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おススメします「悩む力」姜尚中著

2019-03-21 20:58:03 | 読書

 

「悩む力」、題に惹かれて読んでみました。

深くうなずける箇所を抜粋致します。

 

P156-157

   何が生きる力になるのか

  

・・いまの社会では、否応なく世の中から見捨てられた気分で孤立している人も

少なくないと思います。そうした人たちだけではありません。おそらく、活動的に

仕事をし、懸命に自己実現を果たそうとしている人の中にも、空虚なものが広がっ

ているのではないでしょうか。私自身、自分の生き甲斐とうものを考えてみて、い

ったい何があるのだろうと、答えが出ないことがありました。たぶん、お金や学歴、

地位や仕事上での成功といったものは、最終的には人が生きる力にはなりきれない

のでしょう。

 では、力になるものとは何なのかと問うていくと、それは、究極的には個人の

内面の充足、すなわち自我、心の問題に帰結すると思うのです。

 ここで私は再び、<夏目漱石の>『心』の先生のことを思いだします。

「自由と独立と己とに満ちた現代に生れた我々は、其の犠牲としてみんな此淋しみ

を味わわなくてならないでしょう」と先生は言いました。

 先生はお金に困っているわけでもなく、厭世的ではあるけれども、ひきこもって

いるわけでもありません。その点では、何不自由なく生きています。その先生に死

を考えさせてしまうのは、やはり自我の孤独なのです。

・・・・

「人は一人では生きられない」とよく言います。それは経済的、物理的に支えあわ

ねばならないという意味だけでなく、哲学的な意味でも、やはりそうなのです。

自我を保持していくためには、やはり他者とのつながりが必要なのです。相互承認

の中でしか、人は生きられません。相互承認によってしか、自我はありえないので

す。

 


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