上海事変14
星刻が精神的な意味で副官を失った頃、藤堂はゼロが消えた状況を詳しく報告させていた。
さすがに、前回のトーキョー決戦のときに懲りたので、腹心をゼロに内密で張り付かせていた。旧日本軍時代からの部下、四聖剣とは違う意味でずっと藤堂についている。
その彼女が持ってきた報告は彼女の言葉でなければ信じられないような陳腐で荒唐無稽なものだった。
ゼロはナイトメアのエネルギーシステムを無効化する研究を進めていた。その研究施設がブリタニア軍の極秘施設と聞いたときには藤堂すらゼロを疑った。それでもその先に聞いた驚きよりはまだ度合いが低かった。ゼロの写真それも素顔の写真を彼女は示した。日本人でない事は承知していたが、「これは」藤堂の言葉が止まる。
ブリタニア皇帝家の紫だった。そしてつややかな黒髪。その条件に当てはまる皇族はただ一人。
(君だったのか)
亡き桐原の言葉、そして異常なほどナナリー皇女にこだわるゼロ、その理由は完全にわかった。ゼロがほしいのは日本ではない。妹ナナリーが優しい微笑を浮かべて暮らせる世界。それだけなのだ。
星刻が精神的な意味で副官を失った頃、藤堂はゼロが消えた状況を詳しく報告させていた。
さすがに、前回のトーキョー決戦のときに懲りたので、腹心をゼロに内密で張り付かせていた。旧日本軍時代からの部下、四聖剣とは違う意味でずっと藤堂についている。
その彼女が持ってきた報告は彼女の言葉でなければ信じられないような陳腐で荒唐無稽なものだった。
ゼロはナイトメアのエネルギーシステムを無効化する研究を進めていた。その研究施設がブリタニア軍の極秘施設と聞いたときには藤堂すらゼロを疑った。それでもその先に聞いた驚きよりはまだ度合いが低かった。ゼロの写真それも素顔の写真を彼女は示した。日本人でない事は承知していたが、「これは」藤堂の言葉が止まる。
ブリタニア皇帝家の紫だった。そしてつややかな黒髪。その条件に当てはまる皇族はただ一人。
(君だったのか)
亡き桐原の言葉、そして異常なほどナナリー皇女にこだわるゼロ、その理由は完全にわかった。ゼロがほしいのは日本ではない。妹ナナリーが優しい微笑を浮かべて暮らせる世界。それだけなのだ。