南房総館山・なぎさの自然詩

ゴバンノアシとネコザメの卵殻

二日間吹き続いた北寄りの風は南房総にも秋を運んできました。
風が止んだので早速海岸へ行くと、たくさんの海藻類が打ち上げられていました。
更に風や波が遠くから運んできたエボシガイ付の漂着物もありました。
そんな中に南の島からやって来たゴバンノアシの実も。

普段目にするゴバンノアシとは何か様子が違いました。
よく見ると五角形で、星のように見えます。
ネットで調べたところゴバンノアシは通常は四角い形をしています。
植物の変異としてはあり得る形なのでしょうか?
ゴバンノアシ自体を見たことが無く、漂着した木の実しか実物を見たことが無いので、とても珍しい形だと思いました。
ゴバンノアシは果実の形が碁盤の脚に似ている事がその由来となったそうです。
ツツジ目サガリバナ科の植物、英名ではFish poison treeと呼ばれ、この果実を使って毒流し漁をしていたそうです。
実の外殻はとても硬いのですが、海を漂う間に割れてきて、海岸に流れ着く頃には内側にある繊維質が現れています。
そして、その中には丸い種が入っています。
この種を植木鉢で育てたら、ひょっとしたら芽が出るかもしれないと思うと楽しいです。
でも残念ながらこの実は軽かったので、種はどこかに落ちてしまったようでした。


更にネコザメの卵殻が多数打ち上げられていました。
海藻類と一緒に打ち上げられているので、一見すると海藻に似ています。
強風と波に揉まれて、海底にある岩や海藻類の間から孵化後の卵殻が海中に放り出され、その後波打ち際まで運ばれて来たようです。
千葉県南部の太平洋側の海岸ではネコザメが産卵しているようです。
1年かけて育ったネコザメの子供たちが無事に孵化した後の卵殻です。
孵化したネコザメは元気に海中で、大好物のサザエを食べているかもしれません。

同じ海岸には海藻類の中で休憩中のトウネン。
ユーラシア大陸極北のツンドラ地帯等で子育てを終えて、オーストラリア等ヘ渡るそうです。
スズメ位の小さな体で数千㎞を移動するなんて、ヒトから見たら驚異的な事です。
観察している中で思うのは、一カ所の海岸に長く滞在して、その間はゆっくり移動し、海峡等を横断する時は一気に移動しているのかもしれません。



採餌中のミユビシギ。
渡り途中に立ち寄ったこの海岸で、お腹いっぱい食べて、次の旅の準備をしているのかもしれません。
砂浜は渡り途中の鳥達の休息地、海中ではネコザメを育む、海はたくさんの命を守る場所なのだと思いました。
そして遠くオーストラリアまで南下する渡り鳥と、海流に乗り北上して来た木の実が出逢うのが海岸なのだと実感します。
たくさんの生き物が暮らすこの海岸が、いつまでも変わらぬよう願っています。







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