『君戀しやと、呟けど。。。』

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『穢れ』その後

2009-10-25 23:38:26 | 作品b 【掌編】
 私を穢れたと言い切った人は、その刹那、泣き出しそうな顔をした。
 きっと自分が何を言ってしまったのか、分からなかったんだろうと思う。
 私は、自らの身を襲った不幸よりも、彼にそんな顔をさせてしまったことが辛いと思ってしまった。
 そして、それは二度と消えない傷になるのだと知った。

 もう取り戻せない、以前のような優しい時間。真実を告げることで私は隠すという苦痛ではなく、委ねる解放を望んだ。
 そして彼は、別れるという選択をした。

 悲しくなかった、と言えば嘘になる。
 でも隠し事という後ろめたさを抱いたままでいるよりも、きっと互いのためには、この方がいい。
 結婚は、簡単ではない。夢のようなままごとでもない。いつか、きっと前向きになれる時がくると信じて、私は彼の手を離した。呆気ないほど、簡単に…。

 あれから数年。私は、私の全てを知っている人とこれからの人生を歩いてゆく――
                       【終わり】

                             著作:紫草
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