葉織る。

言葉の中にそれを紡ぎ織った人が見えても、それは虚像かもしれない。

按と揉。

2006-07-15 00:24:12 | 仕事
 按摩の施術をする時は、衣服や手拭いの上から行います。マッサージは、パウダーやオイルなどの滑剤を使用して、肌に直接触れて施術します。

 両者の一番の違いは、何よりも「滑り易いか、そうでないか」だと思います。

 「滑りにくい」按摩は、何よりも「按ずる」事が施術の中心となります。「按摩ってのは、揉み療治だろう?揉むのが中心じゃないのか?」というツッコミが聞こえてきそうですが、いやいや、本来按摩の中心手技は「圧迫法」つまり、按ずることです。だから「按摩」なのです。

 ちなみに「摩」は擦ることですが、これも安定した圧で「按ずる」ことが出来て、初めて治療に使える「摩」となります。

 按摩での揉むという手技は、安定した圧を加えた状態で、擦らないように手指を動かし、筋肉や腱に刺激を与えます。つまり、揉むというのは圧迫法の応用なのです。

 かくして按摩は安定した「按」「圧迫」が要となり、そのためには衣服や手拭いの上から施術する方が都合が良いのです。肌は汗や皮脂などで、滑ることがありますから。

 で、マッサージの場合は逆に滑りやすいわけです。それも滑剤を使って、滑り具合を一定のコンディションに保つのです。この条件では、揉んだり擦ったりという手技が中心となります。

 この場合の「揉む」という手技は、按摩のような「圧迫法の応用」ではありません。滑剤の滑り具合を最大限に生かして、皮膚や筋肉、腱等を動かし、刺激を加えます。

 「按」と「揉」。どちらも按摩・マッサージの両方で使用される手技です。しかし、その概念は「滑るか滑らないか」という前提の下に結構な違いがあります。そしてこれこそが按摩とマッサージの本質的な違いのひとつだと思うのです。 
 

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