共産党一党独裁体制や一応民主主義であれ小儒教主義に犯され頑なな思考しか出来ない国々はさて置き、歴史教科書をめぐっては国内に様々な意見があり、調整に難航するのはどの国も変わりない。この点でインドも歴史教科書問題はかなりホットな議論が尽きない。
「近代インドの歴史-ビパン・チャンドラ著」(山 川出版社)も上級高校生向きに書かれた教科書の一つだが、インドに関心がない人でも実に読ませる内容だろう。高校生向きという背景もあるが、簡素で読みや すい文体のうえ、バランスの取れた史観に基づいた書き方をしている。イギリスに対する恨みを植え付けるのではなく、宗主国の行った歴史的事実を書き記し、 イギリス側からの史料文献も多数羅列しているのだ。もちろんインドの汚点も隠すことなく列記しているのは、歴史に対する真摯さを感じさせられた。
ヒンドゥーとムスリム(イスラム教徒)の対立より共存の歴史に焦点を当てられていたのが面白い。セポイの反乱で“インドのジャンヌ・ダルク”として有名な若きラーニー(女王)ラクシュミー・バーイーと死を共にした腰元の少女がムスリマ(イスラム女性)だったのを、この本ではじめて知った。
インドでもヒンドゥー至上主義の台頭が目立ち、著者のビパン・チャンドラ教授は左寄り過ぎとの批判があるらしい。ヒンドゥー至上主義という 名の極右集団は、もっと中世インドに侵攻した諸イスラム王朝やイギリスの残虐行為を書け、ヒンドゥーの聖典を教科書に記載せよ、と要求しており、インド人 民党(BJP)出身のバジパイ前首相の時はその要求は結構受け入れられたのだ。現代は会議派が政権を奪還したので教科書は書き換えが行われているそうだ が、火種は常にあるのだ。
しかし、ガチガチのヒンドゥー至上主義者さえも、歴史を外交の具とすることはしていない。インド人はイギリスを内心許しても忘れてもいないが、子供に憎 悪を煽る教育はしていないし、パキスタンに対してもその姿勢は守られている。宗教対立を煽っているのはむしろ低俗なマスコミなのだ。
「近代インドの歴史-ビパン・チャンドラ著」(山 川出版社)も上級高校生向きに書かれた教科書の一つだが、インドに関心がない人でも実に読ませる内容だろう。高校生向きという背景もあるが、簡素で読みや すい文体のうえ、バランスの取れた史観に基づいた書き方をしている。イギリスに対する恨みを植え付けるのではなく、宗主国の行った歴史的事実を書き記し、 イギリス側からの史料文献も多数羅列しているのだ。もちろんインドの汚点も隠すことなく列記しているのは、歴史に対する真摯さを感じさせられた。
ヒンドゥーとムスリム(イスラム教徒)の対立より共存の歴史に焦点を当てられていたのが面白い。セポイの反乱で“インドのジャンヌ・ダルク”として有名な若きラーニー(女王)ラクシュミー・バーイーと死を共にした腰元の少女がムスリマ(イスラム女性)だったのを、この本ではじめて知った。
インドでもヒンドゥー至上主義の台頭が目立ち、著者のビパン・チャンドラ教授は左寄り過ぎとの批判があるらしい。ヒンドゥー至上主義という 名の極右集団は、もっと中世インドに侵攻した諸イスラム王朝やイギリスの残虐行為を書け、ヒンドゥーの聖典を教科書に記載せよ、と要求しており、インド人 民党(BJP)出身のバジパイ前首相の時はその要求は結構受け入れられたのだ。現代は会議派が政権を奪還したので教科書は書き換えが行われているそうだ が、火種は常にあるのだ。
しかし、ガチガチのヒンドゥー至上主義者さえも、歴史を外交の具とすることはしていない。インド人はイギリスを内心許しても忘れてもいないが、子供に憎 悪を煽る教育はしていないし、パキスタンに対してもその姿勢は守られている。宗教対立を煽っているのはむしろ低俗なマスコミなのだ。
非常に興味深い内容のブログ、TBいただき大変うれしいです。
知りたいけれどなかなか手が伸びなかった分野の話だったので興味深く読みました。
これから読みに度々参りますので、今後ともよろしくお願いします。
硬い内容ですが、読んで下さってありがとうございました。
こちらこそ、よろしくお願いします。