むらさめ

ゆっくり行こう

今日から仕事、憂鬱です

2021-05-06 00:00:00 | 日記

GW明け、今日から仕事、憂鬱です。

仕事中にブチ切れてしまわないか憂鬱です。

ブチ切れても、もう好きな仕事は、60%の業務量に減らされてしまったのでどうでもイイような感じがします。

その60%の中に自分しか出来ないものもあるのですが、自分一人が居なくなってもなんとかなるでしょう。

出来るなら、今居る組織に、大きなダメージを与えて去りたいものです。


鉄鋼材料の溶接の一般論として

2021-05-01 00:00:00 | 日記

鉄鋼材料を溶接して用いることは色々なところで行われ用いられており、構造物の組み立て方法としては現在では一般的なものです。

鉄鋼材料には色々な分類の仕方があって、製造工程の熱処理だけで見ると、調質鋼(熱処理で強度を調整する鋼) と 非調質鋼(熱処理しないで用いる鋼) の2種があります。

 

調質鋼には、高張力鋼(40kgf/mm^2以上の引っ張り強度が高張力鋼と呼ばれる)の物が含まれ、今回の潜水艦にはおそらく80~100kgf/mm^2クラスかな? が使われています。

その主要な調質の工程は、焼入れと焼戻しの工程がセットで鋼材の製造時に絶対的に組み込まれています。

そして更に、鋼材の製造時の調質工程 プラス 溶接時に鋼材に加えられるの熱 によって材料特性がどう変化するかを見込んで、潜水艦の完成時に最適な材料特性を発揮するように製造します。

この時に、へんな析出物(破壊現象の起点となる)が鋼材内の結晶組織に出来たりしないように、焼戻し温度や予想される溶接時の熱履歴を上手く調整したりします。

 

また、高張力鋼の溶接なら、水素が非常に鋼材に悪影響(水素脆性や水素脆化と呼ぶ)を及ぼすので、鋼材を予め余熱して溶接したり溶接場所の湿度管理をしたりと面倒なノウハウがあります。

以前、私が勤めていた工場では雨の日に鋳込んだインゴットは水素含有量が高く、真空鋳込みをしたかったけど、コストがかかる等、上下の工程間で論争になって決着しなかった事がありました。

ここらは、技術論文では一応ボヤけて出ているものの、実際にどのような温度や製造の履歴管理・設備を使っているのかになり、論文では表に出ない製造技術・ノウハウになります。

実際に、私が冶金の研究員として働いていた頃、研究者と現場の作業者でコミュニケーションが取れないと、現場の作業者・技術者が何を管理しているのか研究者が知らない事もありました。

現場と研究部門の両方に在籍していた私は、熱処理工程に関しては何を管理しているのか両方の立場で理解していた積もりでした。

が、上下の他の工程には関わる事が無かったので、インゴットの鋳込みや鍛錬工程、機械加工工程でどのような製造技術のノウハウがあってどんな管理をしていたのか把握しきれませんでしたね。

 

以上のことは、ちょっと判り難い例ですし、私も説明するには文章力が足りないと思います。

が、ドイツで製造した潜水艦を、よその国の違う会社に改造を依頼するなど、依頼する側(インドネシア)も受注する側(勧告)も”狂気の沙汰”のような気がします。

インドネシアや韓国は、物造りが解っていないです。

自前でコピー品の潜水艦が、オリジナルのドイツ製と同じ性能が出ないと騒いでいる韓国は、今回の事故のことを考えると何か納得できるように思えてきます。


鉄鋼材料の溶接の一般論として

2021-05-01 00:00:00 | 日記

鉄鋼材料を溶接して用いることは色々なところで行われ用いられており、構造物の組み立て方法としては現在では一般的なものです。

鉄鋼材料には色々な分類の仕方があって、製造工程の熱処理だけで見ると、調質鋼(熱処理で強度を調整する鋼) と 非調質鋼(熱処理しないで用いる鋼) の2種があります。

 

調質鋼には、高張力鋼(40kgf/mm^2以上の引っ張り強度が高張力鋼と呼ばれる)の物が含まれ、今回の潜水艦にはおそらく80~100kgf/mm^2クラスかな? が使われています。

その主要な調質の工程は、焼入れと焼戻しの工程がセットで鋼材の製造時に絶対的に組み込まれています。

そして更に、鋼材の製造時の調質工程 プラス 溶接時に鋼材に加えられるの熱 によって材料特性がどう変化するかを見込んで、潜水艦の完成時に最適な材料特性を発揮するように製造します。

この時に、へんな析出物(破壊現象の起点となる)が鋼材内の結晶組織に出来たりしないように、焼戻し温度や予想される溶接時の熱履歴を上手く調整したりします。

 

また、高張力鋼の溶接なら、水素が非常に鋼材に悪影響(水素脆性や水素脆化と呼ぶ)を及ぼすので、鋼材を予め余熱して溶接したり溶接場所の湿度管理をしたりと面倒なノウハウがあります。

以前、私が勤めていた工場では雨の日に鋳込んだインゴットは水素含有量が高く、真空鋳込みをしたかったけど、コストがかかる等、上下の工程間で論争になって決着しなかった事がありました。

ここらは、技術論文では一応ボヤけて出ているものの、実際にどのような温度や製造の履歴管理・設備を使っているのかになり、論文では表に出ない製造技術・ノウハウになります。

実際に、私が冶金の研究員として働いていた頃、研究者と現場の作業者でコミュニケーションが取れないと、現場の作業者・技術者が何を管理しているのか研究者が知らない事もありました。

現場と研究部門の両方に在籍していた私は、熱処理工程に関しては何を管理しているのか両方の立場で理解していた積もりでした。

が、上下の他の工程には関わる事が無かったので、インゴットの鋳込みや鍛錬工程、機械加工工程でどのような製造技術のノウハウがあってどんな管理をしていたのか把握しきれませんでしたね。

 

以上のことは、ちょっと判り難い例ですし、私も説明するには文章力が足りないと思います。

が、ドイツで製造した潜水艦を、よその国の違う会社に改造を依頼するなど、依頼する側(インドネシア)も受注する側(勧告)も”狂気の沙汰”のような気がします。

インドネシアや韓国は、物造りが解っていないです。

自前でコピー品の潜水艦が、オリジナルのドイツ製と同じ性能が出ないと騒いでいる韓国は、今回の事故のことを考えると何か納得できるように思えてきます。


高張力鋼部材

2021-04-30 00:00:00 | 日記

昨日の続きです。

 

高張力鋼(特機や民生品に限らず)はインゴットにした後、鍛造や熱処理によって目的の材料強度に調整してから機械加工を経て製造物の部品となります。

鍛造や熱処理は、物の大きさ(厚さと言っても良い)が重要な要素となります。

『焼きを入れる』という言葉がありますが、普段は、他の人に対して怒る雷を落とす、より悪い意味ではリンチにするように使われています。

鉄鋼材料で古来ある言葉で、赤く焼けた鉄鋼部材を、水や油等に浸けて急激に冷却する工程を『焼き入れ』と言い、本来はそこから来ています。

この焼き入れを施すことにより鉄鋼材料は強度が増加するのですが、焼き入れたままでは脆く、それを『焼き戻し』という工程により、適切な強度と靭性に調整します。

 

このインゴットから鍛錬-熱処理-という一連の製造工程を経て、製品の部材となった時に適切な材料特性(強度や靭性等々)にするように製造されています。

私が論文のテーマにしていた海洋構造物は、物の大きさ(厚さ)が大きいので 焼き入れ時の冷却 や 焼き戻し時の加熱 がし難くいです。

しかし、潜水艦の外壁なら、比較的に薄いので、ある程度冷却-加熱速度を早くすることが出来ます。

溶接というのは溶かす事で部材をくっ付ける工程ですから、『焼き戻し』の後に更に熱を加えて『焼き戻し』のような事をすることになります。

この更に溶接工程は部材の熱履歴の不均一化や不明瞭化を招く工程でもあり、鋼材中に水素の侵入や余計な析出物にも繋がるになるので、非常に高い技術やノウハウが必要になります。

日本の新造潜水艦ならば、建造完成後に最適な材料特性を発揮するように鋼材を作る時点から熱や歪を管理して製造しています。

 

それに対して、インドネシアの沈没した潜水艦は、製造はドイツで、韓国で近代化の改装工事を受けたとのことです。

改装時の切断や再溶接の時に、船体鋼材(高張力鋼)の熱管理や材料特性の変化をどのくらい考えていたり把握出来ていたのか判らないです。

よく、こんなリスクの高い改装工事を、韓国の造船会社がこういう改装工事を受けたことは、鉄鋼材料を少しでもかじった者としては驚愕してしまいます。

訳のわからない材料を、テキトーに切って張ってくっ付けたようなものです。

 

海自の『あさしお』は三重神戸で竣工後、AIP推進の実験艦とするため、同じ三重神戸で船体を切断して延長する工事をしています。

あさしおは、自社製造の艦の改造なので、艦の製造履歴や部材の素性などは、基礎データ・資料も十分に有って、慎重に慎重を重ね十分に検討した上で工事を行っているはずです。

 

鉄鋼でできて溶接構造の船が実用化して以来、水上を航行する船舶では、船体をぶった切って前後の間に延長部を差し込む改装が行われることがあります。

先代の豪華客船クイーンエリザベスⅡは、船体切断をする延長を行い、横浜来迎寺に、延長部分がここかと観た記憶があります。

ただ、水上船舶と潜水艦では要求される材料特性は、より高品質であることを要求されますが、インドネシアの潜水艦では水上船舶と同じ感覚で工事をしてしまったように考えています。

改装の真実は明らかにならないと思うのですが、インドネシアの改装に対する疑念はもっともな事だと感じます。


高張力鋼の溶接

2021-04-29 00:00:00 | 日記

昨日のブログの続きですが、高張力鋼は大体400MPa位の引っ張り強度を持つ鋼材を高張力鋼と呼びます。

私が学生だった頃は、SI単位系が浸透しておらず、引張強度で40㎏f/㎜^2程の鋼材辺りから高張力鋼と呼んでいて、その辺りは現在でも同じです。

 

学生の当時でも、400MPaは高張力鋼としては低強度の部類でした。

私の論文テーマは、800MPaくらいの高張力鋼に対する海洋環境下のカソード防食(電気防食)の強度(主に靭性)への影響を実験して調べていました。

大型の海洋構造物用の鋼材で、部材のサイズも違うので、潜水艦のような高強度化は難しかったように記憶しています。

が、それでも800MPaの鋼材は民間使用の用途では大きな方で高強度でした、加える防食電位に対して、非常に敏感な靭性の挙動を示していました。

溶接部に関しては論文テーマの範囲外(2年程度の研究では決着が着かない)で、実験や調査はしませんでした。

溶接時の 溶接部や熱影響部の鉄鋼の組織変化を実験に組み込むと、資金潤沢な企業ならできたのかも知れないです。

しかし、すべてをやりきることが出来ずに、私の論文も色々な大学や企業との共同研究の一部として、担当部分の防食電位の靭性への影響について、実験研究していました。

 

その時、潜水艦に使用されている高張力鋼は、既に110kgf/㎜^2くらいを達成しており、私の研究していた80㎏f/㎜^2の高張力鋼よりもより高強度のものが使われていました。

大型の海洋構造物用の鋼材と潜水艦の鋼材の決定的な違いは、その大きさ、部材の厚さと言っても良いのです。

が、その厚さの違いにより、大きな部材は熱処理等の調質工程により強度は上げ難く、薄い部材ほどより高強度を達成することが容易です。

 

長くなるので続きはまた次にします。