岸部シロー(岸部四郎)が死んで一年。
働いていないが愛人が数人いる父親だった、と家族を語る岸部シロー。
岸部シローは末っ子だったので養子に出されそうになったが、岸部シロー母が末っ子の岸部シローを可愛がっていたので岸部シローは養子に出されずにすんだ。
岸部シローは自分の兄弟、異母兄弟(父と愛人との子)があわせて30人くらいいると言っている。
父親の手製すごろくで遊んでいた岸部シロー少年時代。
岸部シローはアイドル的人気の音楽グループ「タイガース」ではコーラスが下手なのでめちゃくちゃ怒られる。
それ以来、タンバリンを担当したがタンバリンも下手だった。
音が出ないようセロテープで固定されたタンバリンを持たされる岸部シロー。
俳優としても活躍。
個性派俳優として演技力より存在感で地位を築く。
日本テレビ朝のワイドショー「ルックルックこんにちは」では、できるだけしゃべらない沈黙の司会者として活躍。
自己破産後は悲壮キャラのタレントとして活躍した。
日本テレビの朝のワイドショー「ルックルックこんにちは」の司会を長年務めた岸部シロー(岸部四郎)。
「ルックルックこんにちは」司会就任当初はまだ若く元気で饒舌なとこともあった岸部シロー。
岸部シローは「ルックルックこんにちは」を取り仕切り、自らの鋭さ、敏腕さ、有能さを見せつけることを考えていた。
しかし「ルックルックこんにちは」プロデューサーは
「岸部さんがしゃべると視聴率が落ちたので何もせず黙っていてください。」
という非情の事実を通告してくる。
岸部シローは反論することなく受け入れる。
沈黙の岸部シローが完成した。
岸部シローは「ルックルックこんにちは」で沈黙することにより年収2億円以上という安定した高収入を手にする。
「ルックルックこんにちは」は月曜から金曜まで、朝8時30分から2時間の放送で、拘束時間、拘束期間が長かった。
他の仕事に制限を受ける岸部シロー。
俳優として、ミュージシャンとして、コメディアンとしての才能もある岸部シローだったが
「ルックルックこんにちは」司会を芸能活動の主軸にした。
安定した高収入と引き換えに才能を押しつぶす岸部シロー。
「ルックルックこんにちは」司会を長くやっていると、しだいに沈黙、無個性が板につき、身にしみこんでいく岸部シロー。
沈黙の岸部シロー、無個性の岸部シロー、不愛想な岸部シロー、無気力な岸部シローが自らの手によって岸部シロー内部に構築されていく。
自己暗示が効いてしまった岸部シロー。
かつては饒舌で元気な岸部シローだったのに、いつのまにか静の岸部シロー、無の岸部シローとなってしまった。
ダウンタウンDXのメインゲストで出演した岸部シローだったが
ダウンタウン松本人志のシローいじりに対して、岸部シローはひたすら無反応、低反応に終始し盛り上がりに欠ける番組進行となった。
かつての岸部シローなら、強い圧と強い押しで貪欲に笑いを取りに行きコメディアンとしての才能を感じさせるものだったが、すっかり大人しく暗くなっていた。
「ルックルックこんにちは」司会のため、芸能の多ジャンルにわたる才能を制限してしまった岸部シロー。
さらにプロデューサーからの要請にこたえ沈黙と無個性を貫いた岸部シローだったのに
岸部シローは愚鈍、不愛想、無気力、暗い
と世間から思われてしまった。
俳優の仕事とバラエティーの仕事において、明るさ、鋭敏さと似非インテリさも買われていた岸部シロー。
いつの間にか暗い、愚鈍が売りになってしまった。
そして岸部シローは借金、自己破産理由に「ルックルックこんにちは」司会を降板させられる。
安定した高収入が仇となり散財し、安定した高収入が連帯保証人の罠を呼び込んだ。
才能を犠牲にして安定を掴んだのに岸部シローには何も残らなかった。
しかし岸部シローは新たなる才能を開花させる。