今回は平成29年6月~7月にかけて誕生した
沢山のライチョウ達の、成長記録を皆さんにご紹介します。
那須どうぶつ王国には、スバールバルライチョウと言う、とても愛らしい鳥が居ます。
そんなスバールバルライチョウが今期も卵を産み、沢山の命が誕生しました。
今年度、一番初めに卵を発見したのは、6月10日です。
発見した卵は余分な汚れを落として、正確に測定を行います。
長径…卵の縦の長さ
短径…卵の横の長さ
卵重…卵の重さ
卵は全て同じ大きさに見えるかもしれませんが、実は少しずつ大きさが違うんです。
スーパーで販売している食用の卵でも違いが分かります!
その後、卵を孵化させる際に使用する、孵卵器という機械にそれぞれ設置します。
カワイイ雛達が孵化するその日まで、飼育員がきちんと卵の管理を行います。
孵卵器内の温度・湿度はもちろんのこと、毎日の卵重の変化等を測定していきます。
この機械が孵卵器。
母鳥が卵を温める代わりをしてくれます。
そんな孵卵器内で初めに卵から孵化したのは7月8日のこと。
スバールバルライチョウの産卵期は5月下旬から7月上旬、
また通常の孵化日数は22~23日と言われています。
さらに卵には無精卵・有精卵があり、すべての卵が必ずしも孵化してくるとは限りません。
最初の雛が産まれると、他の卵からも後に続くように次々と新しい仲間たちが!!
ここからはベビーラッシュが訪れました♪
7月中旬の段階では、こんなに沢山の雛たちの姿が。
こちらの写真の中に何羽の雛達が見えますか?
A.9羽です!ギューっと集まってて分かりにくかったですね(*^^)
その間にも親鳥たちは卵を産み、孵卵器で管理していた卵から新たな雛の姿も!
あっという間に雛達が大きく育って来て、
今飼育しているスペースでは狭くなってきました…
そこで8月14日に那須どうぶつ王国内の施設、保全の森内の広い展示場に、
皆でお引越ししました!
初めはとても広くなったお部屋に、皆困惑気味でしたが、慣れてくると
自由に歩き回ってとても楽しそう♪
ではここからは雛たちの大きくなっていく過程を
私が撮影した、お気に入りの写真をダイジェストでお伝えします♪
まずはこの一枚。
喉が渇いていたのでしょう。朝、私が水皿に水を入れると
水皿を皆で囲って朝一の集会?が始まりました♪
左側に居る子が今回の集会の司会者なんでしょうか?
しばらくこのまま皆で水を飲みながら、談笑を楽しんでいるように見えました。
続いてはこちら
実はこの二羽の頭上には、お部屋の中の温かいスポットとして、ヒーターがあります。
そんな温かいスポットでゆったり寛いで居る所を、私が室温チェックの為に覗き込むと…
二羽に横目で睨まれてしまいました(-_-;)
さらにお気づきでしょうか?右の子は温度計を若干下敷きにしてます。
室温をチェックしたいが、見えづらい。覗き込むと睨まれる。災難でした…
最後はこちら
季節は秋になり、衣替えの季節。
だんだんと、羽の色も冬使用になりつつあり、全体的に白くなってきました。
ですが、注目すべきは画面中央にある水皿です。
体は大きくなってもとる行動は幼かった頃と変わらないんですね♪
また水皿を囲っていました。
そんなスバールバルライチョウの雛たちも、
今ではすっかり大きくなって体重で比べると親鳥と変わらなくなりました。
孵化したての頃は全羽平均して約15g前後でしたが、
現在は一番大きな個体でなんと800gにもなりました!
現在の雛たちの姿
約5か月でなんと数値にして53倍!!もの体重の変化…驚きですね(゜-゜)
いかがでしたでしょうか?
簡単ではありますが成長記録として、
スバールバルライチョウの飼育過程をご紹介しました。
実際は今回紹介したよりも、もっともっと細かく詳細にデータを取っています。
なぜ詳細なデータが必要だと思いますか?
それは近縁種である日本ライチョウの飼育管理に、スバールバルライチョウで得られた
飼育データを生かす為なのです。
どうぶつ王国で現在飼育中のニホンライチョウ
「日本ライチョウは日本の特別天然記念物であり、絶滅危惧種」です。
そんな希少な野生動物の保護・保全活動に尽力するのも飼育員の大切な役割の一つです。
我々飼育員にできることは限られているかもしれませんが、
私のこのブログから少しでも野生動物の保護・保全活動に興味を持っていただけたら幸いです。
今回ご紹介したスバールバルライチョウ達には、
保全の森で会うことができます。産まれたころとは季節も変わり、
すっかり衣替えした、真っ白なライチョウ達に会いに来てみてください。
飼育員 山田
〒329-3223 栃木県那須郡那須町大島1042-1
那須高原リゾート開発株式会社
那須どうぶつ王国