『君戀しやと、呟けど。。。』

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『未練』2

2009-07-02 11:19:36 | 作品b 【掌編】
 何故、信じない。お前の他には、もう誰も要らない。
 だから、みんな切ったのに。なのに、どうしてお前は信じない。
「嘘つき」
 という言葉がきつかった。自業自得と言われてしまえば、それまでだ。
 でも、本当に嘘じゃない。何があっても、手離したくないと思った女は初めてだった。
 母親のだらしなさを骨身に沁みている俺には、女なんて適当に遊んで切り捨てるだけの玩具と同じだった。
 でも、お前は違う。

 俺の為に泣く女はいても、叱りつけた女は初めてだったんだ。
「俺を独りにするな」
 お前の指が頬に伸びて、初めて泣いていることに気付いた――。

                      【終わり】
                            著作:紫草
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