南房総館山・なぎさの自然詩

イソギクと微小貝


秋晴れの南房総の海岸は心地良い北風が吹いています。
暖かな日射しの下で、イソヒヨドリのメスがぼんやりして日光浴している様に見えます。
そんな穏やかな雰囲気の海岸を歩いていると、あちこちに花が咲いていました。


薄紫色の小さな花を咲かせていたクコ。


イソギクの群落も満開を向かえていました。
今年の南房総は今の時期、イソギクの花があちこちの海岸を色鮮やかにしています。
イソギクは海岸の岩場等に育成する海浜植物で、太平洋側では千葉県以南から分布しているそうです。
キク科の花にはよく見られる頭状花序と言われる多数の小さな花が集まって1つの花となっています。


黄色くて丸い小さな花が印象的で、近づくと花の良い香りが漂っています。
この花には解熱、解毒、鎮痛、消炎等の効用があるとネットで知りました。
花の満開時期に採取して日干しにしたものを煎じて服用するそうです。
また、漢方処方の釣藤散や杞菊地黄丸にも配合されていると知りました。
イソギクやハマゴウ等の海浜植物には薬効のあるものが多いのは、もしかしたら厳しい環境で育成する事に要因があるのかもしれません。



更にマルバグミが実をつけていて、赤色が晩秋の海岸を彩っていました。


砂浜に目を落とすと、たくさんの小さな貝殻が見えます。
私の好きな貝殻のひとつのシラタマガイがポツンとあって、目に飛び込んできました。
上げ潮に乗って次々打ち上げられてくるような感じで、ひとつひとつ拾い上げていきました。


紅白の微小貝。
白いシラタマガイと赤いサラサバイとチグサガイです。
小さな貝殻を無心に探していると、気持ちが軽くなってきて充実感いっぱいになるのが不思議です。


休日の海岸にはたくさんの人が訪れていました。
その中には大型犬を3匹連れた家族連れが歩いており、よく見るとリードを付けていないようでした。
海岸は開放的で自由な空間なので、その人の素が現れる場所なのかもしれません。
海岸や他の自然環境では特別なルールは無いように思えます。
しかも砂浜は一見すると生き物もいない不毛の地に見えます。
しかし海岸には目に見えない小さな生き物達から鳥、海浜植物等のたくさんの生き物達が暮らしています。
その生き物達の事を思うと、海岸に行く時には謙虚な気持ちを持っていた方が良いのではないかと、私は感じています。










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