*日本は梅雨で、毎日雨が降っているころでしょうか。こちらは、梅雨というものは無くて、この夏至の季節、よいお天気がもう何週間も続いています。森を歩いていたら、野生の鹿に出くわしました。夜、病院のスタッフハウスに戻り、お風呂につかりながら、「ここから何キロか離れたところに、鹿が生きている」と想像をしてうれしく思っていました。
第六十八話 想像の眼
もうすぐ新しい家に引越しで、5年間をともに過ごした私の子供たち(草花)とさよならです。つるバラは咲き乱れ、マーガレットは庭中を真っ白にして年月の積み重なりを感じさせてくれます。
「誰のために庭の手入れをするのだ?」こんな言葉が草取りをしていると聞こえてきます。イギリス人といってもみんながみんなガーデニング好きであるはずも無く、若いカップルなどほかのことで忙しい人たちは、庭いじりなどしません。ふと、「あとから住む人間のためではなく、草花たち自身のために、種をまき、植え替えをするのだなあ。」と納得。この目で見ることはできないけれど、来年美しく群れ咲く草花の姿を、いま、想像で見ることができるから。
先日何年かぶりで「エマーソンビレッジ」という新しい共同体構想で復活した旧エマーソンカレッジのお庭を訪ねてみました。草や木が生い茂り、手が回らないのだなと思わされ、12年前私たちが働いた野菜畑も草がぼうぼうで見るかげもありませんでした。
そこでも、想像の眼を働かせると、何年か後には、フィンドホーンのように世界中からボランティアのひとたちが集い、またもとのように手入れのできた美しいお庭が戻っている様子を見ることができます。
植物、生物、だけではなく、万物が変容していくともいえます。
アンソロポソフィは近年のビュロクラシーが過度に発達してしまった現代社会では大きな変容を求められているともいえるようです。
アダルトエデュケーションのエマーソンカレッジに引き続き、私がシュタイナーのアートセラピーを5年間学んだハイバニアカレッジも、十分な学生数を得ることができなくなり、ついに、その使命を終えることとなりました。
政府認定のアートセラピストの資格取得ができるトレーニングコースに格上げしようと試みた過程で、私もコースの新カリキュラム設定にかかわったりしたため、残念な想いがいっぱいです。
スピリチュアリティが一般の人でも納得できる程度の現実性、質、リサーチなどの裏づけを兼ねそろえ、かつ、一般社会のニーズにも答えられるようなオープンさと先進性を発揮できるようになるには、まだもう少し年月がいるのでしょう。
私自身もエマーソンカレッジやハイバニアカレッジが産み出した一粒の種なのだ、アンソロポソフィの変容にかかわっているのだ、という自覚で、今日も毎日患者さんたちと向き合っているところです。
(間美栄子 2010年 7月1日 http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef)
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