見出し画像

絵本の楽屋   by 夏野いばら

「ふしぎなしろねずみ」 韓国のむかしばなし           チャン チョルムン:文 ユン ミスク:絵 かみや にじ:訳 岩波書店

抗いがたい、安心感

この一年余り、一番近いお隣の国・韓国の絵本に関心を寄せてきました。
でも…。

経済発展を遂げる前の「近代化していない、韓国の貧しい暮らし」をことさらに強調する物語や、韓国フェミニズムの勢いにのった新刊が多い気がします。

もしかすると、日本での出版を意識したとき、
「何となく、日本人が喜びそうなお話」が、先に選ばれてしまうのかもしれません。
 ―もっとも、まだ百冊にも出会っていないので、偉そうなこと言えませんが!

そんな中で出会った、この絵本。
何のことはない、「むかしばなし」の再話です。

出だしから、その世界に引き込んでくれる、優しい語り。
穏やかでシンプルだけど、奥行きの豊かな絵。
印刷の発色が良く、その魅力が最大限に引き出されているのは、
特筆に値すると思います。

自国の昔話は手垢がつきすぎて、今さら魅力を見い出すのは難しいけれど、
初めて読むお隣の国の昔話には、まだまだ発見と驚きもあります。
これに関しては、訳者の解説も過不足なく、とてもためになりました。
翻訳絵本ならでは、の楽しみがあります。

語り継がれてきた昔話の中には、どういうわけか、
抗いがたい安心感がありまして…
ネット上の読後感想の中に
「ぜんそくの子が、喜んだ」の一文をみつけました。
わかる気がします。

はたして日本の昔話は、こんな安心感のある絵本になって、
韓国で出版してもらっているかしら?
今度、韓国人の友人に尋ねてみようと思います。

あ、それから…
良質な東南アジアの絵本に、もっと出会いたいのです。
「これ、良いよ~!」という邦訳絵本をご存じでしたら、ぜひ教えてください。
よろしくお願いします。natunoibara@yahoo.co.jp











名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

最新の画像もっと見る

最近の「絵本5才~」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事