81歳の母は、耳が遠い。
だいぶ前から、
(1)実家のTVのボリュームがとてつもなく大きい
(2)母の話し声が大きくて、平日に母が話し始めるとリモート会議の声が聞き取れない。
(3)後ろから話かけると気づかないことが多い
ということがあり、聴力が衰えているんだろうな・・・と、思っておりました。
(父は、他人に興味が薄く、反応は薄いですが、音は良く聞こえているようです。)
本人には、耳鼻科で診てもらったほうが良いよ・・・くらいのことしか言っていませんでした。自治体から無料の健康診断のお知らせが毎年来ているのに、無視を続けているような人なので、耳鼻科に行くこともなく、聴力検査を受けないまま、数年経ってしまいました。
そのうち、暇を作って大型量販店の補聴器相談コーナーでも連れて行ってみようかな・・・と、考えていました。
最近、電話を何回鳴らしても出なかったり、宅配便のインターフォンに気づかなかったりが続いて、生活していく上で害が出てきたため、本人も「聞こえていない」という自覚が出てきたので、連れて行くなら今かな・・・
で、「あれ?補聴器って医療費控除対象?」と、WEB検索したら、自治体でも補助金を出していました。
補助金申請の条件には、医師の「指示書」が必要で、近所の耳鼻科を調べて、母に診察を受けるように話しました。
耳鼻科では、聴力検査を行って、自治体に提出する「指示書」(補聴器を使うように指示する書類)を書いてくれた上に、銀座にある補聴器専門店への紹介状まで持たせてくれました。
補聴器は購入前に2週間の試用が可能です。お店の相談員さんは、大きな声でゆっくりと母に説明してくれて、母の聴こえ方に合わせて、パソコンソフトで、補聴器の聴こえ方を調整してくれました。
相談員さんのお話では、音が聞こえにくくなることによって、音を聞き分ける機会が減るため、聞き分ける能力も衰えてしまうんだそうです。
補聴器では聞こえる音のボリュームが調整されて、今まで聞こえなかった音が聞こえるようになるけれど、聞き分ける能力は衰えてしまっているので、耳が悪くなる前の聴力にすぐに戻せるわけではないそうです。
ボリュームを補ってあげることによって、音を聞き分ける機会が増えて、徐々に聞き分けの訓練ができるそうです。
機器にはグレードがあり、最も安価なもので35万円弱。最も高価なものは100万円超。
※ちなみに、自治体の補助金は最大3万5千円です。
価格の違いは、機能と、音質のグレードの違いです。
最も安価なものは、6チャンネルですが、次のグレードのものは、10チャンネルのため、音の角が取れてマイルドになるんだとか。
前後左右から聞こえる音のボリュームを調整することで、観劇に適したモードに切り替えたり、人混みの中で、目の前の人の声だけを聞こえやすくしたり、逆に、背後からの声が良く聞こえるようにしたり(車いすを押してもらう時などに使う)など、調整が、スマホアプリで簡単にできるんだそうです。
補聴器の本体は、耳掛け式のマイクと耳穴の中にいれるスピーカーです。
とても小さくて、耳に入れた状態で、ほぼ見えません。
試用を始めて、すぐに母の話し声が小さくなりました。
自分の大声がうるさくなったのでしょう。
TVのボリュームは、45から27に下がり、これまで静かだった世の中は、少し騒がしくなったようですが、電話でおしゃべりしたりが快適にできるようです。
1週間後に、再度、お店に行き、1つ上のグレードにしてもらいました。
試供用のハードは、最高級品のハードと同じもので、中のソフトウェアを入れ替えることで、グレードを変更できるんだそうです。
その際に、聴こえ方の調整もそのままコピーできるんだとか。
前回の最も安価なグレードと同じ調整値で、下から2番目のグレードを試して、聴こえ方の違いを体験できます。
下から2番目のグレードは45万円強。
補聴器は毎日使うもので、5年以上は使えるそうなので、10万円の価格差は、1日あたりにすると、55円の差です。本人が聞こえ方に差を感じるんであれば、良いグレードの機器を購入しても良いのではないかと思います。
残念なのは、もっと早くに連れて行かなかったことです。
機器の操作に慣れるにも1日でも若く始めたほうが良いし、すぐに矯正すれば、聞き分けの能力も衰えなかったと思うのです。
「今日が一番若い日です」って、ことで、これからは、新しいことにチャレンジしてもらうのは、少しでも早く始めてもらおうと思いました。