『君戀しやと、呟けど。。。』

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『嫉妬』

2008-05-27 12:09:17 | 作品b 【掌編】

「どうして借りようと思ったんですか?」
 お巡りさんが優しく聞いてくれた。
 始まりは… そう、あの日。偶然見かけた、夫の姿…

 彼との生活は嫌ではなかった。若い女の肩を抱き、夫が夜のホテル街へと消えるまでは…

「何もかも嫌になって、いっぱい買い物して全部見なかったことにしようと思って…」
 でも、お金が続くわけがない。カードの支払いに困って借金。返済額は瞬く間に膨れ上がった。
「それで旦那さんに知られて喧嘩になって、刺しちゃったの?」
「そう、刺したの。あの女に渡したくなくて」
 だから死んでくれたらいい。
 そうすれば夫の子を孕む、あの女の処へなんか行けないから――。
         【終わり】

               著作:紫草 
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