私を穢れたと言い切った人は、その刹那、泣き出しそうな顔をした。
きっと自分が何を言ってしまったのか、分からなかったんだろうと思う。
私は、自らの身を襲った不幸よりも、彼にそんな顔をさせてしまったことが辛いと思ってしまった。
そして、それは二度と消えない傷になるのだと知った。
もう取り戻せない、以前のような優しい時間。真実を告げることで私は隠すという苦痛ではなく、委ねる解放を望んだ。
そして彼は、別れるという選択をした。
悲しくなかった、と言えば嘘になる。
でも隠し事という後ろめたさを抱いたままでいるよりも、きっと互いのためには、この方がいい。
結婚は、簡単ではない。夢のようなままごとでもない。いつか、きっと前向きになれる時がくると信じて、私は彼の手を離した。呆気ないほど、簡単に…。
あれから数年。私は、私の全てを知っている人とこれからの人生を歩いてゆく――
【終わり】
著作:紫草
きっと自分が何を言ってしまったのか、分からなかったんだろうと思う。
私は、自らの身を襲った不幸よりも、彼にそんな顔をさせてしまったことが辛いと思ってしまった。
そして、それは二度と消えない傷になるのだと知った。
もう取り戻せない、以前のような優しい時間。真実を告げることで私は隠すという苦痛ではなく、委ねる解放を望んだ。
そして彼は、別れるという選択をした。
悲しくなかった、と言えば嘘になる。
でも隠し事という後ろめたさを抱いたままでいるよりも、きっと互いのためには、この方がいい。
結婚は、簡単ではない。夢のようなままごとでもない。いつか、きっと前向きになれる時がくると信じて、私は彼の手を離した。呆気ないほど、簡単に…。
あれから数年。私は、私の全てを知っている人とこれからの人生を歩いてゆく――
【終わり】
著作:紫草