害に遭ったアカウントは、少なくともおよそ2万件にのぼり、銀行関係者やローマ法王庁の枢機卿などのものも含まれていたということです。容疑者の1人は投資会社を経営していたことから、投資情報に利用していた疑いも指摘されています。
 


妻を殺害した疑い 講談社の編集次長を逮捕
大手出版社・講談社のコミック誌、「モーニング」の編集次長を務める男が妻の首を絞めて殺害したとして警視庁に逮捕されました。殺人の疑いで逮捕された朴鐘顕容疑者は取り調べに対し、「妻に手をかけるようなことはしていません」などと容疑を否認しています。朴容疑者は去年8月、東京・文京区の自宅から「妻が倒れている」と自ら119番通報しましたが、警視庁の事情聴取に対しては「階段から転落した」「首を吊って自殺した」などと内容が変遷していたということです。朴容疑者は人気漫画「進撃の巨人」を担当し現在は「会長島耕作」などを連載する「モーニング」の編集次長を務めています。朴容疑者の逮捕を受けて講談社は「本人は無実を主張しており、慎重に対処してまいります」とコメントしています。
 
 
 

■【コメンテーター】東短リサーチ/加藤出氏

・ 米雇用は上向き、今後の見通しは

--アメリカのニュース、離職者数が非常に多いということですが、これは雇用市場に対する自信なんですか。

「これはアメリカの場合、賃上げというのがベースアップよりも、転職を繰り返しながら所得が上がっていくというケースが多いので、ですから採用も増えて、自発的な離職も多いというのが先行きの所得の増加につながっていくという点で、ポジティブにとらえられるという、日本とは違う状況ですね。」

--確かのこの間の雇用統計で、賃金の上昇が2.9%と強かったですけれども、これは信じていいんですか。

「トレンドとしては上向きであるのは間違いないんですが、ただ12月の数字はカレンダー要因で、曜日の関係で押し上げられている面がありまして、来月、再来月は同じ調子ではいかないと思うんですが、上向きではあるということですね。」

--となると利上げ見通しは3月という人が増えていますが・・・

「一旦たぶん統計上、伸びが落ちると思うので、利上げはもうちょっと後かなと思っている。今年は2回かなと今のところ思っています。」
 
 

・日刊モーサテジャーナル/クシュナーが上級顧問に“縁故採用”で論争

--反縁故法問記事もありましたけれども、こういう流れをどう見ればいいですか。

「ワシントンで論争になっていますね。あとはトランプさんのファミリーのビジネスと政治の利益相反の問題とか、閣僚にビジネス経験者が非常に多いわけですけれども、その人たちの今までのビジネスとちゃんと縁を切れるかとか、そういう問題が先行きいろいろと出てきそうですね。」

--ビジネス経験者が多いんですね

「ビジネスの経験年数を足すと83年だそうで、前のオバマ政権の場合は5年だったそうで、それが良し悪しどっちに出るかということですけどね。」
 
 
 

・きょうの経済視点 「強権主義?」

「今日のトランプさんの記者会見の1つの注目点で、『俺がルールだ』みたいな感じで今までツイッターでいろいろ話されていますが、そういった強権主義的な傾向がより強まるようですと、やはり長い目で見ると企業も委縮してしまい、アメリカの良さが失われてしまいますので、強面だけれども実際はバランスをとっていくというのであればいいんですけれども・・・。」

--でも実際その片鱗はツイッターなどで出てきて、企業などもそこに対応を迫られるような事態にもなりかねません。

「アメリカの政治学者などはこの傾向が強まると、危険だという議論が結構出てきていますね。」
 

2017.1.10 Newsモーニングサテライト

2017年01月10日 21時58分44秒 | MS
■マーケット

NYダウ反落 76ドル安
週明け9日のニューヨーク株は、材料難でまちまちでした。今週はトランプ次期大統領など要人の発言が相場を動かしそうです。先週金曜日の雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月に比べ15万6,000人の増加と予想を下回ったものの、賃金の伸びが確認されるなどおおかた前向きな評価のようです。9日は指標の発表がほぼなく、さらに週末稼働リグ数の増加が確認されたことで原油価格が下落し、相場全体もエネルギーに欠ける動きでした。11日にはトランプ次期大統領の記者会見が、12日にはFRBのイエレン議長の発言も予定され、市場も注目しています。株価の終値です。ダウは76ドル安の1万9,887ドル。ナスダックは10ポイント上昇の5,531。S&P500は8ポイントマイナスの2,268でした。  
 
【NY証券取引所中継】米雇用統計を分析
解説はSMBC日興セキュリティーズ・アメリカの尾坂将司氏
 
--全般的に方向感なく揉み合いの感じですね。

原油価格下落や11日にトランプ次期大統領の会見、決算シーズンを控えていることから積極的にはリスクを取りにくい展開となりました。インターネット株やバイオ株が上昇し、ナスダックは最高値更新ペースで推移しています。

--さておさらいなんですが、週末の雇用統計を市場はどう見たんでしょうか。
はい、基本的にはポジティブに捉えていると思いますが、強弱入り交じりの展開となり、2万ドル越えの原動力はならなかったようです。

(フリップ1:5か月ぶりの増加/米国製造業雇用者数(前年比))
用者数は予想に届かなかった一方、内訳をみると製造業が4ヵ月連続減少の後、今回は1.7%の増加で、足下のISM製造業景況感指数などの好調な数字と一致しています。11月分も上方修正され、米失業率は11月4.6%→12月4.7%に上昇したものの、労働参加率も上昇し良い失業率の上昇になったと考えています。

--また時間当たり賃金も金融危機後の最大の伸びでしたよね。

(フリップ2:ほぼ連動:S&P500社売上高(前年比))
はい、賃金上昇は企業にとってはコスト増の面もありますが、物価上昇を加速させる側面もあります。物価と企業の関係を見るとほぼ連動していることが分かります。決算が始まり業績に目が向きやすくなる中で、株式市場にとってもポジティブな材料になりそうです。
 

【NY証券取引所中継】10-12月期決算予想
解説はSMBC日興セキュリティーズ・アメリカの尾坂将司氏
 
--決算が始まりますね。

(フリップ1:10-12月期は増益へ)
はい、今回発表される10-12月期決算は、S&P500ベースで7-9月期に続き増益になる予想です。現段階で1株利益は3.8%の増益予想ですが、毎回7割以上の企業が市場予想を上回る傾向があるため、結果的に6~7%の増益もありそうです。

--そんな中で細かく見ると、まず注目は何ですか。

はい、今週後半にある銀行の決算です。長期金利の上昇で、金利収入の拡大が期待されているほか、大統領選前後のマーケットの変動で、既に12月の初めの時点で各行の幹部がトレーディング収入が2桁増になる見通しを明らかにしています。JPモルガンは10-12月期のトレーディング収入が少なくとも1年前に比べて15%増加、シティグループもトレーディング収入が20%増になると予想しています。またバンクオブアメリカは12月初めの時点の債券トレーディング収入が約15%増になったと明らかにしています。

--一方で今回の決算の注意点は何でしょうか。

はい、まずはドル高です。多国籍企業の業績にとってはもちろんマイナス要因で、この先もドル高が続くならば、企業の業績見通しが慎重になる可能性があります。また原油価格の影響、さらに企業幹部によるトランプ新政権に対するコメントなども相場を動かす材料になりそうで、こちらにも注意が必要かもしれません。
 
 

【為替見通し】注目ポイントは「日経平均」
解説はJPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏
 
--先週末からきのうの為替市場の動きはいかがだったでしょうか。

(フリップ1:ポンドやく2ヵ月ぶりの安値)
先週末のアメリカの雇用統計が平均賃金が予想を上回たことで、ドルが最強通貨になりドル/円も上昇して、117円台まで上昇したんですけれども、そのあと昨日は週末のメイ首相のあの発言を受けポンドが2ヵ月ぶりの安値で少しリスクオフムードになり、円が買い戻された。結果的にドル円は雇用統計を受けて上昇したものをすべて失うという形で117円ちょうどぐらいまで戻ってきていますね。

--今日の予想レンジが、115.40~116.80円、注目ポイントは日経平均株価です。

(フリップ2:ドル・円・ユーロが弱い)
リスクオンかリスクオフかというポイントなんですが、年初来の為替市場を見ますと、主要通貨の中でこういう順番になっていまして、豪ドルとかカナダドルが強いんですけれども、一方で円とか米ドルとかユーロなど、こういった資本調達通貨はみんな弱いほうになっていますね。つまりリスクオンの状態になっているんですが、昨日イギリスのポンドが売られたことを受けて、少しリスクオフムードになってきていますので、ドルと円が両方とも弱い通貨になっているので、上下動は激しいですが全然トレンドが出なくなっているので、このトレンドが出始めるかどうか、というところがポイントということで、日経平均株価が引き続き強いかどうか、リスクオンが続けばドル円のトレンドが出にくいですし、リスクオフになり始めると円のほうが強くなり始めますので、ドル円が下がるということで日経平均に注目ということです。
 

 
【日本株見通し】注目ポイントは「トランプ次期大統領記者会見」
解説は野村証券の若生寿一氏

--今日の予想レンジは、19300-19600円です。

NYダウが20000ドルを突破できずに反落してきて、為替も116円台まで押し戻されたということなので、日本株も弱含み、横ばいでスタートし、そのあとはドル円にらみの展開ということかなと・・・。ただ押し目買いの動きが出て下値が固まれば反転もあると想定しています。

--注目ポイントは「トランプ次期大統領記者会見」です。

(フリップ1:トランプ氏が掲げる政策)
時間は未定なんですが、アメリカ時間の明日11日に大統領当選後初めて開かれる記者会見、これで就任式を前に政策の具体的な中身が明らかにされるか注目しています。ここまでは規制緩和策や積極財政策によって、線理科の景気がさらに後押しされるという光の部分が期待されたものだと言えます。一方、メキシコ移転を計画する企業に対する批判するなど、保護主義という影の部分の懸念も強くて、あるいはドル高に対するけん制が行われるかどうか、こういったこともこれまでのトランプラリーが継続するか否かを見極めるポイントになるのかなと考えています。

--若生さんはどういう風に見ていらっしゃいますか。

(フリップ2:トランプ氏、自動車メーカー批判)
私は新大統領の目標は海外企業をたたくことではなくて、アメリカ国内への投資を活発化させて、アメリカ経済を強くすることだと考えています。ですので先週の自動車メーカーへの批判も、日本企業を真っ先にやり玉に挙げたわけではなくて、アメリカ事象のでの上位1,2,3と順番に批判しているという形ですから、そこはちょっと修正しないといけないかなと思います。最終的に差し引きで積極財政による景気刺激効果が残るわけですから、日本株にとってはプラスになると考えています。
 


■【プロの眼】ドル安の兆候表われる?

ドル円相場は2017年に入ってから115円から118円台の上下動をしているが、ドル安の兆候が表われている。ドル円の名目実効レートは方向感のないレンジ相場だが、利上げ後にドルと長期金利が下落する去年のパターンが繰り返されそうだ。またトランプ次期大統領のトヨタ批判など保護主義の顔が出始めた。保護主義圧力が強まり出すと日米金利差が拡大しても円高方向に向かう可能性が高いとみる。

《解説:JPモルガンチェース銀行/佐々木融氏》

--ドル/円相場は、2017年には一定1週間程度しかたっていないのに、早くも115~118円台のレンジで3円もの動きが見えていますが、佐々木さんはドル安の兆候が表れているとみているのですか。

(フリップ1:ドル安の兆候)
そうですね。まず1つ重要なポイントというのが、アメリカが利上げをすると、アメリカの長期金利とドルが両方ともピークを売って下落し始めるというのがいつものパターンなんですが、実は1昨年の12月にも利上げがあったあと、ちょっとドルは上がったんですが、結果的に1月辺り、2月辺りをピークにしてもう下がり始めた。亜鉛理科の長期金利も下がっているんですが、今回はドルは(現状では)くすぶっているんですけれども、長期金利はもう下がり始めているということで、これまでの利上げ局面と同じようなパターンが見られ始めるんじゃないかということです。

--加えてもう1つ。

赤いほうのグラフはドル人民元で、人民元オフショアのほうのレートなんですけれども、去年も全体的なドル安の前に、ドルが人民元に対して下落し始め、先行指標みたいになっていたんですが、今回もドル人民元が落ち始めている。人民元高・ドル安になり始めているんですね。去年と同じようなパターンが見られ始めているというのが、まず1点目です。

--ただ今はトランプ政権が誕生するということで、ドル高になるという見方のほうが強いという気がするんですけれども、そうは思わないですか。

(フリップ2:クリントン政権時の円高局面)
私はトランプ政権になることによって、保護主義圧力が強まるので、逆にドル安になるだろうとみているんですけれども、これは1993年の例があるんですが、クリントン政権が始まった時のドル円と日米の2年金利差なんですけれども、これを見ていただくとわかりますように、日米の2年金利差がずっと拡大しています。これはアメリカが利上げをしているから金利差が拡大しているんですが、ずっとドル円が下がっていっているというのが分かります。

--動きが逆になっていますね

クリントン政権が誕生した後、クリントン大統領自身もそうなんですが、クリントン政権内の高官が立て続けに円高容認・ドル安容認みたいな発言をどんどんしていったので、ドル円が下がっていった。クリントン大統領が就任した後、すぐに始まって7ヵ月間で125円から100円ぐらいまで落ちているんですね。なので政治的な圧力がかかってくると、金利差が拡大しても結局ドル円は落ちるということなので、今回もトランプ氏がトヨタを批判したりしてだんだんそういう顔が出てきていますので、そのリスクはあるんじゃないかなと見ています。

--日米金利差よりも政治のほうが為替を大きく動かすかもしれないということですね。それからもう1つ金利という点では、アメリカの金利を見てみましょう。

(フリップ3:米実質金利は低下)
金利のほうでもドル安の傾向が出始めるんじゃないかと見ています。緑いろのグラフが実質金利で、去年の中ごろから急速に低下してきています。これはアメリカの名目金利が下がっている中で、期待インフレ率があまり変わっていないですね。ですので実質金利が下がってきているということで、これもドル安の先行指標になってくるんじゃないかなと見ています。

--名目金利が低下しているということなんですけれども、アメリカの利上げが例えば3月というふうに折り込まれ始めれば、上がってくるということはないですか。

そうですね。それで上がって、普段だったらドル高というパターンですが、今回は政治的圧力が来ますので、それを乗り越えてドル安になるんじゃないかというのが私の見立てですね。

--どのくらい続いて度くらいまで行きますか。

年末までにドル円は100円割れの可能性もあるというふうに見ています。
 

 
■【モーサテ・サーベイ】今週のマーケットを出演者が予想
マーケットや世界経済の先行きを番組のレギュラー出演者へのアンケートから独自に予想します。
(1月6~9日、番組出演者31人)

・ 今週末の日経平均予想。
予想中央値(19600円) 先週終値(19454円)

ニッセイ基礎研究所/井出真吾氏
(19800円予想)
「11日に予定されている記者会見でトランプが強気発言をすれば上昇するとみる」

大和証券/木野内栄治氏
(19400円予想)
「トランプ相場の第一幕が一服する」



・ 今週末のドル円相場の予想。
予想中央値(117.00円) 先週終値(117.05円)

クレディアグリコル銀行/斎藤裕司氏
(117円予想)
「トランプのドル高言及で一時的調整の可能性があるとみている。」

三菱東京UFJ銀行/内田稔氏
(115円予想)
「日米の金利差拡大が一服し、ドル円の上昇も一服する」


・米国の利上げ時期予想
3月(42%)5月(13%)6月(32%)9月(10%)18年以降(3%)
 
 
・モーサテ景気先行指数
 52.6(改善)



 
■特集 “ヘリマネ”推進派に聞く 日本内需喚起の仕掛け
先週、アメリカの著名投資家ジョージ・ソロス氏とともに来日し、日銀の黒田総裁、麻生財務大臣、そして、安倍総理大臣と相次いで会談した人物がいます。ヘリコプターマネーの推進派として知られるイギリス金融サービス機構の元長官、アデア・ターナー氏です。トランプ次期大統領の登場で、日本でも景気拡大への期待は高まっていますが、ターナー氏は内需を喚起する仕掛けが必要だと提言します。
 
《日本は内需拡大が不可欠/アデア・ターナー氏》

「日本経済はアメリカよりも中国の影響を強く受ける。今後1年から数年の間に、トランプ氏の財政拡張策によって、日本が受ける恩恵はほんの僅かだろう。重要なのは輸出需要に依存するのではなく、内需を拡大する仕組みだ。金融政策だけでは実態経済への波及効果は乏しい。」

日本は財政政策による内需拡大が欠かせないとするターナー氏。政府が目指す財政健全化策は非現実的と認め、いわゆるヘリコプターマネー実施に踏み込むべきとする。

「IMF(国際通貨基金)のデータでは、日本の純債務はGDP比140%ほどだ。このうち半分に匹敵する70%の純資産を日銀が国債で保有している。私はその一部を(日銀のバランスシート上に)無利子永久債として計上し、事実上消すことで公的債務削減を解決可能にすることを提案する。日銀の政策委員会にこの権限を与え、例えばGDP比20%ほどの純債務の消却から始めれば、国民に向けて債務の償却は可能であり、将来の債務負担が思ったよりも軽いと示すことができる。」

《森田キャスター》
ヘリマネとは言わずに財政ファイナンスと言ってほしいということでした。結局、日銀が民間に債務を売却して返還できるとは思えないということで、今の政策は後々考えればヘリコプターマネーだという風になるのかもしれない。だから今これを公式に認めて、消却の仕組みを作っていくべきなんじゃないかという提言だったんです。

--もうすでに日本はやっているんだという意見もありますが・・・

《JPモルガンチェース銀行/佐々木融氏》
「いま森田さんが仰ったような形で、先行きのことを考えたときに、このままに地銀が市中に国債を売却できないでしょうというのはある意味では正論だと思うので、このまま表面的な正論、つまりこんなことを続けていてはいけないということを言っていても、結果的にはどこかで続けざるを得なくなってくるので、沿いいうことを考えざるを得ないというのは事実だと思う。ただ財政をどんどん出すことによって、景気を浮揚させる、内需を拡大させるというのは、結局ヘリコプターマネー、財政ファイナンスをしてどんどんお金を供給することによって、インフレ率は上がってくるので、インフレ率が上がって結局内需が増えて、賃金が多少増えたとしても、実質賃金は変わらないので、それをどんどんやることによって国民が幸せになるのかどうかというのはちょっと別の問題じゃないかと思う。金融政策に限界がきているので財政にしわ寄せがくるということだと思う。」
 


■NY便り 北米国際自動車ショー
アメリカの大手自動車メーカーの本拠地デトロイトで北米国際自動車ショーが開幕した。トランプ次期大統領に名指しで批判されているトヨタの豊田社長は主力車カムリの発表会に登壇、アメリカで今後5年間で100億ドルを投資すると発表しました。

北米国際自動車ショー・トランプ発言で大揺れ・各社はトランプ発言が自動車業界に影を落とす中、米国の大手メーカーの本拠地、デトロイトで北米国際自動車ショーが開幕した。トヨタは米国で一兆円以上を投資すると発表した。

(中継:デトロイト:影山秀伸記者)

トヨタ自動車・豊田章男社長が主力車・カムリの発表会にサプライズで登壇、巨額投資の発表をあえて新型カムリの世界初公開の場で行った。カムリはケンタッキー州で生産、部品の7割以上を現地調達していて米国製をアピールするのに最も適した車だ。実績と100億ドルもの巨額投資でトランプ次期大統領のトヨタ批判を牽制した形だ。

同じくトランプ批判にさらされているGM・メアリーパーラー会長兼CEOは「メキシコの生産計画の変更はないとし米国経済を支えるビジネスを目指すが同時に世界企業として展開する」と話した。トランプ批判をかわす狙いか、ミシガン州で生産しているGMシボレートラバースを発表し、アメリカ経済への貢献度を強調する。

一足先にメキシコの工場移転計画を撤回しトランプ攻撃をいち早くかわしたフォード、マークフィールズ社長は記者からの質問攻めも軽くかわし余裕を見せた。

--アメリカの新車販売は2年連続で過去最高記録を更新していますが、今年はどうですか。

今年も年間販売台数1700万台程度の高い水準を維持すると見られています。ただレクサスをはじめとする高級車市場は少し厳しそうです。アメリカの株高による資産効果や低金利に支えられここ数年販売好調でした。しかし販売競争はこれまでになく熾烈になっています。去年の販売台数を見ると、これまでトップを走っていたBMWが3位に転落し、レクサスは2位に順位を上げ、トップには3年ぶりにメルセデス・ベンツが返り咲きました。
米国の高級車トップ3年間販売台数、メルセデスベンツ34万台、レクサス33万台、BMW31万台。

北米国際自動車ショー開幕、新車販売・高級車市場に注目
メルセデスベンツは人気の小型SUVのGLAの新モデルをお披露目、発売以来、初めてデザインや性能を大幅に改良した。ダイムラー・ディーターツェッチェ会長は新型GLAの販売に自信を見せた。しかし米国の高級車販売の伸びは鈍化し始めている。米16年高級車販売の伸びは、前年比でベンツ(-0.8%)、レクサス(-3.9%)、BMW(-9.5%)。

一方で利益率を落とすインセンティブと呼ばれる販売奨励金の額は大幅に増えている。中でもBMWは去年12月に業界平均を大幅に上回る1台当たり5815ドル(65万円以上)(業界平均3673ド)を拠出、利幅を削りながら、どうにか販売を維持している。ダイムラーは日産と提携しメキシコで今年から来年にかけて生産をする予定ですが、これまでのトランプ氏の言動を見る限り、次のバッシングの対象になる可能性があります。日米の自動車メーカーは今後難しいかじ取りが迫られそうだ。
 
 
■日経朝特急

トヨタ、米国投資1.1兆円
トヨタ自動車が米国で今後5年間に1兆1000億円を超える投資を行う計画を明らかにした。
 


脱フロン、日本勢が先手
日本企業が地球温暖化に深刻な影響を与えるフロンを使わない取り組みで先行する。ローソンはフロン未使用の冷蔵庫を使う店舗を来年度までに2700店に倍増する。2019年からフロン生産の規制が世界で厳しくなることを見据え、世界の投資家も企業の環境対策に関心を強めていて、脱フロンをすすめて本業の競争涼を高める。
 


長時間労働是正が最優先
日本経済新聞社と日経リサーチによる働き方改革調査。上場企業301社に自社で取り組む働き方改革の優先課題を聞いたところ、73%が長時間労働の是正をあげた。女性の活用などが続く一方で、賃金引き上げは14%にとどまった。これに対し、正社員への意識調査では、賃上げを求める声が目立った。
 


■日刊モーサテジャーナル

トランプ次期大統領の政治圧力で自動車業界が大揺れ(ウォールストリートジャーナル)
欧米自動車大手フィアットクライスラーオートモービルズが米国の工場に新たに10億ドルを投資するとの発表で、ウォールストリートジャーナルは、トランプ次期大統領からの政治的圧力で自動車業界が大揺れだと報じている。ただ記事は、トランプ次期政権下で進められる自動車のメイドインアメリカにこだわる方針に懐疑的、ここ10年ほどトヨタなどの巨大自動車メーカーなどが進出した結果、米国の消費者にとって米国産か外国産かという問いは意味を持たなくなっていたと伝えている。さらに米国製とされる部品の半数ほどが既に国外で作られているという事実自体が、消費者がどこで作られたかというより、品質やデザインを重視するようになっていることの表れと、トランプ氏のやり方に批判的だ。
 


ジャンク債市場、まだ盛況?(ウォールストリートジャーナル)
米国の金利が上昇しているがそれにも関わらず、投資家は高い利回りが売りのジャンク債市場の盛り上がりはまだ続くとみていると報じている。記事は、ソフトバンクの子会社スプリントを始めジャンク債を発行する信用力の低い企業の7-9月期の利益が前年比7割以上増加したことが背景にあると指摘。ジャンク債市場のリターンの予想は去年の17%ほどには行かないものの、今年も8%ほどが見込まれ堅実な投資先という見方もある。またジャンク債の平均利回りが先週時点で5.9%ほどと未だに米10年債利回り(約2.4%)を未だにはるかに上回っていることも一因だという。
 


米国・セキュリティー保険・企業をポイントで評価(フィナンシャルタイムズ)
見出しは「アメリカの保険会社が企業のサイバーセキュリティに焦点」。いわゆるサイバー保険の市場で、企業のセキュリティー対策の状況を評価するビジネスに注目が集まっているという。去年はニューヨーク・タイムズ社やツイッターなどの大企業もサイバー攻撃の被害を受け、利用者がWebサイトにアクセス不能の事態に陥った。保険会社の注目は企業のサイバーセキュリティーを評価する企業。例えば新興企業のビットサイトは、企業がウィルスに感染していないか、社員を監視する体制があるか、など項目をチェックしてポイント化。実際にこのスコアが低いことから、サイバー保険を提供することを断った保険会社もあるという。このサイバー保険の市場規模は、2025年までに200億ドル(約2兆3000億円)に到達するとの見方もある。
 


■今日の予定
12月消費動向調査
中国・消費者物価指数
中国・生産者物価指数
米オバマ大統領お別れの演説
 


■ニュース
トヨタ アメリカで1.1兆円投資
トヨタ自動車の豊田章夫社長は先ほど、デトロイトで開かれている自動車ショーで記者会見し、アメリカ国内で1兆円を超える投資を行うと発表しました。トヨタは今後5年間で約1兆1,600億円を投資し、年内にアメリカで生産を始める新型「カムリ」の生産性向上などに充てるとしています。メキシコで新しい工場を建設中のトヨタは先週、トランプ次期大統領からツイッターで「トヨタはアメリカに工場を造るか、巨額の関税を払うべきだ」と批判されていました。
 


米国・トランプ次期大統領・アリババCEOと会談
米国・トランプ次期大統領は、中国の電商取引大手・アリババグループ・ジャックマーCEOと米国・ニューヨークのトランプタワーで面会。米国で100万人の雇用を創出する方法を協議した。トランプ次期大統領は「マー氏と私は中小企業に対して良いことを進めていく」と述べた。主に米国中西部の中小企業の農業製品をアジア全域に販売を拡大し雇用創出に貢献するとしている。
 


「16年より利上げペース加速を」
ボストン連銀のローゼングレン総裁は、FRB=連邦準備制度理事会による政策金利の引き上げについて、「2016年よりペースを速めるべきだ」と指摘しました。またペースを速めないと、行き過ぎた物価上昇につながる恐れがあるとの見方を示しました。一方アトランタ連銀のロックハート総裁は、アメリカの経済成長は2%程度にとどまるとして、FRBは、引き続き緩やかなペースで利上げを実施するのが適切だとの見解を示しました。
 


英 メイ首相発言でポンド急落
イギリスのメイ首相が8日、EUの単一市場にアクセスできなくなるとしても、移民の制限などをEU離脱における優先事項とする考えを示したことを受け、9日のヨーロッパ為替市場では、ポンドは大幅に下落。ドルに対しては一時、約2ヵ月半ぶりの安値をつけました。メイ氏は9日、強硬離脱は免れないとの見方は誤りだと、自らの発言の火消しに回りました。
 
 

武田薬品工業が米製薬会社を買収
武田薬品工業は9日、アメリカの製薬会社アリアド・ファーマシューティカルズを54億ドル、約6,200億円で買収すると発表しました。アリアドは血液がん治療などに強みを持っており、武田は今回の買収により、重点分野とするがん治療で、競争力を高める狙いです。
 

釜山「少女像」設置問題 駐韓大使が一時帰国
慰安婦を象徴する少女像が設置されたことへの対抗措置として、韓国に駐在する長嶺大使らが一時帰国しました。長嶺大使は早ければきょうにも安倍総理大臣に現状を報告し、対応を協議するとみられます。長嶺大使らの一時帰国は10日間程度とみられますが、韓国側に改善の動きが見えない場合は、日本政府として新たな措置も視野に検討する方針です。
 


オウム後継団体「アレフ」 公安調査庁が立ち入り検査
公安調査庁はきのう、オウム真理教の後継団体「アレフ」に今年に入って初めての立ち入り検査を実施し調査官24人が札幌市内の施設に入りました。国内最大規模のこの施設では先週金曜日から4日間にわたり幹部候補の信者などを対象にセミナーが開かれていて、きのうが最終日でした。セミナーには麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚への信仰心を強化する狙いがあったとみて、公安調査庁は引き続き、警戒を続けています。
 


連続放火容疑で会社員逮捕
去年の7月、東京・渋谷区の都営アパートの駐輪場でバイクのカバーなどが燃える連続放火があり、警視庁は会社員の岡田宇史容疑者を放火の疑いで逮捕しました。事件当日は半径150メートルの範囲で放火とみられる火災が7件あり、周囲の防犯カメラの映像から岡田容疑者が浮上しました。調べに対し岡田容疑者は、「仕事のストレスを発散しようとした」と供述しているということです。
 

 
■【コメンテーター】JPモルガンチェース銀行/佐々木融氏

・ 英国首相発言でポンド安、「ハードブレグジット」に注視
--ポンドが売られ、イギリス株式市場は最高値という動きですけれども、これは何か違和感がありませんか。
基本的にはブレグジットの方向に動かしていくことでポンドが売られて、ポンド安だから株高ということなんです。他の市場は少し昨日もリスクオフムードでそれを捉えていて、だから円が買い戻されたということなんですが、他のヨーロッパ株も皆売られていますので、少しイギリスの株式市場だけポンド安に注目している。基本的に実際にブレグジットになるとき、ハードブレグジットしか選択肢はないと思いますので、そう考えると、いずれ英国の株式市場に悪影響が出てくることは十分あり得ると思います。
 


・ 日刊モーサテジャーナル/ジャンク債市場、まだ盛況?
--ジャンク債8%ということですけど、堅実な投資先というよりは、今ン利回りで言えばまだ魅力的という感じですか。
「そうですね。それとやはり世界の景気がかなり回復してきていまして、ユーロ圏の景況感指数も非常に強いですので、全体的に生産も増えてきているという状況ですので、そういったところで強気の投資が続いているということだと思いいます。」
 


・ 今日の経済視点 「光と影」
「すみませんちょっと若生さんの(フリップを)借りてしまったんですけど、ちょっと楽観的なムードが非常に強いなかで、今後出てくるリスクというのに注意しないといけないんじゃないかなと思っています。特に世界経済というのは、去年の第4四半期に非常に強くて、年率3%で成長していくぐらいの強さなんですけれども、これは必ずしもトランプ氏が出てきたからというわけでもないですので、循環なので、ここからどうなるかというところがポイントですし、あとはトランプ氏の保護主義に関しても、ちょっと注目されていないのは中国の問題ですね。これからこっちが出てくると思いますし、フレグジットもありますし、まだしばらくは景気好調の状態は続くと思いますけれども、リスクも忘れてはいけないかなと思います。」
 
 

2017.1.6 Newsモーニングサテライト

2017年01月06日 14時22分21秒 | MS
■マーケット

NY株 高安まちまち
FRBが昨日示唆した、先行きの不透明感や、小売店のリストラ策などが投資家心理を冷やし、株価は勢いを失っています。民間の雇用報告が予想を下回った事も、悪材料視され、ダウは一時3ケタの下落。老舗百貨店メーシーズの店舗閉鎖等も、消費の先行きを不安にさせたかもしれません。冴えない経済指標を受けて、アメリカの10年債金利も急低下。一時2.3%台半ばとほぼ一ヵ月ぶりの低水準を付け、この金利低下や中国元やメキシコペソなどの動きに絡み、ドル円も一時、115円20銭台まで円高が進みました。ではNYの株価終値です。ダウが3日ぶりの反落の42ドル安、1万9,899ドル。ナスダックが3日続伸10ポイント上昇、5,487。S&P500が3日ぶりの反落1ポイントマイナスの2,269でした。
 
 
【NY証券取引所中継】米ADP雇用報告を分析
解説は大和証券CMアメリカの森本裕貴氏
 
--年明け最初の一服という感じですかね。

金利低下を受けて金融株が売られ、相場の重しになりました。一方、IT主力株が買われ、ナスダックはしっかりです。

--民間のADP雇用報告は予想を大きく下回りました。ちょっと心配ですか。

(フリップ:米大企業の雇用が伸びる)
いえ、実質的にはおおむね市場予想の範囲内だったと思います。そこで注目したいのが企業の規模別の雇用者数の伸びです。昨年から見ると小規模の企業の雇用が減少する一方、大企業では雇用が底堅く推移しているのが分かります。

--つまりこの規模別の分布が安心感になるわけですか。

はい、これは大企業に雇用が集まり、小規模の小さな企業に雇用が回っていないことを示しています。つまり労働力不足が原因です。そのことは完全雇用に近づき、労働参加率が上昇していないことから、すでに市場も分かっていることで、それを考慮すると、今日の金利低下やドル安は少し行き過ぎた反応です。新たな労働力の参入を示す労働参加率、また生産性の水準を表す賃金の上昇率は明日の雇用統計で確認できます。今後、雇用者数や失業率以上に重要視されてくるかもしれません。
 



【NY証券取引所中継】米半導体株で占う相場
解説は大和証券CMアメリカの森本裕貴氏
 
--年明け最初の一服という感じですかね。

金利低下を受けて金融株が売られ、本日の相場の重しとなりました。一方でIT主力株が買われ、ナスダックはしっかりの動きです。

--さて今年の相場を占ううえで、森本さんはある動きに注目されたらしいですね。

(フリップ:連動の謎?)
はい、実は年末年始の株式相場で、ソックス指数いわゆる半導体株式指数とダウの値動きが非常に似ていたことです。ダウ構成銘柄の中には半導体銘柄としてインテル1社が入っています。ソックス指数とインテルが連動するのは分かりますが、ダウ全体がここまで連動するのは少し意外感があります。

--なるほど、ではこれは何が要因なんでしょうか。

グラフィック半導体大手エヌビディアの影響を受けている部分があります。この会社は昨年1年間で株価が3倍以上になり、S&P500銘柄で最も上昇した銘柄でした。ただ年末年始の間、空売り集団のコメントをきっかけに売られ、その後に買い戻されるなど、荒い値動きとなりました。このヌビディアの値動きに関し、思惑が交錯し、ITセクターひいては株式市場全体について強気にみるか弱気にみるか、投資家心理を移した側面があったように思います。

--ではこの半導体株の動きが今後も注目なわけですね。

はい、半導体については人工知能やインターネットオブシングスなど長期的な成長ストーリーは健在と見ています。短期的には株式市場全体の上昇トレンドを占ううえでも決算が要注目です。アメリカの半導体企業の決算発表は、1月の3週目以降に本格化しますが、その前に世界各国の半導体企業の決算が予定されています。台湾のTSMC・オランダのASMの決算には特に注目したいと思います。
 
 

 
【為替見通し】注目ポイントは「米雇用統計と1月相場」
解説はみずほ銀行NYの日野景介氏
 
--NY市場は東京時間の流れから、もう一段の円高となっていますね。

はい、1年ぶりの利上げとなったFMOC以来の115円台となりました。朝方に発表された指標は強弱まちまちとなり影響は限定的、ドル/円は116円前半を上値が重く推移しました。特段目立った材料のない中、116円を再びした抜けると、東京時間の安値を割り込み、115円21銭まで急落しております。

--今日の予想レンジは、114.75~116.80円、節目の115円割れも見ているんですね。

注目の雇用統計を受け、節目の115円がサポートされるか、非常に重要な一日と考えております。

--注目ポイントは「米雇用統計と1月相場」、雇用統計が為替市場に与える影響というのはいかがでしょうか。

前回のFMOCでの金利見通しの引き上げにより、次の追加利上げのタイミングに注目が集まる中、今後の利上げシナリオを占う2017年最初のイベントとなるでしょう。

(フリップ:トランプ相場調整局面入り?)
マーケットは年始初日こそドル高円安のトランプ相場を継続しましたが、人民元の急騰をきっかけに、年末までのトランプ相場から急速に調整を見せており、雇用統計が市場予想通りのレベルでも、ドル高円安基調に戻れるかは疑問が残ります。過去3年、年末までのドル高・金利上昇が年明け1月から否定される相場が見受けられるということに加え、今回はそのドル高・金利上昇も急速で、ポジションの傾きも大きいことから、調整も相応に深くなることには注意が必要です。仮に市場予想を下回り、12月FMOC直前の安値114円75銭を割り込むと、一気に112円台が視野に入ってきそうです。
 
 


【日本株見通し】「確定拠出年金でのリスク資産運用」
解説は岡三証券の阿部健児氏
 
--今日の予想レンジは、19350円~19550円です。今日の東京市場はどうご覧になりますか。

はい、アメリカの雇用関連指標が予想を下回り、円高も進行しており、アメリカ株も下落していることから、日本株は下落して始まると考えています。そのあとは日銀のETF買い入れ期待で、小幅に持ち直すと予想しています。

--注目ポイントは、「確定拠出年金でのリスク資産運用」 です。

(フリップ:リスク資産への投資が増加)
企業型の確定拠出年金の資産の運用状況を確認すると総資産は2005年から2016年にかけて1兆円から8兆円にまで増加し、そのうち55%に当たる投資信託等のリスク資産で運用されています。トランプラリーで世界的に株価上昇が続けば、一段とリスク資産の割合が高まる可能性があります。さらに今月から確定拠出年金の改革が実施され、公務員・専業主婦も個人型確定拠出年金を利用可能となっております。年間の拠出額は1兆円を超えると試算されており、これも確定拠出年金でのリスク資産の増加をもたらすと考えられます。
 
--日本の株式市場への影響も大きそうですね。

はい、リスク資産の一部は日本株にも投資され、日本株の上昇要因になります。またアメリカでは老後資金の積み立てを目的とした税制優遇付きの口座IRA個人退職勘定をきっかけに個人投資家層が拡大したと指摘されており、日本でも今回の改革をきっかけに個人投資家層が厚くなることで、中長期的に証券セクターを中心に金融セクターに利益があると考えております。
 
 



■特集 2017年 商品・クレジット市場大胆予想
今年の商品市場、クレジット市場の動向とリスク要素を予想する。商品市場についてマーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘氏は、原油、銅、石炭を展望。特に石炭の価格上昇による影響に注目し解説。BNPパリバ証券の中空麻奈氏はクレジット市場について、クレジットサイクルの歪みと今後の動向について解説する。

--さてここからは新村さんに商品市場、中空さんにクレジット市場の今後の2017年のリスクについて、伺っていきます。

 
 
(1) 2017年・商品市場・原油相場の動向は
マーケットリスクアドバイザー/新村直弘が解説。

--まず商品市況について伺っていきたいです。イラクが減産を開始して、今年の原油相場をどう見ていますか。

(フリップ1:新村氏2017年の注目点)
高値で乱高下すると思っています。ポイントになるのが、6月のOPEC会合で減産が継続されるかどうかです。下期以降、下期がやはりピークになりますので、そこがポイントです。
(フリップ2:新村氏2017年原油価格予想)
あとは、すべての前提が緩やかな景気回復が続くということになっているので、その前提の中では、45ドル~60ドルぐらいのレンジで推移すると思っています。上がり始めるのは年後半からというふうに考えています。それぐらいになると需要と供給がバランスするだろうということですね。乱高下する要因は政治的要因がそれなりに大きいと思っています。
 
--トランプ新政権の誕生は影響しているんですか。

結局トランプの政策がどうなるかということで、緩やかな景気回復が前提ですから、そこが崩れるとやっぱり急落ということも起きえると思います。年初は一回調整すると思います。

--そして新大統領誕生で動くものもあるんだろうということで、その見通しでは「銅」ですか。

基本的に公共投資をたくさんやると言っているので、それが本当であれば、バブル的に資源価格が上がる可能性はある。ただ議会の予算設定の影響で、たぶんトランプさんが何かをやるとしても年後半だと思う。なのでそこはリスク要因の一つだと思っています。あともう一つ、それまではアメリカは関係ないので、中国がどれだけ消費をしていくかということになりますので、中国の住宅政策がポイントになると思います。今は過熱しているので、それを押さえようとしているが、抑えすぎてしまうと、また急落ということもあり得る。基本的には上がっていくんですが、乱高下するだろう。予想レンジは4800~6200ドルぐらいが「銅」の見通しになります。
 
 

(フリップ3:中国、石炭16年↑顕著に)
--そういった資源価格の中で、新村さんが一番注目しているのが、石炭。どういった点に注目していますか。石炭はずいぶん価格が上がってきています。




(フリップ4:中国、脱石炭依存へ)
これの背景にあるのが、世界最大の生産国であり、消費国である中国が、環境問題とかを理由にして石炭の減産を進めた。だいたい去年から10%ぐらい削減されています。シェアがだいたい世界の5割なので、10%減産すると世界の生産量が5%減るということなので、燃料炭は2倍以上、原料炭(鉄鋼製品に使うもの)は4倍近くに上がった。

--中国の脱石炭依存の動きが影響して価格が大きく上昇している。そうなるとどういうところに影響が出てくるのか。

2つあって、①鉄鋼セクターと、②燃料に使われますから電力料金とかに影響してくると思います。

--その辺りを森田キャスターの説明してください。

(フリップ5:石炭価格↑の影響) 森田キャスター解説
石炭価格が上昇しますと、その価格が結局は電気料金に転嫁されることになります。そうすると最終需要者である企業や消費者の負担が増えることになります。
(上段) ほぼ100%の燃料を石炭で賄っている電力会社(主に新規参入業者など)はそのまま価格に転嫁する。
(下段) 一方で、石炭以外にも原油やLNGを使っている電力会社も、原発事故やコスト面などから石炭を原料として使用するところが増えてきている。ただ電力価格の価格体系というのは変わっていないので、石炭価格の上昇分というのを、価格に転嫁できていないというのが現状である。つまり消費者への影響は軽くなっているが、その分は電力会社が負担し、業績悪化につながる恐れがある。

--そういうところに影響が出る石炭価格が今後も上昇していきそうですか。

(フリップ6:新村氏2017年石炭価格予想)
中長期的にはやはり石炭は環境に良くないので、減っていきますから、価格は下がる方向にあります。ただ石炭依存度を変えようということで、中国はいろいろと政策をとっているので、短期的には中国がどういう政策をとるかということで、だいぶ話が変わってきます。なので見通し的には燃料になる石炭の価格はこんな感じで下がっていく方向性にありますが、中国の政策動向で非常に大きく乱高下する。
 
 
 
(2)17年クレジット市場・マイナス金利の影響は
BNPパリバ証券/中空麻奈氏が解説。

--ここからは社債など信用リスクのある商品を扱うクレジット、信用市場について伺っていきます。2017年はどういう見通しを持っていますか。

基本的にはマイナス金利継続と思っていますし、あまり大きな変動はないと思っている。クレジットスプレッドという言い方をしますが、あまり変動しないと思っています。

--金利の急上昇というものはあまりないということですね。そういった中で注目されているのが、クレジットサイクルというものですね。

(フリップ:クレジットサイクル)
何事にもサイクルってあるんですが、設備投資とか、景気とか、クレジットにもサイクルがあります。企業の業績や企業のバランスシートをイメージしていただきたいのですが、例えば、バランスシートが回復→拡大局面→下降→修繕回っている。クレジットサイクルの現状はどうなのか。
日本のファンダメンタルズ、あるいは企業業績はかなり良いところに来ていると思っていて、拡大から下降(B)に入りそうな局面だと思っている。ところがこういうファンダメンタルズとかと違って、株価は高いし景気がよく見えてしまうし、マインドも安心感が出てきてしまう。企業収益もいいのではないかと思ってしまう。緩和は継続していく。なんとなく回復から拡大局面(A)に思える。ところがファンダメンタルズなどではかなり進んでいて、ここから悪化するということだと、何が起きているかというと、クレジットサイクルに歪みが起きているということだと思っている。

--そういう歪みというのは何故できているんですか。確かにまだ(A)の辺りの気がしますが・・・

やはり金融政策や財政政策、トランプ氏もいっぱい財政を使うと言っている。そうすると財政政策というのはお金が出ますから景気は良くなるんです。たとえファンダメンタルズが悪化しそうだといっても、こういうふうに株価が高かったりすると、含み益で業績がグッと良くなったりします。ですのでサイクルという言い方をしましたが、時計と違って1秒づつ動いてくれるわけではないので、とんでもなく速く回転することもあるわけです。ですからどちらが間違っているのか、政策が無理やりなのか、ファンダメンタルズが正しいのか、どっちなんですか、ということを今年は見極める必要があるというふうに思っています。

--ということは、拡大期の後に急に修繕期が訪れたり、修繕期で金融引き締めがあったりすることもあるわけですね。

そこが一番怖いところです。ですので例えばファンダメンタルズが良い悪い関係なくどんどんタイトニングしていたとすると、じゃあそれはファンダメンタルズが良かったんですか。そうではなく政策で引っ張られただけでしたとなった時に、金融はだんだん正常化し、財政も使い切れなくなってくると、今度こそ差が出てきますので、一切がっさい信用リスクを無視してタイトニングしていたものから、本来タイト化していいものと、本来はスプレッドがあるべきものが選別されてくるはずなんですね。ですから今年はそういうことを見極めて、何が良い企業でどれが良いファンダメンタルズであるか、を見つけないといけないと思っています。

--全体がよく見えるけれども、局面が来た時に、中身をしっかりとみていかないといけないということですね。

思わぬものを実は買っていたということが起きないように注しないといけないというふうに思っています。
 
 
 

 
■日経朝特急
 
中国・次世代通信に5兆円
中国通信大手3社は、2020年までに3000億元規模を投じ、次世代の無線通信規格・第5世代の通信網を整備する。中国の携帯契約件数は世界最大。あらゆるものがインターネットにつながるIoTや自動車のインフラとなる5Gが中国市場でいち早く普及することで中国初の技術やサービスが事実上の世界標準に近づきそうだ。
 
 

2016年度の税収・伸び悩み
財務省発表の2016年4月~11月期の一般会計ベースの税収は、26兆6855億円と1年前比3.6%減った。前年同期を下回ったのは7年ぶり。年度前半の円高に伴う法人税収の減少などが響いた。足元は円安になっているものの為替が税収を左右する状況が続く。
 

 
中国・資本流出阻止に躍起
中国が資本流出阻止に躍起になっている。人民元の対ドル相場が中国本土買いオフショア市場主導で急反発している。5日の香港外国為替市場の終値は1ドル6.82元台と2日間で2%上昇。中国の通貨当局がオフショア人民元の流動性を絞り込み、翌日物金利が一時100%超に急騰した。中国本土では資本規制を企業から個人に拡大。資本の海外逃避を食い止めようとしている。
 
 
 

 

■日刊モーサテジャーナル

トランプ氏、情報機関も改革?(ウォールストリートジャーナル)
ロシアによるサイバー攻撃が、米国大統領選の結果に影響を及ぼしたとの見方を否定し続けているトランプ次期大統領。ウォールストリートジャーナルによると、トランプ氏は、捜査を担当したCIAなど米国情報機関の改革に乗り出すことを検討しているという。記事によると、トランプ次期政権はFBIやCIAなどを統括する国家情報長官室の人員削減をすすめ、各機関の連携を強化する計画を立てている。トランプ氏は情報機関が大きくなりすぎて、政治色を強めていることを懸念していて、ロシアのサイバー攻撃問題を材料に選挙結果を無効にしようとしていると、批判しているという。
 
 

メーシーズが人員削減、好条件そろっていたのに…
米国の新聞は老舗デパート・メーシーズが去年の年末商戦が振るわなかったことから今後、複数の店舗の閉鎖や全部で1万人以上の解雇を進める方針を明らかにしたことに注目している。
ワシントンポストは消費マインドの改善や気温の低さなど小売業にとって好条件がそろっていたのにと、メーシーズの凋落ぶりを伝えている。
またウォールストリートジャーナルは、メーシーズは「店舗数が多く、ブランド頼みが足かせとなり、方針転換は困難」と分析。インターネット販売が好調なアマゾンは、米国で4店舗目となる書展を春に米国・マンハッタンにオープンする予定で、家賃が下落に転じ、商業施設の空きスペースが増得る今、皮肉にもアマゾンがリアル店舗の分野で攻勢をかけていると伝えている。
 
 

米国でシャープTVが売れない!鴻海に痛手(ウォールストリートジャーナル)
フォックスコン(鴻海)はシャープの名前が使えないことが判明。去年、鴻海がシャープを買収した狙いの一つが独自の家電製品事業を構築することだったが、肝心のシャープ製テレビの米国での販売権が2020年まで中国企業ハイセンスに握られている。ハイセンスはシャープブランドを手放す意向は全くなく、これを利用しシェア拡大を目指す。一方、鴻海についてアップルやソニーなどの製品を受託製造することで有名だがこの分野の成長は限定的と指摘。今後、今回のテレビのようにシャープが経営危機のときに売却したビジネスの権利を取り戻すのが大きな課題になるだろうと伝えている。
 
  
 
 
■今日の予定

11月毎月勤労統計
ユーロ圏11月小売売上高
米11月貿易収支
米12月雇用統計
 
 

■ニュース

トランプ氏 ついにトヨタを攻撃
自動車メーカーなどのメキシコへの工場移転を巡り批判を繰り広げているトランプ次期大統領が5日、今度はトヨタの工場建設計画をツイッターで批判しました。トランプ氏は、「トヨタはメキシコに工場を建設し、アメリカ向けのカローラを作ろうとしている。もってのほかだ。工場をアメリカに造らなければ高い関税をかける」と強く批判しました。この批判は、豊田社長が5日、「現時点で建設計画に変更はない」と発言したことを受けたものとみられます。一方、トヨタは声明を出し、「メキシコの工場建設は、アメリカの雇用削減にはつながらない」と反論しています。
 
 

メキシコ中銀 ペソ安でドル売り介入
トランプ次期大統領の強硬姿勢に端を発した通貨ペソ安に、メキシコの中央銀行がたまらず為替介入です。メキシコ中央銀行は5日、国内とニューヨークの銀行を通じ、ドル売りペソ買いの為替介入を行ったと発表しました。介入の規模については公表していませんが、今後も市場の動向を注視するとして更なる介入の可能性を示唆しています。ペソは、トランプ氏が次期大統領に決まった去年11月に史上最安値水準となり、4日には過去最安値を更新していました。
 

 
イラクが原油減産を開始
OPEC=石油輸出国機構第2位の産油国イラクが減産を開始しました。ルアイビ石油相は5日、去年11月のOPEC総会での合意に基づき、原油の生産削減を開始したとの声明を発表しました。イラクは日量120万バレルの削減を約束しています。一方、アメリカのエネルギー情報局が発表した週間在庫統計は、ガソリンや留出油の在庫が予想以上に増加し、WTI原油先物価格は下落に転じました。
 
 

米ISM非製造業景気 横ばい
アメリカのサービス業の景況感を表す12月のISM非製造業景気指数は、57.2となり市場予想を上回りました。前の月に比べ横ばいと、1年ぶりの高い水準を維持しました。新規受注が4.6ポイントの大幅な上昇となったほか、価格指数が9ヵ月連続で上昇した一方で、雇用が大幅に低下しています。
 
 

米新規失業保険申請 43年ぶり低水準
先週一週間の新規失業保険申請者数は、前の週に比べて2万8,000人減って23万5,000人と、ほぼ43年ぶりの低水準となりました。一方、雇用サービス会社ADPが発表した12月の民間雇用者数は、前の月から15万3,000人の増加で、市場予想を下回る伸びとなりました。
 

 
衆院解散「今年はない」発言、後で修正
安倍総理大臣が昨晩、公の場で「年内解散なし」と明言したにも関わらず、その後「言い間違いだった」と修正する一幕がありました。「今年はまったく考えていないということははっきりと申し上げておきたい」。安倍総理は昨晩、都内で開かれた催しでの挨拶で、衆院解散について年内はないと明言しました。しかし政府筋がその後、記者団に対し「今年ではなく、今月の言い間違いだった」と説明しました。年内の解散を否定する総理の発言をわざわざ訂正してきたことで、解散時期を巡って憶測を呼びそうです。また重要課題と位置付ける働き方改革に関しては「最大の壁の1つ。国民の理解を得ながらしっかりと挑戦を果たしたい」と実現に意欲を示しました。
 

 
新潟県知事 柏崎刈谷原発 再稼働に慎重
去年秋に就任した新潟県の米山知事は5日、東京電力の数土会長、広瀬社長と初めて会談し、柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な姿勢を伝えました。米山知事は現状では福島第一原発の事故原因の検証が十分ではなく、柏崎刈羽原発の再稼働は認められないとの立場を示した上で、検証には数年かかると伝えました。これに対し東電側は検証について誠心誠意対応していくと答えました。
 
 

国内新車販売 5年ぶり 500万台割れ
去年の国内新車販売台数が497万260台にとどまり2年連続で減少していることが5日わかりました。500万台を割り込んだのは東日本大震災があった2011年以来です。おととし4月に軽自動車税が増税された影響が長期化しているほか、去年、三菱自動車が燃費データの改ざんを公表したことも販売が低迷した要因となりました。
 
 

米 家電見本市開幕 注目は…
アメリカのラスベガスで5日、3,800社以上が出展し、世界最大級の家電見本市、「CES」が開幕しました。最新情報を現場から宇井五郎記者が中継です。
 
今年は日本企業の出展も目立っている。
10年ぶりに見本市に復帰したホンダ、お披露目されたのがライダーが乗っていなくても倒れないバイク。日本の狭い駐輪場からの出し入れを無人でできるようにと想定して開発している。今回の展示はこうした自動運転がキーワードである。
《本田技術研究所/松本宜之社長》
「2輪・4輪・汎用ビジネスで蓄積したデータを強みとして生かし、AI技術をかけ合わせて、研究開発を加速させたい。」
合わせて発表したのがコンセプトカー「ニュービー」。人工知能を搭載しドライバーと会話が可能、自動運転による相乗りで稼ぐこともできる。
一方まるでモーターショーのような派手な演出をしたのがトヨタ。開幕前の4日に発表したのは、本田と同様、人工知能を使った「コンセプトカー愛」。
そして今日はこの後、日産のカルロスゴーンCEOが基調講演をする予定で、これまでテレビなどが主役だった家電ショーがこうした自動運転車に席巻されたと言えそうだ。
 
 


トルコ 自動車爆弾で2人死亡
トルコ西部イズミルにある裁判所付近で5日、自動車爆弾による爆発が起き、2人が死亡、少なくとも10人がけがをしました。その後、警察は銃撃戦の末、容疑者2人を射殺しましたが、別の容疑者1人がいまだ逃走していて行方を追っています。事件を受けて、地元の知事は少数民族のクルド人武装勢力によるテロとの見方を示しました。トルコでは1日にもイスタンブールで銃乱射テロが発生し39人が死亡したばかりです。
 
 

米軍「オスプレイ」 空中給油訓練 きょう再開
アメリカ軍の新型輸送機「オスプレイ」が空中給油の訓練をきょうから再開します。アメリカ軍は去年12月13日、オスプレイが沖縄県名護市沖で不時着し、大破した事故を受けて、事故の原因となった空中給油の訓練を休止していましたが、必要な再発防止策を講じたとして再開を決めました。これを受けて、オスプレイの安全性への懸念が高まっている沖縄では反発の声が強まっています。
 
 
 




■【コメンテーター】BNPパリバ証券/中空麻奈氏、マーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘氏
 
・ トランプ氏がトヨタ攻撃、メキシコのリスク

--トランプ氏がツイッターでトヨタを批判してきました。

《BNPパリバ証券/中空麻奈氏》
トランプ氏が選ばれた後というのは、どちらかというとトランプ効果と言ってよいことばかり出てきたと思う。しかしトランプショックは確実にあると思っていて、その一つだと思っています。フォードやGMにもケチをつけていましたが、今度はトヨタにきたということで、どういうネガティブなことが出てくるのか少し見極めなければいけないと思います。
--メキシコ中銀がペソを買い支えしなければいけない状況といのは、一つの大きな出来事ですね。
 
 

・ イラク原油減産・今後の注意は

--イラクが減産開始を実行してきました。

《マーケットリスクアドバイザリー/新村直弘氏》
いいニュースと言っていいか分からないです。原料価格が上がるとそれだけ負担場増えますから。大幅に増産した後のピーク時でない時期での減産なので、やはりこれは順守するだろうなと思っていました。OPECが結束をとりもどしたことで、非常に重要なメッセージが出てきているニュースだったと思います。
 
 

・ 日刊モーサテジャーナル/メーシーズが人員削減・好条件そろっていたのに・・・

--メーシーズと言えば、小売りの代表格だったわけですけれども、厳しいんですね。

《BNPパリバ証券/中空麻奈氏》
「アメリカはこれから金利を上げていってもいい、景気が良くなっている代表の国ですが、それでも製造業を始めずっとリストラしているんです。そしてついに消費とかこういうことまで来たと考えると、かなり大きな構造転換が必要かなと思います。」
 
 
--新村さんは企業リスクの専門家ですが、どう見ますか。

《マーケットリスクアドバイザリー/新村直弘氏》
ネット専業のアマゾンがリアルに入ってきているということは、別に景気は悪くないのだろう。業態転換がメーシーズが遅れたということが大きいのかなと思います。
 
 



・ 今日の経済視点
 
《マーケットリスクアドバイザリー/新村直弘氏》 『長期金利』
ここ数年どうしても供給側ばかりフォーカスされているんですけど、結局、商品価格というのは需要が同感ですよね。アメリカでトランプ政権が誕生して、いろいろやっていますけれども、結局アメリカにとってはいいんですけど、世界経済にとっていいかどうか、怪しいわけですよ。メキシコやトヨタのように。そうすると長期金利が上昇して、新興国からどんどん資金が出ていくと、新興国の需要が減ってしまう。かつアメリカですら長期金利が上がって悪い金利上昇によって景気が悪くなるということもあり得るので、長期金利が緩やかな上昇にとどまるかどうか、というところが今年重要な商品市場を見るうえでの最大のポイントになると思う。
 


《BNPパリバ証券/中空麻奈氏》
2017年のクレジット視点
・ 『イベントに注目』
・ 『選別』
クレジットサイクルが歪んできているので、歪みの中で私たちは選別投資をしないといけないと思っている。モノを選んでおかないと、思わぬ変なものを持っていることもありえますので、投資には注意をしてほしい。何がポイント化というと、イベントが今年はいっぱいあります。選挙・政治などが割とスプレッドを動かす、ボラティリティを動かすことになりやすいので、イベントを注目していきましょう。
 
 
 
 

2017.1.5 Newsモーニングサテライト

2017年01月05日 14時14分02秒 | MS
■マーケット
 
NY株 揃って続伸

株価の上昇は続いているものの、大統領選後のスピード感が脳裏に焼き付いているせいか、物足りなさを感じるのも確かです。高く始まった株価も、経済指標も少なく材料が乏しい中、ダウは一時マイナスに転じました。ただ、好調な自動車販売や、原油価格上昇が株価の下支え。OPECメンバーのクェートが減産を順守する姿勢を明確にしたことが好感されました。市場が注目したFOMC議事要旨では、緩やかな利上げが適切と繰り返しつつも、財政拡大などの影響で、利上げペースが加速する可能性にも言及しました。では、NYの株価終値を確認しましょう。揃って続伸でした。ダウは60ドル高、1万9,942ドル。ナスダックは47ポイント上昇の5,477。S&P500が12ポイントプラスの2,270でした。
 
 

【NY証券取引所中継】メキシコ経済に暗雲
解説は米国みずほ証券の中川義裕氏
 
--株価はとりあえずしっかりしてますよね。

そうですね。12月の自動車販売が良好だったことや、午後に発表されたFOMC議事録の内容を受けて、主要株価指数は続伸で推移しています。
 
--トランプ次期政権の対メキシコ政策がマーケットをうごかしていますね。

はい、現実に自動車大手フォードがメキシコへの工場移転計画を撤回したことを受け、トランプ次期政権によるメキシコ経済への悪影響を巡る懸念から、対ドルでメキシコペソが下落しましたが、今日も下落し最安値を更新しています。
 
--これはもちろんアメリカ経済への影響もないわけではないですよね。

メキシコへの輸出に支えられているアメリカ企業があるのも事実です。米国商務省試算によりますと、2015年時点で、120万人弱がメキシコへの輸出品やサービスに携わる仕事についています。一方、メキシコ移民による祖国への送金額は約250億ドル(メキシコGDPの約2%)ですが、不法移民対策が打ち出された場合、送金が減少し、メキシコ国内の個人消費が減速することも考えられます。結果として米国の雇用減少につながる可能性もあります。
 
 
 
 
 
【NY証券取引所中継】米法人減税は金融機関に不利?
解説は米国みずほ証券の中川義裕氏
 
--年明け2日目も安心感がありましたね。

そうですね。12月の自動車販売の内容が良好だったことや、午後に発表されたFOMC議事録の内容を好感し、主要株価指数は続伸で取引を終えました。
 
--さて昨日もこのコーナーでトランプ減税への注意点をお伝えしたんですが、中川さんも気になっている点があるようですね。

はい、実は金融機関はやや特殊な事情を抱えており、減税が必ずしも恩恵になるというわけではなさそうです。シティグループやバンクオブアメリカなど一部の金融機関が抱えているル多額の繰延税金資産を抱えており、ここに影響を与えそうです。
 
--なるほど、それでまずこの繰延税金資産のおさらいをしたいんです。

はい、繰延税金資産とは、簡単に言うと、会計上と税務上の費用の差のことであって、「税金の前払い」と考えると分かりやすいです。ある期間の会計上の費用のうち、税務上の費用として認められず、次の期間に持ち越される部分にその時の税率をかけて計算します。
例えば、会計上の費用が100で、税務上では50の場合、その差50に税率をかけた分が繰延税金資産になります。
 
--それで具体的に金融機関への影響はどういうことですか。

金融機関では金融危機で多くの損失を出した結果、繰延税金資産が積み上がっていますが、減税が実施されれば、繰延税金資産が減ることになり、取り崩しを迫られます。これは会計上の費用となり、利益の押し下げ要因となります。シティグループの試算では税率が現行の35%から25%へ引き下げられれば、同社に60億ドルの追加費用が発生し利益を押し下げると述べています。減税で金融機関の利益が一時的に減少してしまうデメリットには注意が必要かもしれません。
 
 
 
 
 
【為替見通し】注目は「トランプ相場は1月も継続」
解説はソニーフィナンシャルホールディングスの尾河眞樹氏
 
--まずNY市場の動きはいかがだったでしょうか。
アジア時間に118円台を何度か試していたんですが、やはり上値が重いということで、117円台に若干弱含んでいるといった状況です。
 
--今日の予想レンジは、116.70~118.20円、注目ポイントは「トランプ相場は1月も継続」です。
ここのところ、1月に相場が荒れる傾向があったんですね。
 
--グラフはアメリカ株の過去3年の1月の動きですね。

そうですね。それで去年は中国株の急落がありましたし、2015年は原油価格の下落であったりとか、ギリシャ問題がフォーカスされました。2014年はアルゼンチンペソの急落がありました。ただこういう中で、今年は1月20日にトランプ大統領の就任式を控えていまして、このスピーチも既に報道されているところによりますと、テーマが「米国人よ大きな夢を見よ」とかなり前向きな内容、やはりアメリカの経済を強くして、アメリカを再び偉大な国にするといった内容になるでしょうから、しばらく楽観ムードが続きそうということで、しばらく楽観ムードが続きそうで、今年は1月のこういった波乱というのは当てはまらないのかなというふうに思いますね。
 
--ただもし1月に荒れるとしたら、リスク要因は何になりそうですか。

そういう意味では今週の金曜日発表されるアメリカの雇用統計に注目したいです。これまで11月以降に発表されているアメリカの経済指標というのは、比較的いいものが続いているんですけれども、足下の景気がいい中で、財政政策で景気を吹かすんだったら、インフレは加速するだろうという文脈でドル高という流れになっていたんですけれども、これが本当に足下の景気がいいのかどうか、雇用統計も今回は18万人増加ということで、11月と同様に比較的良い数字が見込まれているんですけれども、これが仮に悪かったりすると、ちょっと失望感ということで、一旦一時的ではありますけれども、ドル円の下落につながる可能性がありますので、注意が必要というふうに思います。
 
 
 
 

【日本株見通し】注目ポイントは「経済政策の不確実性」
解説は岡三アセットマネジメントの香川睦氏
 
--今日の予想レンジは、19500-19750円です。
今朝のアメリカ市場ではダウ平均が続伸し、ドル円も底堅く戻ってまいりました。東京市場も昨日の反発を引き継いで、総じて堅調に推移すると思われます。
 
--当面はこの上昇相場が続きそうですか。
はい、ご覧のグラフは米国の消費者信頼感指数と期待インフレ率の過去4年推移です。個人消費のマインドは約15年ぶりの水準に上昇しており、市場のインフレ期待もFRBが目標とする2%に迫っています。こうした中トランプ新大統領はインフレ刺激的な成長加速策を導入する見込みですので、債券から成長期待のある株式への資金シフトがしばらく続き、日本株に追い風となりそうです。
 
 
 
--注目ポイントは「経済政策の不確実性」です。
毎月公表される世界の経済政策不確実性指数に注目しています。これは主要国のGDPで加重平均された経済政策を巡る不透明感度合いを示す指数です。2015年のチャイナ危機、昨年の英EU離脱決定とアメリカの大統領選結果を受けまして、97年の統計開始以来最高水準まで上昇しました。大統領就任後のトランプ氏の発言や欧州主要国の選挙結果次第では、不確実性が再び高まり、リスク回避の円高株安につながる可能性もあります。今年の相場は上昇基調とみておりますけれども、政治リスクによる突風には注意が必要だと見ています。
 
 
 

 

■特集 2017年ドル円大胆予想

今年のドル円を大胆予想する。17年末のドル円は三菱東京UFJ銀行の内田稔氏は円安を試した後、緩やかに反転・円高、107円を予想。ソニーフィナンシャルホールディングスの尾河眞樹氏は変動が激しいが年末は120円と予想する。
 
《今年年末に向けての動き》
《三菱東京UFJ銀行/内田稔氏》
(フリップ1:内田氏年末予想)
《内田氏》 「3~4月ぐらいまではトランプ次期政権に対する期待感がまだ継続する可能性がありますので、場合によっては120円の大台を超えていく可能性を見ておく必要があると思います。ただ政策の全体が見えてくる中で、特に財政出動に関しては、いわゆる市場が期待している満額の回答にはおそらく届かないのではないかなとみておりますので、長期金利の上昇に歯止めがかかって、ドル高にちょっとブレーキがかかってくるという展開を予想しています。」
 
--ということは金利に注目しているんですね。
(フリップ2:前回利上げ時)
《内田氏》 「そうですね。いま足下では長期金利との相関性が非常に高くなっていますけれども、長期金利よりも年半ば以降はやはり金融政策を織り込んでいく2年債の利回りに注目が集まっていくと見ます。アメリカの2年国債の利回りと政策金利の関係性なんですけれども、利上げの初期段階はやはり利上げをさらに織り込んで2年債の倫割というのは政策金利よりもかなり高い水準で推移するんですが、徐々に利上げ打ち止めという見方が台頭してくると政策金利付近に収斂してくる。これが前回の利上げ局面でのFF金利と2年債利回りになります。」
 
--それを今回に当てはめて考えると、どうなるか。

(フリップ3:今回利上げ)
《内田氏》 「2017年はマーケットは少なくとも年2回の利上げはありそうだということではありますし、場合によっては3回の可能性も見ておく必要はあるんですけれども、やはりアメリカの景気拡大は夏場以降すでに9年目に入っていきますので、利上げが少しづつ重しとなって、徐々に2018年以降の利上げ見通しというものがちょっとしぼんでいってしまう可能性が高いという風に見ています。そうしますと2年債の利回りは今は上がっていくことが予想されているんですけれども、2018年の利上げがそんなにないという見方になってくると、(目先はちょっと上がる可能性はあるんですけれども、)実際には政策金利付近、今とそんなに変わらない水準で年末に着地する可能性が出てきて、金利上昇によるドル高という材料が出てこなくなってくるという展開を予想しています。17年の半ばぐらいから18年の頭にかけて収斂していく。」
 
--そのほかにも要因は考えられますか。

《内田氏》 「利上げペースの加速という話が昨日のFOMCの議事要旨に出ていたんですけれども、いまマーケットは2回ぐらいの利上げを織り込んでいるだけなので、これが仮に3回以上の利上げということになってきますと、不動産や株式といったいわゆるリスク資産がちょっと持ちこたえられなくなってくるかなとみています。そうしますとマーケットがやや不安定化してきますので、よりドル高というのはちょっと難しくなってくるというふうに考えています。」
 
--ということで年末に向けては・・・
「非常に難しいんですけど、年初よりはドル安円高、年末は107円とみている。」

《ソニーフィナンシャルホールディングス/尾河眞樹氏》

(フリップ4:尾河氏年末予想)
《尾河氏》 「年初から3月ぐらいにかけてトランプラリーが持続するという形で政策への期待というところです。123円からMAX125円辺りだと思うんですけれども、そこから今度は春から欧州の選挙が続きますので、そういったところでリスクオフという可能性もあって、一旦110円割れも一時的にはあるかなというところですね。ただ年末にかけてはまたトランプ氏の財政政策が秋口から出てきますので、その効果ということで、年末120円というところですね。かなりボラティリティの高い展開を予想しています。」
 
--ということは内田さんとの違いというのは、結局アメリカのそもそもの景気というものがあるわけですね。

(フリップ5:為替見通しに変化)
《尾河氏》 「私の場合はこれまで起こった変化というのを為替の予想に反映させている。今までは内田さんと同じように今年の後半ぐらいからアメリカがサイクル的に景気減速とみていたんですけれども、政策によってこれが後ろ倒しになるということです。そうなると金融政策面でも利上げペースも去年は1回だけでしたけれども、今年は2回ぐらいは利上げできるんじゃないかということ、それからアメリカの経常収支も15年ぐらいから赤字が拡大していて、足下ではちょっと回復してきてはいるんですけれども、この間のOPECの減産合意などもありまして、経常赤字が改善してくるようですと、これもドル高要因になってくると思います。」
 
--整理しますとお二人の見方というのは、アメリカの景気循環がもともとあって、それは今年の半ばぐらいには少し成長が鈍化するというふうに(内田さんは)見ていらっしゃるわけですね。
《内田氏》 「そうです。ちょっとピークが意識されるかなとみています。」
 
(フリップ6:米景気循環から見る景気は)
--アメリカというのは、戦後の景気拡大と景気後退を見ていきますと、グラフのブルーの部分が景気停滞期です。失業率が上がると景気が悪くなっていく。下がっていくと景気が拡大していく。今は失業率が下がっていくと同時に長い拡大期にあります。これが内田さんはちょっと低下が止まってくると・・・。尾河さんはトランプ氏によってこれが後ずれするとみているわけですね。ということで、トランプ氏の政策、内田さんに何か伺いたいことはありませんか。
 
《尾河氏》 「規模の大小はあっても、やはり減税や財政出動というのは、ムニューチンさんも仰っているように、何か出てくるとは思うんですけれども、それでも減速感というには何か他に要因があるんでしょうか。」
 
《内田氏》 「どうしても財政拡大に伴う金利上昇がいわゆる景気に対する逆風となるクラウディング効果を出してしまうとみておりまして、そういう意味では財政出動によるプラスよりも、若干のマイナスとあとは景気のサイクル的にピークに近づいてくるということでちょっと鈍るのではないかなと見ています。」
 
《尾河氏》 「そういう面もあるかもしれませんが、私がアメリカの利上げが3回も無いと思うのはそういう面もあって、ドル高が行き過ぎるとマイナスが出てくるという面はあるかもしれません。」
 
--先ほどの内田さんの話で2年債の利回りが収斂していくということに関しては、尾河さんはどう見ていますか。
 
《尾河氏》 「2年債利回りの動きというのは利上げのペースを織り込んでいきますので、やはり短いところの金利が上がってくると・・・、一方で日本の金利というのはイールドカーブコントロールでキープしているわけですから、日米金利差拡大という流れで行くとやはりドル円の上昇にはつながると思う。」
 
--内田さんはここまでの尾河さんの説目に関して何か思うところはありますか。
 
《内田氏》 「結局アメリカ経済をどう見るかで、いろんなものが変わってくると思いますので、やはり今は大統領就任までもありますし、就任して2月になると予算教書なども出てくるともいますから、3月ぐらいになるとだいたいいろんな情報が見えやすくなって、予想も立てやすくなってくると思うんですけれども、それまでは不確実性というのはまだまだ続きそうですね。」
 
--ということでほかの皆さんにも聞いています。モーサテサーベイで聞いた年末の為替予想です。
 
 
(フリップ:モーサテサーベイ)
予想中央値(118円台)
《三菱UFJ酒井氏(130円予想)》
「トランプ新政権がアメリカファーストを強力に推進、雇用・資本のアメリカ回帰が進むと見込まれる」
《大和証券木野内氏》
(100円か125円か)
「トランプ新政権がインフラ投資中心か保護主義中心か今は分からない」
 
--ドルに関して、尾河さん最後に・・・

(フリップ7:今年がドル高の最終局面)
《尾河氏》 「これはドルの長期のサイクルなんですけど、ドルの名目実効為替レートなんですが、7年下落して、2~3年で2番底を付けて5年上昇してまた7年下落して、というサイクルなんです。それで行くと今年は6年目に当たるということで、そろそろドル高の最終局面であることは確かなのかなと思う。だから今年~来年の前半ぐらいまではドル高が続くと思うんですけれども、18年後半ぐらいになってくると、ややドル安の方向に転じてくる可能性はあるかなと見ています。」
 
 
 
 
 
■日経朝特急
 
景気拡大期待、市場覆う
今年、最初の取り引きになったきのうの東京市場では、世界警戒拡大への期待から株式相場への資金流入が鮮明となった。日経平均は大発会としては4年ぶりに上昇し、昨年来高値を更新。またダウ平均も史上初の2万ドルが迫る。トランプ次期大統領の経済政策への期待に米中などの経済指標の改善が重なり、投資家が株など値動きの大きい資産に資金を投じるリスクオンの姿勢を強めている。
 
 
 
東京都・小池知事・多数派形成狙う
小池氏は、夏の東京都議会選挙で自身の政治塾などを母体に40人規模の候補の擁立を検討していることが分かった。都議会選で最大会派の自民党に代わる多数派を形成して、主導権を握ろうというのが小池氏の胸算用で、新党を立ち上げるとの観測もある。首都・東京の政治構図が激変すれば、中央政界にも影響を与えそうだ。
 
 

ビットコインが最高値
ビットコインが4日夜、13万3000円を超え、これまで最高だった2013年12月時点の価格を上回った。中国・人民元の下落が進む中、人民元売りビットコイン買いの動きが加速していることが背景にあるとみられる。
 
--為替の専門家としては、ビットコインはどういう位置づけなんですか。
 
《三菱東京UFJ銀行/内田稔氏》
「今はまだ中央銀行がない通貨ということで、市場規模も非常に小さいですけれど、ただやはりリスク回避の受け皿としての機能は今後増していくと思われますから、市場規模はどんどん拡大していくと考えられます。」
 
--来年は非常に注目されているといわれていますね。
 
「そうですね。特に今言われているように中国からの資本流出先ということで注目されていますけれども、中国の場合は年間の両替が5万ドルに制限されているんですが、年初になるとそこがリセットされますので、しばらくは取引が若干停滞するかもしれませんが、年末にかけては拡大していくと考えられます。」
 
 
 
 
 
■日刊モーサテジャーナル
 
フォードも工場移転を中止・業界に波及なるか?
自動車大手・フォードが、メキシコへの工場移転を撤回したことを受けて、ウォールストリートジャーナルは、米国からの雇用流出を食い止めるには、トランプ次期大統領今後、業界全体の流れを作らなければならないとの見方を掲載している。記事は、トランプ氏が先月、空調大手のメキシコへの工場移転を阻止したことを引き合いに出して、今回のフォードの件も「あくまで個別企業の問題にとどまっている」と解説している。一方、ニューヨークタイムズは、トランプ氏が通商代表部の代表にライトハイザー氏を指名したこと受け、これでホワイトハウスの国家通商会議トップ、商務長官と3人そろって保護主義的で、トランプ氏の貿易政策の全貌が見えてきたと分析。そこで気になるのが、NAFTA・北米自由貿易協定の行方だが、記事によると、実は労働組合の支援を受ける民主党議員が支持に回る可能性もあり、再交渉の機運が高まっているという。
 
 

米国・企業利益増・株価にさらなる勢い(ウォールストリートジャーナル)
去年10月から12月の決算が木曜日から始まるが、企業の増益が見込めることから益々株の投資家は強気になるだろうと伝えている。S&P500企業の利益は去年10月から12月期は1年前より3.2%増加し、今年の1月から3月期以降はさらに伸びると予想されている。この背景にあるのはやはりトランプ氏が掲げる減税や財政出動、規制緩和といったビジネスフレンドリーな政策。実際の効果は年後半まで判明しないが、企業利益の増加は基本的には株価上昇につながるという投資家の声を伝えている。一方、記事は、ドル高が多国籍企業に与える悪影響や、株価が歴史的に割高感を懸念材料にあげている。
 
 

世界最大の家電市・今年の傾向は?(ワシントンポスト)
明日から世界最大の家電見本市CESがラスベガスで開幕するが、今年の傾向について分析している。注目は「スマートベッド」、「感情のホンダ」、「観察力のある靴」だと報じている。「スマートベッド」はスマホと繋ぎベッドの硬さなど自分の居心地のいいポジションを一晩中キープ。また「感情のホンダ」はAIを使ったコンセプトカーのことで、運転手の感情を理解し、自らも感情的になる感情エンジンを搭載している。記事は、こうした商品が示す今回のCESの特徴はスマートフォンのようなモノではなく、既にあるモノを駆使した新しい体験とみている。
明日はそのCESの模様を現場から生中継で伝える。
 
--家電見本市も随分内容が変わってきたという感じがします。
 
《三菱東京UFJ銀行/内田稔氏》
「アメリカも91年から2001年が過去最高の10年間の景気拡大で、その時終盤戦をけん引したのがIT革命だったんですよね。ですからこういった技術革新のようなものが出てくると、8年目に入ったアメリカの景気もまだ明るく見ていいのではないかともいます。」

--技術革新を後押しするかどうかという意味では、トランプ氏の政策が非常に重要に絡んでくると思うんですが、陣容も随分見えてきましたね。
 
《ソニーフィナンシャルホールディングス/尾河眞樹氏》
「次期米国の証券取引委員会の委員長にジェイクレイトン氏という弁護士で、この方はゴールドマンサックスなどウォールストリートのそうそうたる企業が顧客で、かなりウォールストリート寄り。先ほどトランプ氏の政策がビジネスフレンドリーという話がありまたけれども、そちらのほうにかなり寄ってきているかなという感じはしますね。」
 
 
 
 
 

■今日の予定
 
16年新車販売台数
中国12月非製造業PMI(財新)
米12月ADP前米雇用報告
米12月ISM非製造業景気指数
米12月サービス業PMI
 
 
 
 
 
■ニュース
 
米2016年新車販売 過去最高を更新
アメリカの2016年の新車販売台数は累計1,750万台を上回り1年前の販売記録を更新し過去最高となりました。12月単月でみるとGM=ゼネラルモーターズは、1年前に比べ10%の増加と市場予想を大幅に上回りました。フォードは1年前と変わらずでした。また、FCAUSは、セダンとミニバンの不振が続くクライスラーブランドが足を引っ張り、10%のマイナスでした。販売競争の激化でアメリカメーカーはいずれもインセンティブと呼ばれる販売奨励金を、一台当たり4,000ドル、およそ47万円に増やしています。一方、日本メーカーはトヨタが人気のSUVやピックアップトラックの供給が改善したこともあり、マイナスの市場予想に反し2%のプラスとなりました。日産とホンダ・スバルは12月単月と年間販売の過去最高記録を更新しました。スバルは8年連続での記録更新です。
 
 
 
FOMC議事要旨「トランプ政策に景気上振れリスク」
去年12月のFOMC=連邦公開市場委員会の議事要旨が公表され、メンバーのほぼ全員が、トランプ次期政権に景気の上振れリスクがあると見ていることがわかりました。1年ぶりの利上げに踏み切った理由としては、「雇用と物価の目標に向けて前進を続けているという点で一致した」としています。一方、トランプ次期政権の財政政策などについて、「時期や規模、内容やその影響について、大きな不確実性がある」と指摘し、ほぼ全員が「景気の上振れリスクが高まった」として利上げペースの加速を示唆しました。
 
 
 
米次期駐日大使に“知日派”幹部
トランプ次期米大統領は、ケネディ駐日大使の後任として、トランプ氏の政権移行チームの幹部で知日派とされる、ウィリアム・ハガーティー氏を指名するもようです。複数の関係筋が明らかにしたもので、ハガーティー氏はボストン・コンサルティング・グループなどを経て投資会社を設立した人物で、ボストン・コンサルティング時代には、日本に3年間勤務した経験があります。
 
 
 
安倍総理「経済最優先」
安倍総理大臣はきのう三重県伊勢市を訪れ、5年連続となる伊勢神宮参拝の後、年頭の記者会見を行いました。会見では、デフレ脱却に向けて「経済最優先」の路線を続ける姿勢を強調しました。(安倍総理)「本年も経済最優先、鳥が大空をかけるように、颯爽とデフレ脱却に向けて金融政策、財政政策、そして成長戦略の3本の矢をうち続けてまいります。」さらに、安倍総理は今月20日に通常国会を召集することを明らかにした上でこの国会を「未来を切り開く国会」と位置づけ、来年度予算の早期成立を目指すと、決意を語りました。また、衆議院の解散については、「全く考えていない」と否定しました。一方、安倍総理に先立ち、民進党の蓮舫代表も伊勢神宮を参拝しました。(民進党・蓮舫代表)「解散権は総理が持っている。いつどういう形で解散が行われても良いように準備は最大限整える。」蓮舫代表はこのように述べ、共産党などと進める野党共闘を含め、解散総選挙への準備を急ぐ考えを示しました。
 
 
 
小池知事「実行力が問われている」
東京都の小池知事はきのう職員700人を前に新年の訓示を行い「新年を迎え、実行力が問われている」と呼びかけました。(小池知事)「酉年の幕開けでもありますので、一人一人が鳥の目をもって、全体を俯瞰しながら、行政の力、民間の力、都民の力をいかに引き出し、よりよい東京を作り上げていくのかを考え抜いていただきたい。発想豊かに一緒に明るい未来づくりのムーブメントを起こしていこうではないか。」訓示の中で小池知事は五輪施設の見直しについて「重要な過程だった」と去年を振り返り、今後は国や組織委員会と綿密に連携をして大会準備を加速させていく決意を新たにしました。その後都議会各会派の控室を訪れ、今後の都政運営での協力を呼びかけました。また自民党との連立解消を発表し、小池知事との協力に前向きな公明党に対しては「今年は戦いの年」と述べ、一人一人握手を交わしていました。
 
 
 
百貨店3社減収
大手百貨店4社が発表した去年12月の売上高は高島屋を除く3社が1年前に比べ減収でした。三越伊勢丹ホールディングスが1.8%の減少、そごう・西武やJ・フロントリテイリングは2.3%の減少でした。コートやニットなど冬物衣料が売れず、年末商戦が振るいませんでした。一方、高島屋は化粧品や高級ブランド品などが好調で0.5%の増加でした。1月の初売りは三越伊勢丹が「前年並み」とした以外は各社ともおおむね好調に推移している模様です。
 
《去年12月の売上高》
三越伊勢丹ホールディングス ↓1.8%
そごう西武 ↓2.3%
Jフロントリテイリング ↓2.3%。
高島屋 0.5%増
《1月の初売り》

三越伊勢丹 ↓1.8%
そごう西武 ↓2.3%
Jフロントリテイリング ↓2.3%
 
 
 
 
 
京都・伏見稲荷でさい銭開き
商売繁盛の神様として知られる京都の伏見稲荷大社で、正月三が日に集まったさい銭を数える「さい銭開き」が始まりました。さい銭の中には、語呂合わせで「11,104(いい年)」や「2,951(福来い)」など縁起を担いだ額が記入された小切手もありました。伏見稲荷大社によりますと、さい銭箱は境内におよそ50か所あり、集計は、白衣を着た銀行員によって行われ、数日かかるということです。
 
 
 
 
 
携帯3社 10月から「020」番号
NTTドコモとKDDI、ソフトバンクの携帯電話3社は「020」で始まる家電などの電子機器専用の電話番号を10月から順次提供すると発表しました。あらゆる機器がネットワークでつながる「IoT=モノのインターネット」に対応したものです。現在の「090」や「080」、「070」で始まる番号は来年にも枯渇する見通しでした。
 
 
 
 
 
トヨタ 人工知能搭載車を発表
トヨタはつい先ほどラスベガスで人工知能で運転を支援する未来のクルマをお披露目しました。コンセプト・アイと呼ばれるこの車は運転する人の表情や動作などのデータを蓄積し感情や健康状態に合わせて車の判断で必要に応じて自動運転に切り替え安全な運転に誘導します。また運転する人の好みに合わせ、車と会話も出来るということです。トヨタは数年以内に日本での公道実証実験を開始する予定です。
 
 
 
 
 

■【コメンテーター】三菱東京UFJ銀行/内田稔氏、ソニーフィナンシャルホールディングス/尾河眞樹氏
 
・米新車販売・議事要旨の注目点は
 
--アメリカは新車販売、過去最高と、これは本当に強いですね。
 
《内田氏》
「そうですね。今回のアメリカの景気回復の1つの象徴が、ものすごく自動車が売れていたことですけれども、それを支えていたのが金融緩和とガソリン代の値下がりだったんですね。ただ緩やかながらも今から正常化に入っていきますし、原油価格もちょっと持ち直してきていますので、2017年はちょっと2016年より若干下押し圧力を受け始めると予想しています。」
 
--議事要旨で景気上振れリスクとの言葉が出てきましたね。
 
《尾河氏》
「財政政策のインパクトでインフラが加速することを示唆していたということです。こういうところが去年のFMOCで利上げ予想に反映されていたのかなと思いますけれど、相当程度こういうことは去年のトランプラリーでおり込んでしまっていると思いますので、昨日は相場へのインパクトは少なかったと思いますね。」
 
--強いドルがインフレを抑制する声もあったとみたいですね。
 
 
 
 
 
・きょうの経済視点
 
ソニーフィナンシャルホールディングス/尾河眞樹 「米国経済指標」
「今日、内田さんと為替の話をさせていただいて、結局、大事なところってアメリカの経済がどうなのかというところだと思うんですよ。私の場合は足下の景気がそんなに悪くないと思っていて、そこでさらに財政政策でアクセルを踏むんだったら、ある程度景気はさらに良くなるということで、景気減速が後ずれするということだったんですけれども、それにつけても足元の景気が本当はどうなのかというのが重要で、今こそアメリカの経済指標を、この間もISMとか比較的良かったですけれども、今週の雇用統計もしかりですが、見ていく必要があるのかなと思っています。」
 
 
 
 
三菱東京UFJ銀行/内田稔 「規制緩和と保護主義」
「トランプ新政権は財政出動が期待されているんですけれども、今アメリカで一番株が上がっているのって金融セクターで、規制緩和が期待されている。だから規制緩和という景気へのプラスと、保護主義というマイナスが、どのぐらいになるか、これはもう年末までわからないかなと思う。そういう不確実性はずっと残ると思います。」