ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2023年2月17日。ウクライナ侵攻から360日目

2023-02-17 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年2月17日。

 ベラルーシ大統領はモスクワへ飛び、ロシア大統領と会談しました。
 会談冒頭でウクライナ侵攻にロシアが投入しているスホイ25攻撃機を
「ベラルーシ国内でも生産する準備ができている。」
と述べました。
 ベラルーシには3箇所に航空機製造工場があり、2箇所は軍用機で、1 箇所は民間機用です。
 べラルーシではロシアの旅客機用に最大1,000個の部品をすでに製造しています。これを軍用機にも使えるようにすれば、べエラルーシ国内で軍用機の製造も可能となり、これは技術面での支援だということです。
 ウクライナからすると、ベラルーシがロシアを支援すること自体、「敵の友は敵」と見なすでしょう。 
 一方で、ベラルーシがそんなに高い技術力を持っているのか?と懐疑的な見方をする外国もあるでしょう。
 またベラルーシは、ロシアに技術支援をするので、実際にベラルーシ軍を参戦させることを強要しないでほしいと、ロシアの狙いをかわそうとしているように思えます。
 とにかくベラルーシ大統領の外交力にこの国の運命がかかっています。


 ロシアの大学がベラルーシ人の入学に門戸を広げることになり、今高校生を対象に大学を大きくPRしています。
 留学ではなく、ロシア人と同じ扱いで外国人が入学できる枠を3万人分ロシア全国の大学の中に用意しました。そのうち1300人がベラルーシ人用と決め、さらにロシアの大学の受験手続きをベラルーシにいながらにしてできるようになり、その応募締切が2月20日でした。が、3月20日まで延長されました。
 おそらく1300人も申込者が集まらず、定員割れしそうだからと思われます。それに成績が悪いと、入試に受かりません。今回の申込みが間に合っても、試験に落ちる人もいることも考えないといけないですね。
 成績が悪くてもロシアの大学で学ぶベラルーシ人学生は奨学金がもらえる、とかそのような宣伝文句につられて・・・という人もいるかもしれません。

 5年ほど前まではベラルーシ人がロシアで教育を受けたい、就職したい(特に都市部で。同じロシアでもシベリアなどは不人気)という状況だったのですが、2020年の大統領選挙やコロナの影響で、ロシアへ留学や就職、出稼ぎに行くベラルーシ人は減りました。
 今では、ロシアの大学に入学して卒業したら、ロシア軍に動員・徴兵される可能性が上がったので、どうしてベラルーシ人なのに、ベラルーシのためではなくロシアのために兵士となって、ウクライナ(などの国)に派兵されないといけないのか。そう考えたら怖くて保護者もロシアの大学に子どもを入学させたくないでしょう。
 ただ、ベラルーシ人の中にもロシア系の人、ロシアに親戚がいる人、親露の考え方の人も大勢いますから、そういう人(やその子息)の中には、「モスクワ大学? ああ、入学したい。」と日本人が東大に憧れるかのように、今回のベラルーシ人枠に申し込む人もいるでしょう。動員される可能性が低い女性のほうがロシアの大学入学を希望するのではないでしょうか。
 ちなみに人気がもっとも高い学部はインターネット・セキュリティ関連分野で、法学部や経済学部も人気(入学するのが難しい)だそうです。
 また音楽大学も入学希望者がいるそうです。逆にそれ以外の人気のない学部はほとんど希望者がいない状況で、大学格差というより、学部格差が広がっていると思われます。