アートセラピストのイギリス便り

アートセラピスト間美栄子のシュタイナー的イギリス生活のあれこれを綴った友人知人宛のメール通信です。

第拾話. 世話をするということの重み

2008-10-05 12:57:08 | 子育て

* もう2月ですね。イギリスでは1月には大雨でまた洪水騒ぎがありました。日本では節分で豆まきですね。こちらは2月2日は、キャンドルマスという、ケルトとキリスト教の混ざった、古いものと新しいものが出会うという、小さな新しい光を祝うお祭りをします。自然界では、小さくて地味なユリ科の植物、スノードロップの花がいち早く枯葉の下から顔を出して新しい季節の訪れを知らせてくれています。   

第拾話 世話をするということの重み

登山用のリュックサックひとつでイギリスに来て、最初に住み始めたのは、シュタイナースクールの学校の敷地の中にある、空っぽのキャラバン(車で牽引できる移動式建物)でした。
布団もお茶碗も何もないところからはじめるのが心地よく、物がだんだん増えていくのがかえって不安でした。シングルマザーになったばかりで、子供の世話も一人でできないという自信のなさで、責任の重さを肩にずっしりと感じていたのです。花一本も余分に世話できないというような気分でした。

その次のストラウドでは日本人の先輩が何人かいて、いろいろ厳しかったですね。私の下宿の部屋を見て、「本は寝かせて積んであると死んでしまう。立てて並べなければいけない」とか。分かってはいても、きちんとできない心の不安定さは、先輩たちの想像外だったのでしょう。

それから年月が経ち、ジャングルのように生い茂った、たくさんの観葉植物やアンモナイトの化石、などを見て、なずなの友達が、「あなたのお母さんはひとへのケアの得意な人みたいね」と言ったのだそうです。
私は、「ヒト?ひとなんてしらないなぁ。植物と石だけでしょ。」と冗談(本音?)をいって、笑いあっていました。
そしてなずなには、「そんな部屋で、顔だけお化粧やおしゃれをしても無駄だよ、まず部屋をきれいにしなさい!」とティーンエイジャーの心の不安定さは無視をして、うるさく言っているのです。

(間 美栄子 2008年 2月1日)



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